チョコレート
ルードが以前行った国、ウーツに連れてきてもらった。ここには鉱山がたくさんある。
その他にも、苦い実が実るらしい。
苦い実…非常に気になる。
それにしても暑い。ユキとスカイはお留守番させてきて正解だったな。
木に、拳大の実がびっしりと生っている。特に育てられてはいないので、遠慮なく実をもぐ。
看破 カカの実 非常に苦い実だが、栄養もある
皮を剥いて、匂いをかいでみる。
「!これ、チョコレートじゃん!」
さすがにこれは予想外だ。カカオ100%かな?
「ちょっと待ってて」
マナはすぐに農園に入り、実を出荷箱に入れてニ拝ニ拍手一拝した。
「どうか苗木が出ますように」
すぐに出て行ったら、変な顔された。
「随分と早いのね」
「待たせたら悪いし、絶対欲しい物だからすぐに出荷したの」
「マナ、さすがにこれは苦過ぎると思うよ」
「ふふふ。これが凄く美味しくなるんだよ?」
ミグの実のように、あまりにも気温が違い過ぎると育てられない事もあるので、生っている実もたくさん取っておいた。
ふふふ。やっとチョコレートが食べられる。チョコレートケーキに、生チョコに、ココアに…ふふふ。
「ある意味通常運転だな」
「ふふふ、そうね。いつものマナね」
きっと、この実を使った料理を考えているのだろう。実に幸せそうだ。
「で?マナ、この国はもういいの?」
「えへへ」
「聞いてないみたいだな、ルビー」
「困ったわね。どうせならお買い物もしたいけど」
「あ、お買い物、私も行くよ!」
「ねえ?あとは何か変わった食材とか知らない?」
「そもそも基準がよく分からないかな。ジューソが、綺麗にする物が食材になったり、あと便秘薬も」
「それは恥ずかしいからあんまり言わないでよ!」
「あとは、南のボネットには海岸ダンジョンがあるらしいね」
「おー!海の幸ダンジョンだね!」
「えええ…中までは知らないよ?少し待ってて、ゲートを開いてくるから」
透明化のスキルを使って飛び去ったルードを見送り、マナはルビーと買い物に行く事にした。
あ、パイナップルがたくさん売っている。買おう!
パイナップルは出来れば缶詰で食べたいよね。
缶詰って、どうやって作るんだろう?
「あとは桃缶とか、みかんもいいな。サバ缶も美味しいよね」
「缶?」
「あれ?声に出してた?」
「思いっきり心の声ダダ漏れだったわよ?」
あう。ちょっと恥ずかしいな。
「あら、またテングサ買うの?」
「結構減るんだよ。羊羹の他にもゼリーとか色々使うから」
こんな風に遠出した時が買うチャンスだし。誤解されたまま同じお店で買うのは非常に恥ずかしいからね。
「カカの実はどんな物が出来るの?」
「それは出来てからのお楽しみだよ」
上手くいくかも分からないし。
しばらく待っていたら、ルードの気配がした。
町から出て亜空間移動して、港町に入った。まずはダンジョンの情報収集をしないとね。
やっぱり海産物が多いみたいだ。隣の国に来ただけなのに、随分と気温も違う。これならユキとスカイを連れてきても大丈夫だろう。
「ダンジョンは、蘇生石がもう一つ出来てからのお楽しみだよ」
「え…ここまで来て?」
「スカイと僕はともかくマナは付けておかないと、不安だからね」
「むう…無理しないのに」
まあ、あんな事があった後だから仕方ないかな?
それに、ルードにも蘇生石を付けておかないと、私に何かあった時に大変だから。…やっぱり毟ろうかな?
ツリーハウスに帰って、木に止まっているスカイを捕まえた。
「スカイー?いっぱいもふもふしてあげる!」
(ピッ?マナ…羽根が欲しいの?)
「過保護なルードが、せっかく見つけたダンジョンに入らせてくれないんだよー!」
(分かった。痛くしないでね)
やっぱり私には無理だよ。スカイの羽根を毟るなんて。
(マナ、いいの?)
「いいよ。自然に抜けるのを待つから。ダンジョンは逃げないし」
焦る必要はない。チョコレートも作ってみたいしね!




