細工師スカイ
ツリーハウスに戻る前に、森の入り口近くで魔物を狩って、小さな魔石を手に入れる。ついでに受けた依頼の魔物もいた。ラッキー!
このままツリーハウスまで、魔物を狩りながら進んでもいいかな?
あ!冒険者がヘルハウンドに襲われている!
マナは高速で近づき、短刀でヘルハウンドの首を一刀両断にした。遅れてやってきたヘルハウンド達にも、魔法を浴びせる。
キュアで噛みあとを治療した頃、ルード達が来た。
「こっ…こんな小さな子が、ヘルハウンドを倒した?」
「嘘…」
「お兄さん達、無理しない方がいいですよ?」
「こらマナ、横殴り禁止」
「いえ!助かりました!」
「魔の森は危ないですよ?」
「いや、俺達はCランクだけど、そろそろBランクに届く位の実力があるんだが…お嬢さんも冒険者?」
「うん。Aランクだよ」
「ええっ…!嘘!」
「この間10歳になったから、やっとAランクになれたんだよ」
「10歳…?」
なんで信じられないって顔してるのかな?私、10歳に見えないかな?
「私…まだまだだったわ」
「俺も、かなりイケてる方だと思ってたのに」
二人ともトボトボと帰って行った。
「私!ちゃんと10歳に見えるよね!」
「………そうだな。マナは大きくなったもんな!」
「だ、大丈夫よ!ね?ユキ」
「にゃーは分からないにゃ」
「でもマナは身長は伸びたよね?」
「ああ!身長は伸びたよな!」
「そうよね!胸も微妙に大きくなっているし!」
「むぅ」
何かが微妙に嬉しくない。
小さな魔石同士を合成する事には成功した。とはいえ、これは魔晶石とは呼べない物だ。
でも、少しだけコツみたいな物が掴めた気がした。
調子に乗って魔の森で採れる魔石を合成したら、砕けた。
先は長そうだ。
「ねえアカツキ、ロボットみたいに、私が乗って戦う事は出来る?」
(ロボットトハ?ノルトハドコニデスカ?)
「うーん。説明は難しいんだけど、アカツキの体は大きいじゃない?体の中に穴を開けて、私が入って動かせるようにならないかな?外が見えるように、強化ガラスとか付けて」
(不可能デハアリマセンガ、装甲ガ薄クナルト、主ヲ守ルコト二不安ガノコリマス)
「あ、ならルードの鱗使えないかな?強度はバッチリだよ!」
(主、ソノ前二、魔力ヲタメル魔石ヲ)
はいはい。分かってるってば。
「その前に、新しいマジックバッグね。今度はワーウルフの毛皮で作ったから、破けたりしないよ?」
(アリガトウゴザイマス)
いいな。もふもふバッグ。私も欲しい。どうせならもっと毛の柔らかい魔物がいいな。
農園に、ミグの実がなる種も、苗木も出て来ない。
「みんな!ダスカーに行かない?」
「ふふふ。そろそろ言い出すと思っていたわ」
「だね。準備はできているよ」
うん。お見通しだね。伊達に何年も一緒にいる訳じゃないよね。
「あれ?スカイは…自分の亜空間か」
「またガラクタでも作っているんじゃないかな?」
自分の作品?が売れてからというもの、鍛冶に熱が入っている。
「なら、納品に王都に行ったら、スーレリアに行って、北を目指そう」
(王都に行くの?)
「依頼品を納品しなきゃならないから、ちょっとだけだよ?」
(僕のきらきらが売れたか確認したい!)
「あー。はいはい。行ってらっしゃい」
今回は、待ち伏せされる事もなかった。次の依頼を持ち出されたけど、ダスカーに旅行に行きたいと言ったら、現地にいる魔物の姿や、素材等を懇切丁寧に教えられた。
それは採ってこいって事?いや、出会うかどうかも分からないんだけど。
まあ、魔物の情報はためになるからいいけどさ。
スカイは、私について来て欲しそうにしてたので、一緒に行動してたけど、大の大人が子供に付いて来てもらうってどうなのさ。やはりペットは飼い主に似るのだろうか?スカイは、私以外の人族と喋った経験が少ないから、仕方ないかな。それはルビー母さんやユキも一緒だけど、ルビー母さんは堂々としてたし、ユキは全く気にしていなかった。
やっぱり性格かな。
「おお!細工師のラズリ殿!」
「さ、細工師?ええと…」
「売れましたよ!これからの作品も期待しまして、更に金貨5枚ずつ上乗せさせて頂きますね!」
ふうん…て事は、あのガラクタに金貨10枚以上の値段が付いたんだ。…物好きが多いんだな。貴族は。
「それで先生?まだ譲って頂ける作品はございますか?」
「せ…先生」
(あとはスカイの好きにしてもいいよ?他の国の王都で売ってもいいし)
「えっと…銀のきらきらなら」
「銀ですか…!おお!これは…ここの曲線が素晴らしいですね!金よりは流石に値段は落ちますが、この二点で、金貨5枚でいかがでしょうか?」
「なら、それで」
「先生は謙虚な方ですね!値段の交渉も、いくらで売られたかも聞かずに」
「売れただけで、嬉しいから」
そりゃ、みんなには理解されずにガラクタ扱いだからね。
ごめんね、スカイ。私、未だに分からない。




