表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/242

攫われたマナ

 それから何度か森に連れて行ってもらった。

 森の魔物は強くて、おかげでゲーム内の魔物が雑魚に感じた。

 このゲームには、クリアというものがない。図鑑を埋めていくのもいいし、育てられる種もまだある。

 それに、神様がゲームにない野菜等も入れてくれているし。

 特に果物は嬉しい。


 ダンジョンは一つだけ残っている。

 今までのボスばかりが出てくるダンジョンだけど、究極の金属であるオリハルコンが採取できる筈だ。

 今日は何をして過ごそう?のんびり釣りでもしようか?


 今まではゲーム内に殆ど毎日入っていたけど、収納庫のストックも増えたし、森に連れて行ってもらえる時は、行かない日も増えてきた。


 サイズ自動調節を付与しても、小さくなった服は着られない。

 ルビー母さんは伸縮性のある糸も出せて、だからこの世界にゴムがあるかは分からないけど、下着もズボンもぴったりフィットする。

 染料は手に入らないから、全部が白だけど、ルビー母さんが少しずつデザインの違う服も作ってくれるので、重宝している。

 特にお気に入りは、ワンピースとスパッツのセットだ。

 やっぱり女の子だからスカートも穿きたいけど、それだけだと戦闘の時に防御力が不安だから、スパッツとロングブーツで補っている。

 

 そうして、もうすぐ5歳になるある日。事件は起きた。

 風邪を引いて怠かった私は、蜘蛛の巣ベッドの上で、小説を読んでいた。

 ルビー母さんは狩りに行ってしまい、スカイは一緒にお昼寝中。

 うなじがチリチリとするような嫌な感覚。それと突然の強風に驚いて顔を上げると、金色のドラゴンと目があった。

(これが?…間違いはなさそうじゃの)

 え?念話?…!

 ドラゴンはマナを掴むと、空に飛んだ。マナの手から、スマホが落ちる。

(マ、マナ!)

 スカイは、ドラゴンが怖くて近づけない。

(離して!…下ろして!)

 今放り投げられたら絶対死ぬ。

 しかしドラゴンは無視して飛び去った。凄いスピードで、結界を張らないと息が苦しい。付いてきていたスカイも、あまりにものスピードに、追いつけないようだ。


 しばらく飛んで、山の上に降りた。

 捕まえられたドラゴンよりも随分小さい、やはり金色のドラゴンがいた。

(母様、何故人の子を連れてきたんですか?)

(これは只の人の子ではないわ。分からぬか?この小さき者の発する力を)

 地面に降ろされてもまだクラクラしているマナは、うずくまっていた。

(妾はこれをお前の番にしようと連れて来た。ドラゴンの女王の子の番として、これは相応しい者じゃ)

(ええっ?!人の子なんてすぐに死んじゃうじゃないか)

(だからこれは、只の子供ではないと言っているのじゃ)

(森に帰して!)

(母様、同意なく攫ってきたんですか!なんてことを…)

(これも竜族の繁栄の為じゃ。娘、お前は上位存在であるインペリアルドラゴンの番となれるのじや。有難く思うが良い)

(番が何か分からないけど嫌!私はルビー母さんとスカイの所に帰りたい!)

(母様、誘拐はだめだよ。インペリアルドラゴンは誇り高い種族じゃなかったの?)

(うむぅ…なら一度あの森に戻り、娘の親に了承してもらうのじゃ)

(なら僕が行くよ。母様はここを長く離れる訳にいかないだろう?)

(うむ…そうじゃな)

 子ドラゴンの姿が、青年の姿になる。

「大丈夫?顔色が悪い。母様が無理をさせてごめんなさい」

「!ドラゴンが、人になった!」

「人化のスキルだよ。ごめんね、ここは岩場だから、柔らかい所もないけど」

 スマホもないので、ゲーム内で休む事もできない。

 とりあえずリンゴジュースを出して飲み、一息つく。

「へえ?時空魔法を使うんだね。なら亜空間は?」

 分からないけど、使えない魔法なので、首を横に振った。

「まだ小さいもんね。収納庫を使えるだけでも凄いよね…そうだ。嫌じゃなかったら、抱っこしてあげるよ。どう?」

「ん…少しだけ、眠りたい」

 マナは、青年の腕の中に収まった。…親ドラゴンは怖いけど、この人は誠実そうだ。

 短い眠りだけど、少しだけ具合が良くなった。


 ルビー母さん心配しているかな?スカイも。遠すぎて念話が届かない。

『補助魔法 神器召喚を覚えました』

 …え?神器で思いつく物は、スマホ位しかない。

 とりあえず初の補助魔法を使ってみた。

(ピイー!?!マナ?)

(あれ?何故にスカイが?)

「召喚獣?」

「従魔だよ。スカイ、もしかしてスマホ持ってる?」

(マナの宝物、持ってきた!ルビーが今、出かける準備してる。僕も準備してたんだけど…)

 スカイは収納庫から、スマホを出した。

(なら、私は大丈夫って伝えて。母さんが森から出たら騒ぎになっちゃうから。時間はかかってもちゃんと帰るからって)

(うーん、パスは切れてないけど、すごく遠いよね?)

(うん…でもお願い!スカイだけが頼りなの!)

(マナは大丈夫なの?)

(うん。大丈夫だから、お願いね)

(分かった!任せて!)


 スカイは、空に飛び立った。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ