帰還
ルビー母さんに近付いているのは分かるけど、魔の森の魔物は強く、なかなか先に進めない。
「景色に見覚えはないの?」
「無茶言わないでよ。家の周囲位しか分からないよ」
「なら、今は威圧を使っていくか」
強い魔物も、さあっといなくなっていく。
便利だな。私も欲しいな、威圧。…でも、ルードだから効くのかもしれないけど。
ツリーハウスに着く前に、ルビー母さんに会えた。
「ルビー母さん、怪我してるじゃない!」
「早く会いたくて、無茶してしまったわ」
ルビー母さんは時空魔法を持っていない。もしかして。
「夜通し進んだ?…もう!とにかく一旦亜空間に入るよ!」
ハイキュアとリカバリーでルビー母さんを癒して、私達も、一息ついた。
「娘さんを僕に下さい!…うわ!間違った」
勘弁してよ。ルード。それは前の話しでしょう。何慌ててるの?
そしてこの程度で殺気立たないでよ。ルビー母さん。
とにかく落ち着こう。ルビー母さんとスカイには水をあげて、ルードには紅茶を渡す。もちろん私も紅茶だ。
差別ではなく、ルビー母さんとスカイは紅茶があまり好きではないのだ。
とにかくこれまでにあった事を話したら、ルビー母さんはやっと落ち着いたようだ。
「スカイの話じゃ要領を得なかったから、少し安心したわ。マナは神の娘だからこういう事もあるんでしょう」
「え…そうなの?マナ」
あれ?ルードには話していなかったかな?
「神様からメールが来て、どうやらそうらしいんだよね。この体は、神様が作ってくれたから、娘っていう表現も合っていると思う」
「そうなんだ…あながち間違いでもなかったんだな」
「関係者とかそういうの?でも別に、いつでも連絡取れるとかいうんじゃないし」
「そんな事、僕達にだって無理だからね?」
そりゃそうだ。
(はあ…ますます僕の存在感が)
(スカイはこれでいいんだよ!もふもふで可愛いんだから)
スカイをもふっていたら、ルビー母さんが抱きついてきた。
「マナ…淋しかったわ!」
「あ、ずるい!僕も!」
ルードまで引っ付いてきて、嬉しいやら困るやら。
けど、従魔達にくっつくのは、私も嬉しい。言いようのない安心感が得られるから。
そこからツリーハウスまで結局二日程かかった。
お風呂が大きくなっていたり、キッチンの側に保管庫が増えていたりと細かな違いはあったけど、懐かしい我が家だ。
「うん。ここなら人族はまず入って来ないし、いい場所だね。僕はそっち側の空き地で眠る事にするよ」
「やっぱりドラゴンに戻って眠った方が良いの?」
「今はスキルで無理やり姿を変えている状態だからね。ずっとこのままだと、息が詰まりそう」
そういう事情なら、仕方ないのか。
「マナが一緒に寝てくれるなら、亜空間に入るけど?」
「そういえば絨毯、私の亜空間に入りっぱなしだけど、自分の所に入れたら?」
「亜空間の中は適温だから、別に要らないかな?マナの亜空間の方が居心地がいいし」
「そう?変わらないと思うけど」
「マナの魔力で満ちているから、心地いいんだ」
「んー、それならたまには一緒に寝る?」
一人ぼっちは淋しいもんね。
「毎日がいいな」
「蜘蛛の巣ベッドも柔らかくて気持ちいいし、ルビー母さんは亜空間に入ってたら、獲物が罠にかかっても分からないしね」
それに農園の方のラストダンジョンは入ってないし、沢山増えた異世界野菜や果物、それに大食いの誰かさんの為に米も沢山育てないと。
畑の拡張もして、種も沢山買った。それと亜空間に入れたかったキッチンセット。今日はたまに出る10%オフの日だったので、限界まで買った。勿論アクセサリーを中心に沢山出荷して、次の為の資金調達も忘れない。
旅の間は入れない日も多かったし、新たな野菜や果物も沢山見つけたから、今日は大忙しだ。
それでも夕ご飯前には戻って、久しぶりのルビー母さんの料理を食べる。
そして、本当に久しぶりのステータス確認もしてみた。
マナ(5)
人族 孤児
レベル 61
HP 6027 MP 15661 力 1178
精神 11520 敏捷 1011 幸運 10128
特殊スキル
言語理解 超速自動回復 悪意感知 スマホ
魔力ブースト 祝福 守護
アクティブスキル
属性魔法 補助魔法 結界魔法 付与魔法
創造魔法 精密魔力操作 魔眼 錬金術
鍛冶 テイム 気配隠蔽 投擲 身体強化
忍び足 威圧 透明化
パッシブスキル
家事 解体 状態異常耐性 物理耐性 命中
念話 回避 罠感知 釣り 瞬脚 強力
採掘 偽装 槍術 短剣術 体術
ルビーの主 スカイの主 ルードの主
称号 転生者 神の愛し子
主神サマルトの加護 魔法神ルミナスの加護
愛の神ミローの加護 アカトリエルの加護
皇帝竜の祝福
いつのまにか加護が増えていた。
ルミナス様の加護の魔力ブーストは、普通の魔法でも、意識して魔力を沢山込めれば、より大きな効果が出るようだ。
ミロー様の加護の祝福は、自分が望む相手に自分が持つスキルを覚えさせられるというもの。これでルビー母さんが望めば時空魔法を覚えさせる事が出来る。
皇帝竜って何かと思ったら、インペリアルドラゴンの事だった。私は常にルードに守られている事になる。
ありがたいけど、ルードの負担にならなければいいな。




