島を助ける為に
亜空間から出る皆を見送ってマナは、アカツキと一緒に農園に入った。
「アカツキ、畑をお願い。小麦は製粉機に入れないでね」
(了解シマシタ)
やらなきゃいけないのは、ウィンゼル島の移動。エルフの国の西の海だ。
何故そこじゃないといけないかというと、多くの精霊の力を借りないといけないから。
その為にはまず、デモンズイルの魔素を一時的にでも整えなきゃいけない。その為の魔道具はレシピは一応貰っているけど…材料はまだ揃っていない。
あとはダンジョンを覆う位の聖別の結界。ダンジョンコアが回復するまでは必要だ。
多分、鳥人族なら全員入れると思う。
こっちは材料は一応揃っている。ルードが大きく折ってしまった世界樹の枝が役に立つ。
とりあえず材料の一つである魔宝石を作り、道具屋を覗きに行くと、モチゴメの種籾が売っていた。
餅つきの魔道具も作らないと。
アカツキに種籾を渡して、小麦は粗い製粉をするように頼んだ。パスタ用だ。
普通に製粉機に入れてしまうとさらさらの小麦粉になってしまうから、パスタには向かない。
幾つもの材料が必要だし、錬金術で作った物を材料にしたりしないといけない。
あれ…材料足りるかな…アースドラゴンの爪は、ルードが自信たっぷりに持ってきてくれるって言ってたけど。
もう少し、世界樹の葉が欲しいな。
とにかく今出来る分の物を作ってしまおう。
幾つか失敗したけど、鉱石類は在庫がたくさんある。今はオリハルコンだって使い放題だ。
先に薬草が尽きた。
種の在庫はあったけど、蒔くスペースがない。明日以降になるな。
バタバタしてる。あっちもこっちもとか無理だ。
私はそんなに器用な方じゃない。とりあえず、パスタでも作って落ち着こう。
夜、カルボナーラを食べながら、みんなの話を聞く。
鳥人族とエルフ達にはもう話を済ませたようで、了承を得たと聞いて驚いた。
ルードの方は、謁見の約束を取れたようで、後半は王都北にあるダンジョンに潜っていたそうだ。
「聞いてない!ダンジョン行くなら私も行きたい!」
「そこでアースドラゴンの爪を採るんだよ。デモンズイルのダンジョンは、最高難度と言われているから。それにマナにはやることがあるし」
「え!ダンジョンにドラゴンが出るの?」
「まだ、ドラゴンが出る所まで行けてないけど、マナは作る方に集中して欲しいな」
むう…今は仕方ないか。
「あとは、魔素の結晶っていうのが必要なんだけど、どこにあるか知ってる?」
「それならにゃーが分かるにゃ…でも多分すごく貴重な物にゃ」
「危険な場所なの?」
「それは分からないにゃ。でも方向は感じられるにゃ」
「なら、ルビーとスカイを護衛に付けて、行って貰おう。距離とかは?」
「うにゃ…多分そんなに遠くないにゃ」
「ユキの感覚が頼りだな。危険があるようなら、無理しないで」
「分かってるにゃ」
「私も明日、世界樹の葉がもう少し必要だから、黒竜さんの所に行ってくる」
「あんなにいっぱいあるのに?」
「枝葉が必要で、あれ丸ごと必要なんだ。それと…やっぱり結構難しくて」
「了解。マナも頑張ってね」
みんな頑張っている。私も魔宝石を作れる位には錬金術も上手くなったけど、まだまだ努力は必要って事だよね。
焦る必要はまだないけど、頑張るみんなを見てたらもどかしくなる。
「大丈夫、マナなら出来るよ」
「マニャはにゃーを助けてくれたにゃ!」
「マナは母さんの、自慢の娘だから大丈夫」
「応援しかできないけど…頑張って」
「ありがとう!みんな…私にできる精一杯の事をやるよ!」
錬金術は私しかできないんだから、私がやるしかない。
うん。眷属達に元気ももらえたし、明日からまた頑張ろう。




