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2-3-2

気まずい空気に任せて、2人は一気にコーヒーを飲みほした。



慎「……ていうか、南さん風邪なんだよね? 寝てないと…。」


咲「でも朝からずっと寝ててもう眠くないですし、大分楽になりましたから。」


慎「そっか。なら良かった。」















しばしの沈黙。



















慎『ヤバい! 何か…何か喋らねぇと! …あ。』「そういえばさっき渡した封筒、今確認したら? 人間社会のこととかまだよく分かんないんだろ? 教えてやるから。」


慎一はしどろもどろで提案した。


咲「あ、はい、ありがとうございます。」


咲が照れ笑いしながら封筒を開ける。



中にはプリントが数枚入っていた。



咲「何ですかコレ?」


慎「数学と英語の宿題だな。あと、テスト範囲のお知らせ。」


咲「しゅくだい? てすと??」


慎「宿題は、先生が出せって言った日までに家でやっておいて、その日提出するもの。テストは、定期的に全教科でどれぐらい理解できてるかを確認するヤツだよ。」


咲「え…と………」


慎「だから、そうだな…、この数学と英語のヤツは今日家でやって、明日提出しなきゃいけない。テスト範囲は、ここに書いてある分を自分で勉強して、テストで答えられるようにする。」



慎一は説明しながら、宿題のプリントの問題が中学1年生レベルのものであるのに気付いた。


それを、咲は"とんでもないことになった"というような顔でジーッと見つめている。


慎「…できそう?」


咲「が…頑張ります…。…それにしても、人間界って至るところに書いてある字がものすごく綺麗ですよね。」


慎「ああ、印刷したヤツだしな。まぁそのうち慣れるよ。それより、明日も休むんだろ? だったらそんなに急がなくても…」


咲「あ、そのつもりでしたけど、熱も下がりましたし、しゅくだいも出ちゃいましたから行きますよ。」


慎「え? しばらく来れそうにないって先生が…。」


咲「だって今朝はホントにひどくて、死にそうだったんですもん。」


慎「…なるほど。じゃあ宿題手伝うよ。」


咲「わ、ありがとうございます! 実はちんぷんかんぷんだったんです。」



咲はまた屈託なく笑った。



慎一は咲が人間でないことを忘れ、少し幸せを感じていた。



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