人と妖怪の恋の道-二-
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午前中の授業を終えた真司達はお昼休みに入り教室で食べていた。
「おー、今日も真司の弁当は美味そうやなぁ〜」
物欲しそうに真司のお弁当箱を覗き込む海。
真司のお弁当の中はポテトサラダに海苔醤油の卵焼き・アスパラと人参のベーコン巻き等が入り、白米にはおかかの混ぜ込みご飯だった。
そして、後の口直しとしてカットフルーツがお弁当箱とは違うもう一つの小さな箱に入っていた。
「えーと……なにか食べる?」
真司は海の美味しそうに見つめる目がお雪に似ていて苦笑する。すると海が嬉しそうな表情で「やった!!」と言って真司のお弁当にあるベーコン巻きを一つ取った。
美味しそうに食べる海を横にいる遥が呆れた目で見る。
「お前なぁ、ええ加減宮前にたかるの止めろ」
「えぇ〜、だって美味しそうやん? 他人の食べる物ってなんでこんなに美味しそうに見えるんやろうなぁ」
「あ、その気持ちわかるかも」
真司の賛同に海が「やんなぁ!」と嬉しそうに答えた。
「宮前にもそんなことあるんか? 誰かの物が美味しそうに見えたり」
遥の質問に真司が苦笑しながら話す。
「小学生の時なんだけどね。父親とアイスを食べててさ、その時に父親のも美味しそうに見えたんだ。で、一口頂戴って頼んだことがあったんだ。同じアイスでただ味が違うだけなのにね。不思議だよね」
「あるある! 俺も母ちゃんのプリン美味しそうで勝手に食べたこともあったわ」
「ふーん。俺にはそういうのはようわからんな」
遥はご飯を食べながら淡々としながら言った。
「確かに神代はそういうの無さそうだね」
「まぁ、遥は無関心やからな」
真司にコソッと耳打ちする海に遥が「おい、聞こえてるぞ」と言いながら海の頭にチョップした。
そんな他愛ない話をしている頃、あやかし商店街では雛菊が菖蒲達から現代のマナー基常識レッスンが行われていた。
菖蒲と白雪は伊達眼鏡を掛け、菖蒲は指示棒を持ち白雪は黒のマジックを手に持っていた。
どこから出したのかわからないホワイトボードに、白雪がマジックで文字を書きそこから菖蒲が雛菊に説明する。
「雛菊も見たことがあるように、現代の交通機関というのは車・バス・電車などがある。今回、お前さんが最も使う乗り物……水族館に行く為には〝電車〟という物に乗らなければならぬ」
「あの蛇のように長い物ですよね?」
雛菊の言葉に菖蒲が「うむ」と言いながら頷く。
「先ずじゃが、電車に乗るには〝切符〟という物を購入しなければない」
「きっぷですか?」
首を傾げる雛菊に菖蒲が白雪がホワイトボード描いた切符の絵を指示棒で指す。
「これが切符じゃ。サイズは指の第二関節ぐらいじゃの。しかし! 今の世は、更に技術が進化しているのじゃ!」
菖蒲がそう言うと、白雪は着物の袖の中からある物を取り出した。
雛菊は「それはなんでしょうか?」と言いながら白雪が手に持っている物を見る。
「これは、ICカードと言われる物じゃ。このカード一個で買い物の精算からバスや電車といった交通機関何でもできるのじゃ!」
「まぁ、そうなんですか!?」
口元に手を当て驚く雛菊に菖蒲は深く頷き話を続ける。
「して、切符を買うのは雛菊には難しいと思うので、今回はこのカードを雛菊に渡そうと思う」
「どうぞ」
ICカードを手に持っていた白雪は雛菊にカードを手渡すと、雛菊は興味深そうにICカードの端から端まで表から裏までじっくりと見た。
「そのカードで白雪が描いたような絵……つまり、改札を通るのじゃ。ここにピッとしてサッと出るのじゃぞ」
「ピッとしてサッと出る……」
「うむ。タイミングがズレれば扉が閉まってしまうからの。ということで……」
菖蒲は指示棒をホワイトボードのペン置きに置くと「お雪、星」と二人の名前を呼んだ。
菖蒲名前を呼ばれたお雪達は、改札口に似たお手製ダンボールを持って居間に入って来る。
「じゃじゃーん♪」
「雪芽と……作った」
二人揃って自慢気に鼻を鳴らす。
テーブルを白雪達が端に置くと、お雪と星はお手製改札口をテーブルを置いていた場所に設置し始める。そして、お雪と星は改札の左右に分かれるとその場にしゃがみ改札の外側にある白い紐を握った。
菖蒲はニコリと笑みを浮かべると雛菊を見ると「では雛菊よ。今から上手く改札を抜けれる特訓じゃ!」と雛菊に言ったのだった。




