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3-5-2

慎「咲~、大丈夫か?」


咲「! ひんいひくん!?」


慎「??」 『"慎一くん"っつったのか?』



咲の声がイヤにこもっている。


いつもの綺麗に通る声じゃない。



慎「…どうした?」


咲「ふいまへ…ングッ すいません、今出ますので。」


何かを飲み下したような音のあと、声はまたよく通るようになった。



今度はガラガラと、トイレットペーパーを勢いよく引き出す音がする。



慎『…何を…やっているんだ?』




水を流す音。



そして、手を洗うために蛇口をひねる音(木葉の家のトイレはタンクの水道とは別に、手を洗うためのちゃんとした洗面台がついていて、割と広々としていることは慎一も以前に入って知っていた)。






………口をすすぐような音。






慎『何だ? 何で口すすいでんだ??』



しばらくしてまたキュッと蛇口をひねる音がして、数秒後、咲が出てきた。




咲「お待たせしました。」


慎「あ、ああ。…さっきの、禁断症状だろ? もう大丈夫なの?」


咲「はい、ちょっと人間から離れたら大分楽になりました。」



咲はいつも通りの笑顔で言う。



慎「そう…。じゃあ、戻ろっか。」


咲「はい。」


慎『…そういえば、何で咲、自分のバッグをわざわざ?』







と、そこまできて慎一は考えるのをやめた。




世の中には、知ってはいけない、知ったら食事が喉を通らなくなるような事実もあるのである。






咲の口のはたに少しついた赤い何かがそれを如実に物語っていた。





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