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マナと眷属達

 ポーラのおばあちゃんの魔晶石を机に飾って、魔石を丁寧に合成する。魔力の質が違うから、同じ物は作れない。分かってはいるけど、あの時の綺麗な魔法が忘れられない。


 無詠唱も関係してるのかな?

 マナは、きちんと詠唱してクリーンを使ってみる。

 僅かだけど、無駄になる魔力の量が少ない。だからといって、特に戦いに使う魔法に詠唱はしてられない。

 それに学校で習った呪文は、数が少ない。私はほとんど全部の呪文を使えるから、今から呪文を調べて覚えるのは、気が遠くなる。

 あとは性格の問題もあると思う。おおざっぱで深く考えない私は、本当なら魔法使いには向いていないんだろうな。


 ツリーハウスに戻った私は、蜘蛛の糸で新しい服を作っているルビー母さんの隣に座った。

「今日はスマホから出てくるの早いのね」

「農作業をあんまりしていないからかな」

 言いつつ、ルビー母さんをじっと魔眼で見る。辺りに漂う魔素は、メーダの町と比べて段違いに多い。それを上手に取り込みながら、蜘蛛糸を出している。

「蜘蛛の糸を出すのには、魔力ってあんまり使わない?」

「…少なくとも、出し過ぎで魔力切れを起こした事はないわね。どうしたの?急に」

「何でもないよ」


 キッチンでカシオブツを削っているユキは、ご機嫌だ。

 パスを通して覗いたユキの収納庫の中は、ずいぶんカシオブツが減っていた。

 またカシオブツの木を切り倒さないと駄目だね。

「今日は猫まんまを作るにゃ。楽しみに待ってるにゃ?」

 ユキの周囲を魔眼で観察していたら、魔素の他にも透明な何かが漂っている気がして看破してみるとそれは精霊だった。

『スキル 精霊視を覚えました』

 コールも久しぶりに聞くな。


「ユキの周りには精霊が沢山居るんだね」

「視えるにゃ?マニャの周りにも居るにゃ」

「…あ!本当だ。何で?」

「精霊は、綺麗な魔力が大好きにゃ。マニャの魔力は、神様の味にゃ!」

 まさかの食料品扱い!体作ったのが神様なんだから、魔力が神様味なのも仕方ない?

 …いや、魔力に味があるのも初耳だけど。


(マナ、お土産)

 スカイが飛んできて、ハイオークと魔石をくれる。

 人化したスカイの腕に物体Xがついている。…練成が甘いな。

「これ、いいでしょ?新作なんだ」

「練成が甘くない?」

「これでいいんだよ。金のきらきらは、不純物を抜き過ぎると弱くなるから」

 …確かに。


「スカイ凄い!教えてないのに、それに気がつくなんて」

「えへへ…褒められた」

 私の体に頭を擦りつけるのは鳥だといいけど、人化した大人の姿だと、スカイがロリコンの危ない人に見える。

「スカイ、人の姿でそれは禁止ね」

「え!何で?」

「スカイが危険人物になるから」

「そうなの?…分かった。でも、誰も見てなければいい?」


「だーめ」

「なんでー!」

「それはスカイが雄だから」

 この世の終わりみたいな表情しないでよ。

「フェニックスならいいの?」

「いいよ」

 サンダーホークの頃から頭を擦りつけてたから、癖なのかな?

 大きくなったもふもふが、甘えてくるのは私も嬉しい。


 そういえば、ルードがいない。また黒竜さんの所かな?

 違う。気配が遠い。

「ルードはどこに行ったのかな?」

(さあ?苦手を克服するとか、何かブツブツ言ってたけど)

 うーん。無茶してなきゃいいけど。

 眷属が私の亜空間に入って来られるんだから、当然逆も可能だ。そして、直前に使ったゲートも繋げられる。


 ここは、確か湖の町ガランだ。ルードの気配は、湖の方から感じる。もしかして釣り?


 違った。泳いでいる。

 夏だから他にも水辺で遊んでいる人はいるけど、湖の中にも当然魔物はいる。魚が魔物なんだから、当然だ。

 そうか。湖内ダンジョンに行く時に、泳げなかったのを気にしていたんだ。

 努力家なのは認めるけど、もう泳ぐ必要はないよね?


「マナ!どうしたの?」

「特に用事はないよ。ただ、念話が通じない距離にいるから、様子を見にきたの」

「心配してくれたんだ」

「パスを偽装できちゃうルードは、信用がないの」

「むう…獲物は捕ってきたよ」

「毒なし?」

「あるのはもう食べちゃったよ。小さいけど、魔石も分けたし」

「ありがとう」

 あとでじっくり検分するのさ。見た事がない魚が居れば、釣れる種類が増えるかもしれないからね。


「泳げるようになった?」

「まだ微妙かな。息が続かない」

 あれ…ルードのスキルじゃなかったんだ。まあいいや。

「マナも泳ぐ?」

「ん。お昼ごはん食べたらね」

「僕はいいや。魚を結構食べたから。待ってる」

 まだ泳ぐのか。放っておくと、何時間でも泳いでそうだな。

 それにしても、食欲魔神のルードがお昼ごはんを食べないなんて、一体どれだけ食べたのか。


 仕方ない。お昼ごはんを食べたら、迎えに行くか。


 

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― 新着の感想 ―
[一言] ルード、湖の生態系を壊さない程度に食べてくれ。(笑)
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