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15-3

翌日の学校は、全く落ち着かなかった。



いつ何処で焔が慎一を視ているか分からない。


どのタイミングで、どのような形で働きかけてくるか、全く分からない。


だから咲は1日中神経を張り巡らし、しかしそれを慎一に気取られてもいけない気がしてそれにも気を遣い、しまいにはへとへとになっていた。




結局何も起きないまま下校時刻である。



慎「咲、大丈夫か?」


咲「だ、大丈夫ですよ…。」


慎『…どうも今日は咲の様子がおかしいんだよなぁ…。』


慎一はやはりおかしいと思ってはいたものの、何故か言えないでいた。




気まずい雰囲気のまま、2人で帰路を辿る。





咲『兄さん、何処にいるんだろう…? 何してくるか全く分かんないからなぁ…。それだけでも聞いとくべきだった……。』


慎「ん?」


咲「え?」




慎一の声でハッとして前を見ると、焔が道の真ん中に仁王立ちしていた。




咲「兄さん!」


慎「兄さん!? え?!」


焔「よ。」



咲はずっとそれに対して神経質になっていた対象が唐突に、しかも普通に現れたショックでつい声を上げてしまった。


それを聞いて驚いた慎一と共に足が止まる。


焔は気のない挨拶もそこそこに近づいてきた。




焔「初めまして。君が東 慎一だね?」


慎「え、ええ…。えと、咲のお兄さんで…?」


焔「いや、咲に兄弟はいない。俺は蒼鬼灯 焔。ご存じ鬼灯御三家の1つ、蒼鬼灯家の末裔で、咲は幼馴染だ。」


慎「あ、なるほど、初めまして。」



慎一は鬼灯族の人間と分かると途端に安心し、緊張しながら挨拶し直した。




だがすぐ、咲のテンションと焔の顔つきから、何か穏やかでないものを感じた。






焔が突然切り出す。



焔「慎一。この後時間大丈夫か?」


慎「え? ええ、まぁ…。」


焔「ちょっと俺についてきてくれ。咲も。」


慎「…?」


咲『兄さん…、何するつもりなの?』




焔は振り返ると、また下駄を鳴らして歩き出し、慎一たちもそれに続いた。















―――――――――――――――――――――――――――――――――















しばらく歩くと、3人は人気のない工事現場のような場所にいた。




慎『何だ何だ…? 何をするつもりだ?』


咲『兄さん……。』



心配そうな2人の目の前に、突然重々しい鉄の音が響いた。




慎・咲「ん?」














見ると、落ちていたのは刀だった。












慎・咲『!!??』





慌てて焔を見ると、既に刀を抜いていた。



夕日に照らされるその刃は、作り物ではない真剣であることを誇っているようだった。







焔「来い。」


慎「えっ!!?」


咲「兄さん!?」





乾いた風がひとつだけ吹いた。





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