16-4
談笑をはさんでチョコも固まり、色々な形で型から出てきたチョコを見て感動しきりの咲。
最後に木葉がアラザンやデコペンを出してきたので、咲も一緒に仕上げをした。
木「……よし、完成!」
咲「わ―――い!」
彩られたチョコを前に、小さな拍手が起こった。
木「よし、じゃあ早速包装しちゃおう。」
咲「放送?」
木「うん、確かここにいい感じの箱とかあったはず…。」
と、木葉は咲の勘違いに気付かないまま戸棚を探し始めた。
程なくして木葉は2つ、小さな箱を取り出してきた。
木「実はこれ、別のチョコの箱だったのよ。使えるなと思って。」
咲「あ、なるほど。段ボールで作るよりいいですね!」
予想の範疇の外側、完全に無防備な部分を突いた"段ボール"で、木葉のツボが壊れた。
―――――――――――――――――――――
そんなこんなで、木葉プロデュースによるラッピングも終了。
咲はそれを1つ受け取って帰ることに。
咲「今日はホントに、何から何までありがとうございました!」
木「いえいえ、こちらこそ咲ちゃんとできて楽しかったよ。」
咲「あ、ありがとうございます。」
木「じゃあ、明日ちゃんと渡そうね!」
咲「はい! では、失礼します。」
木「気を付けてね~。バイバ~イ。」
2人は手を振りながら別れた。
家に着き、座って一息つく。
咲「ふぃ~~、チョコ作ったぜ~。」
咲は、達成感やら何やらですっかり気疲れしてしまっていた。
しかしそれほど気にならなかったのは、その原因の達成感のおかげである。
ふと、チョコの包装が目に入った。
咲『………そういえば。』
咲はしばらく迷ったのち、意を決して袋を止めているリボンをそっとゆるめた。




