13-5
咲『あ、あのままじゃ…慎一くんが殺されちゃう…!』
咲は、ずっと慎一の後ろに隠れたままで何もできなかった自分が今更ながら悔しくなった。
そして今、慎一と明日香が大ピンチに陥り、助けるのは自分しかいないと了解してから何もできない。
時間だけが過ぎていく。
咲「…あ、あれは…。」
咲は見つけるとすぐにそれを拾い、3人のそばに駆け寄った。
翔「ん?」
咲「じゅ…銃を下ろしてください!」
咲は拳銃を構えていた。
さっき翔が叩き落としたものである。
慎『咲…!』
翔は全く動じなかった。
翔「お前にそれが撃てるのか、南 咲? 手が震えてるぞ?」
咲「う………撃てます!」
咲は視界がぼやけるのを必死で抑えようとしたが、止まらなかった。
しかし、今両手で何とか持っている拳銃なのに、片手で目をふいたりしたら確実に隙が生じる。
慎「咲。」
突然名前を呼ばれ、見ると、慎一が体勢はそのまま、目だけで咲を見ていた。
慎「その銃を下ろせ。」
咲「え、でも…」
慎「下ろせ! お前までこいつらと同じになるつもりか?」
咲はとっさに口をついて出かけた反論を飲み込んだ。
そして、銃を下ろす。
その日何度目かの銃声がこだまして、翔はライフルを落とした。




