表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
129/144

17-4

10分後、慎一は最寄りのコンビニにいた。


何の風よけもない玄関先で、夕食の時間まで咲を見張り続けるのはあまりにも寒すぎた。


そのため、慎一は緊急避難し、雑誌の立ち読みを始めたのである。



このコンビニから咲のアパートは見えないが、ついさっきの咲の様子なら大丈夫だろうという判断で、あまり気にしなかった。





とはいえ、普段雑誌など、漫画雑誌すら読まない慎一には退屈なものであった。



うさんくさいが暇つぶしにはなるサブカル系のコンビニ本もあったが、単行本類はビニールの帯がかけられて読めない。


慎一はすぐに雑誌を元あった場所に戻し、お菓子やジュースの物色を始めた。



慎『へ~、こんなお菓子もあるんだなぁ。』


と、ぼんやり見回るのも、どんなに時間をかけたって10分で完了してしまった。


慎一が財布を持っていれば話は違っただろうが、あいにく慎一は学校に財布を持っていくことを習慣づけていない。



結局コンビニも大した暇つぶしにはならず、ただの風よけだった。




慎『……案外やることないし、寒いけど戻るか。そういえば、携帯のネットゲームとか色々あったな。今から登録して始めれば時間潰せるか。』



と考えながらコンビニを出て、その瞬間叩きつけられる風に身を震わす。





慎一は背中を丸めながら、ゆったりと咲のアパートまで戻った。
















―――――――――――――――――――――――














ヤバい。



慎一は思わず声を上げた。




地上から見ても分かる。





咲の家の玄関が開け放たれ、風に煽られてパタパタしている。



それを見て、もちろん泥棒が入ることを心配しているわけではない。






慎一は寒さも忘れて冷汗を流し、辺りを見回した。



咲が狂暴化して家を飛び出したなら、まだそう遠くへは行っていないはず。






だが、見当たらないので、慎一は念のため急いで咲の家へと向かった。



中にいればそれでいいのだ。





階段を上がる足音で32ビートを刻み、一瞬で汗だくになりながら咲の家へと駆けこむ。






慎「咲!!!」
















咲はいなかった。















慎「マジかよ……」



と、外で男性の悲鳴がした。






サーッと血の気の引く音が慎一自身にも聞こえた。






窓を乱暴に開けてベランダに飛び出し、見ると、すぐ下の道路で男性が咲にのしかかられている。












慎「咲!!!!!」




慎一は思わず叫んだ。



咲は一瞬慎一の方を見たが、すぐに男性の方に向き直る。





だが、この咲の一瞬の気の緩みをつき、男性が咲を押しとばした。



慎「よしッ!!!」




慎一は叫びながら咲の家を飛び出す。






階段を下りる足音が4ビートなのは、3段ほど飛ばして駆け下りているからであった。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ