エピローグ(続き)
ま、帰るなとか言い出すぐらいやから、デニスさんを送りがてらガッシュタルトへ小旅行っちゅうのは当然アウト。けど、さんざん待たせた揚げ句に空手やなんて恐縮やし、あたしも「異世界とりかえばや物語」のメンバーとは何とかして連絡つけたい。せやけど、どっちも動かれへんしなぁ……
けど、あたしは机の前のノーパソ見ててひらめいた。(あ、アクセスポイント!)
あたしのスマフォみたいに、なんかの波長をもったもんをデニスさんに持って帰ってもうたら、それにこっちから電波(魔力)飛ばして位置確認したらええんとちゃう? 魔法版GPS、できるかどうかは判らんけど試してみる価値はある。
あたしはその考えを[宅配便]でフレンに送った。て言うてもなんのこっちゃない、シュバルの家の玄関をロックオンして、[宅配便]っちゅうて品もん投げるだけ。これであのワゴン車も送った。ただ、1tを超すワゴン車をタダでは投げられへんから、フレンに[Move]かけてもうて。連係プレーや。
結果、魔法版GPSは大成功で、持ってった媒体は魔法版スマフォ改めマジフォ(モノがスマートちゃうかってんもん。だから魔法版スマフォを縮めてマジフォ)として大活躍。セルディオさんから、「異世界とりかえばや物語」の主役――櫟原幸太郎(コタロウやのうてコウタロウやった)さんと、宮本美久さんの連絡先も教えてもうた。
けど、幸太郎さんはあの櫟原の社長さんやて言うし、美久さんは奥さんの絵梨紗さんの母親の実家を継いでリヒテンシュタイン在住って言うからビックリ。
まぁ、地球では反対側ぐらいの距離やけど、こっちからすると次元を脱けんのは一緒やし、座標さえきっちりわかってたら、魔力さえあれば、地球から行くよりずっと楽やったりする。なんせ、タイムラグがないもんやから、リアルパトリック改め、ガッシュタルト宰相から、最近王様になったビクトール陛下(けど、陛下って言うたらめちゃ怒るんやけどな。そんでもタメ口とかはでけへんと思わへん?)ちょこちょこリヒテンシュタイン経由で遊びにくるようになった。
ほんで……
「えーっつ! デニスさんて、グランディールの前国王陛下の弟さんなんですか!」
デニスさんの本名は、テオブロ・ミュートス・ランコーダ・グランディール。幸太郎さんのドッペルゲンガーの叔父さんで、表向きは謀反の罪で幽閉されて自害したことになってる。……そら、プロフィール発表でけんはずや。
のんびりと実家で過ごさしてもうたあたしは、一ヶ月後、シュバルに戻り、その年の暮れ、女の子を産んだ。名前は、クリスマス近かったし、(そんなんこっちでは関係ないっちゃそうやけど)あたしの千鶴と同義の長寿を願うアンジュ(安寿)に。
けど、またこのアンジュが、とんでもない量の魔力を持って生まれてきてしもて……まぁ、あたしとフレンの相乗効果て言うたらそうやねんやろけど、シュバルで生まれ育ったネイティブアンジュは魔道語は日常会話。しかも、ジジバカと化したウチのお父が世界に誇る日本のアニメをあたしほどやないけど、魔力を持ってるユージに[宅配便]で送りつけさしたりするもんやから……
「コラ、アンジュ! 箒は飛ぶもんちゃう言うてるやろ。何遍言うたら解んねん!」
今日もこっそりデッキブラシを持ち出して、飛行中。
けど、魔法は持続が一番難しいねんから、アブナイ……て言うてる間にほら、墜落した(ため息)
「マミー、マミー、うわぁーん!」
泣くんやったら最初から飛ばなええねん。
ホンマ、これから先が思いやられるわぁ。
えー、一応短編で出した部分に関しては補完できたのはないでしょうか。
この後、どーでも良い小ネタとか視点別をかくかもですが、とりあえずはこれにて閉幕。
この後、一本別視点のネタバレ番外があります。




