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18-1

修了式。


小さい頃は終業式と微妙に名前が違うことに何となく気付いていながら、その真意まで気にはしなかった微妙なイベントである。



しかし、午前中で帰れるというのは生徒たちにとって、非常に歓迎すべき行事でもあった。




そして早帰りの学校の日というのは、何故か休みの日よりワクワクするものである。



慎一と咲は、部活がある勇気と木葉を置いて先に帰路に就いていた。



慎「もう2年生も終わりか~。早ぇなぁ。」


咲「そうですか? 私、今年1年は今までで一番長く感じましたよ。」


慎「ああ、咲は慣れてないからそうかもな。人間は6歳ぐらいからもうずっと同じようなのを繰り返してきてるから、だんだん慣れちゃって進みが早く感じるんだよ。」


咲「へぇ~。」


慎「そんなことより、春休みだ! もう受験生だからとか言って宿題は出されたが、でも春休みだ!」


咲「ですね!」



気持ちよく晴れた空の下、2人は春休みに向けてもう高揚感を隠していない。



慎「どっか遊びに行こうぜ。」


咲「いいですね。お花見とかしませんか?」


慎「花見いいねぇ。…いいけど、この辺桜ないからなぁ。」


咲「あぁ、そっかぁ。う~~~ん…。」


慎「まぁ焦らんでもゆっくり考えれば―――」


咲「あ!」


慎一の「ゆっくり考えれば」を見事に否定して、咲は何か閃いたようだ。



慎「ん、何?」


咲「そういえば、最近テレビでよく宣伝してる、あの…映画? っていうんですか? あるじゃないですか。」


慎「ああ、映画な。何か観たいのあるの?」


咲「えっと…。」


咲はポケットから紙切れを取り出し、何か書いてあるのを読んだ。


咲「デス…ティニー…ピクチャー…の、『アンナと蕗の薹』という映画を観てみたいです。でも何処で観れるのか分からなくて…。」


慎「じゃあ観に行こっか。」


咲「ホントですか!? ワーイ!」


咲は模範的に喜んだ。



慎一は、春休みを映画に行くだけで終わらせる気はなかったので、頭の中では更なる遊びの計画を模索しながら喜ぶ咲を見ていた。



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