竜の眷族化は難しいようです
そうなると、次はルードの番だけど、本当にいいのかな?
かといって仲間外れは可哀想だけど。
「私は、従魔のままでもルードの事仲間外れにしないし、みんなと同じように大切に思っているよ?」
「そう言ってくれるのは嬉しいけど、みんなを見てるとやっぱり違うよね?亜空間や収納庫だけじゃない。意気地無しのスカイが、マナを守る為に必死になったり、上位存在になったユキが、マナに忠誠を誓っている。これは特別な結びつきがあればこそだし」
聞けば、精霊にも寿命は存在しないらしい。ユキの場合は元魔物だけど、私のおかげで精霊に昇格出来たらしい。
とはいえ、私がユキに何かした訳じゃないし。いつの間にかそうなっていただけで。
従魔契約は切る事ができるけど、眷族はそうじゃない。死ぬまで一緒。それだけにより愛おしく感じる。
だからといってルードをないがしろには絶対にしない。
向けられる好意に戸惑っているのかな?それとも私にルードの人生?を背負う覚悟がないのか。
「後悔しても知らないから」
「後悔なんて、するわけない」
「わかった。ならやってみる」
私は意識を集約して、ルードを強く感じる。パスも、もっと大きく、強く繋がるように。
「う…何で?無理…」
通常の眷族化のプロセスでは無理なのか?ルードが捉えきれない。
「戦いながらの方が、無理なくできるかな?」
スキルじゃないんだから。
まあ、試してみる価値はあるか。ルードが長剣を抜いたので、私も得意な方の短剣を抜く。
結果はいつも通りの惨敗。動体視力には自信のある私でも、辛うじて残像が捉えられる程度。反応速度も上がったとはいえ、受け流すのが精一杯。反撃は無理。
次は狩りに誘われた。確かにルビー母さんの時は、狩り中に観察して眷族にできたけど、改めて思う。ルードの存在は大きい。従魔に出来たのは、本当にルードが心から望んだからだと良く分かる。
とりあえず今日は無理そうなので、近いうちにもう一度試してみる事を約束した。
ルビー母さんが色つきの服も作れるようになったので、染色に適した花も農園で育てている。
ユキも青いワンピースを作ってもらったけど、ケットシー姿の時は、何も身につけない。それが普通だったから、何も言うつもりはないし、大きくなったもふもふに、私も満足だ。
ユキの為に、両手持ちのレイピアを作ってやる。
良い選択だと思う。力もあまり要らないし、クロスさせれば防御にも使える。更にはミスリル製だから、軽いし丈夫だ。
突きが主体の攻撃になるけど、ユキは速さも充分にあるから人の姿でも強さにそう違いはないだろう。
付与は、突き強化(大)と、自動修復、クリーンだ。
重い鎧は無理そうなので、ルビー母さんが作ってくれた服に付与を施す。
ルビー母さんにはライトアーマーだ。サイズ自動調節が付いているので、胸の大きなルビー母さんの体にぴったりとフィットして、エロい。
下半身防具は無理なので、せめて履く物をと思ったけど、蜘蛛になったら脱げてしまうので、これも無理。
かかとのない足にフィットした皮靴を作ってみた。これなら蜘蛛になる前にさっと脱いで収納庫にしまえばいい。
足にフィットしているので、脱げてしまう心配もない。
ユキの精霊魔法は、属性魔法に創造魔法を合わせたような物で、ユキのイメージ通りの魔法が出せる。
ルビー母さんが近接戦闘タイプなら、ユキには後衛を任せたい。半精霊になったユキの魔力量は、かなり増えた。
ルードは防具を着ない。人化して戦う時も、普通にシャツとズボンだけだ。しかも普通に売っている綿シャツだから、付与も付けられない。せめてルビー母さんに作って貰えば付与も付けられるのに。
強くても、心配だ。
ルードは待ってくれるって言ってたけど、本当に眷族化できるのかな?
まだ順番じゃないけど、今日は一緒に寝よう。
あの黒竜はルードの事、幼子って言ってたけど、私からすれば充分大人だ。知識も豊富だし、年齢的にはおっさん…いや、人の尺度で測っちゃいけない。
(あれ?今日僕でいいの?)
毛布を持って近づいた私に、ルードが顔を上げる。
順番的にはスカイだけど、沢山もふって代わってもらった。
(眷族化が成功するまで、ルードとなるべく一緒にいる事にする)
(なら今日は、人化して寝ようかな。竜のままより、弱くなるから)
(それは…いい。そのままで)
(どうしてさ?)
(う…何か照れるんだもん)
今まで散々お子様抱っこしてもらって何だけどさ。
「ならやっぱり人化する」
って、もうしてるし!
「そんな可愛いこと言われたら、人化するしかないじゃん」
「何でよ!意地悪!」
「竜なら良くて、人型だとだめなんてないだろ?」
そりゃ、同じルードだけどさ。
うん。6歳の子供がお兄ちゃんと一緒に寝るのは変じゃないよね?
ユキ用のベッドもあってもいいかな?ユキはソファーがお気に入りだけど、二足歩行になって、体も大きくなったしね。




