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14-1

新学期。


慎一を含め、正月にだらけ放題だらけた世の学生たちは、宿題をちゃんとやってきたとしても重い気を引きずって登校してくる。



教室に入ると、もう結構な人数が来ていた。のは慎一が来るのが遅かったからに他ならない。



勇「お、慎一。あけおめ。」


木「明けましておめでとう。今年もよろしくね。」


慎「ああ、あけおめ。」



そんな状況でも、久々に友達の顔を見れば随分と気は晴れるものである。




と、慎一は咲がまだ来ていないのに気付いた。



慎『あいつも正月休みボケしてんのかな?』


と自分の席に腰かけた時、咲が教室に入ってきた。



慎「お、咲。明けましておめで……とう…。」




咲はものすごくどんよりとした表情だった。




木「あ、咲ちゃん。明けましておめでとう。…って、どうしたの?」


勇「あけおめ。何か元気ねぇな。」


咲「皆さん、明けましておめでとうございます。」


咲は気力で笑おうとしたようだが、厭世的な冷笑にしか見えなかった。


慎「どうしたんだよ、新年早々。」


勇「宿題やってねぇとか?」


咲「いえ、宿題は頑張ってやってきました……。」


木「じゃあ、正月だらけすぎて学校来るのだるいとか?」


咲「……そ、そうなんですよぉ~。」



また咲は全力を振り絞って笑ってみせたが、今の返答に一瞬ためらいがあったのを慎一は見逃さなかった。



勇気と木葉は「咲でもそんなことあるんだ~。」程度にしか受け止めず、実は終わっていない勇気の宿題に2人してまた取り組み始めるに終わったが。




慎『…何か、深刻な悩みなのか?』




隣の席に座る咲に、慎一が意を決して聞こうとした時、咲が意を決したような表情で慎一の名前を呼んだ。






咲「慎一くん。」


慎「あ、ああ、何? どうした?」




咲はここでもためらいを見せるが、先ほどのものに比べ分かりやすく、大きいためらいだった。







落とし気味だった瞳が慎一を見た時、咲の目には涙がたまっていた。












慎『な…何を言われるんだ……?』














ついに一族の誰かが会員の手にかかって……とか、他に好きな人ができて……など、様々な"最悪の場合"が慎一の頭を駆け巡る。







咲「わ、私……」







"私"が主語の段階で、慎一は別れ話を覚悟した。



同時にこれまでの楽しかった思い出に手を振りかけた時だった。












咲「私……このままだと死んでしまうかもしれません!」











慎「……ん? え?」





予想とは違ったが、別れ話以上に深刻な話題で、慎一の戸惑いは深まるばかり。



慎「なん…え? どういうこと? また会員が…?」



咲は大きく首を横に振る。





慎「じゃあ何で…?」



咲はまた大きく息を吸った。





咲「は、初夢で見たんです! 私、このままだと死んじゃうって…。」






慎一は心の底から「は?」とだけ返した。




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