エピローグ
【界渡りをして子供にもし何かあったらどうする!】
【大丈夫だよ、普通にこっちに来れたじゃん!】
【それはたまたまだ。次はどうだかわからんだろう、ダメだ、ダメだ!】
んで、結局あたしは車を飛ばすのを手伝うただけで、そのまま実家に残された。フレンが心配しまくって界渡りをさしてくれへん。折角お父がゆるしてくれたのに。
最初は生まれるまでおれとか言われてんけど、それは意地でも阻止した。せやかて、こっちであたしは死亡フラグ立ってるし。帰ってきました言うても、手続きややこしいし。大体、おれへんかった時のことをどう説明すんのん。保険も返せって言われそうやし、住民票とか回復するのもなぁ……こっちの戸籍に入れたらちゃんと父親がおんのに、確実シングルマザーやんか。書類上だけやからて言うてもそんなん悲しいし。
そう言うてごねまくった結果、安定期に入ったらあっちに帰るってことで決着した。そら、日本の医療技術はすごいよ。けど、日本にはフレンみたいな人間エコーなんておらへんもん。あたし的にはそっちの方が絶対安心。
けど、一月くらいおることになってしもたから、あたしは短大時代の一番仲良かった子にだけ連絡した。一人の子は、電話してあたしやて分かると、悲鳴上げて切りよった。幽霊やと思われたらしい。
「幽霊が電話なんかするかいな」
って言うたら、
「せやかて、電話で取り憑かれるとかあるやん」
て……あんたそれ、ホラー映画のみすぎや。
そのくせ、あたしが死んでないと解って、しかも異世界で結婚してその相手が医者で伯爵様(公爵はランスさんが継いどるから。けどフレンは、あの『テレビ電話』とかの新魔法の褒美として一代限りの爵位をもうた)でイケメンやと分かったら、
「あたしにもお貴族様紹介してぇや」
てころっと態度変わるんやもん。あんたなぁ、トリップすんのって、魔力めっちゃ要るんやで。合コンなんかに使えるか、んなもん。カップルなんかになられてみぃや、相手にそれ相当の魔力がなかったら、こっちが飛ばしたらなあかんねんで。そんなんやってられへんし、大体、家族にどない説明すんのん。あたしかて、ここまでくんの大変やってんで。




