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3-4

その後は何となく気まずい雰囲気が漂い続けた。






咲はとりあえず、慎一が作ったアルファベット表でひたすらアルファベットを覚えることに。



その横で、初めてのお見合いのようにまたカチカチになった慎一が、歌での指導をすることもなくじっとその様子を見つめている。



逆に勇気と木葉は注意深げに見ていたため、咲は色んなプレッシャーで吐きそうになっていた。




アルファベットの下にふられたカタカナのルビを読み上げるだけで、一向に頭に入らない。





と、いきなり木葉がJの下のルビを手でバッと隠した。


速度がついていたため、咲には最初、いきなり木葉が机をバンと叩いたように見え、心臓が止まりそうになった。



木「これは?」


咲「え? あ、これ……ですか?」



改めてJを見つめると、いよいよ何だか分からない。



だんだん「し」を左右反転させた形に見えてきたが、変なことを言うと殴られそうな気がして、怖くて言えない。




それほど勇気と木葉の2人を見る目はいぶかしげだった。



咲『うう~~~、そんな目しないでよぉ…。』




咲が涙目になった時、木葉がまた口を開いた。


木「分からない?」


咲は首を縦に振ったら殴られそうな気がしたが、かといって分かると嘘を言っても分からないのだから余計に木葉の心証を害する気もして、仕方なく覚悟を決めた。


目を思い切りつぶって、歯を食いしばり、首を縦に振る。


咲『殴られる…!』
















ビクビクすること数秒。


















一向に木葉の拳は飛んでこない。



恐る恐る目を開けると、勇気と木葉の視線の獲物は咲から慎一に変わっていた。






戦慄する慎一の表情を見て、しかし解き放たれた束の間の解放感から、咲はつい安堵してしまった。




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