表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/61

現れた風景

ここは、何処だ……」

 そこは薄暗い寝所の灯りから一変、一面の光の海だった。あまりの眩しさに一瞬目が眩んだほどだ。そして、被せられるように押し寄せる喧噪の波。メイサは夜だったが、ここは昼間なのだろうかと空を見上げると、高い塔が乱立する隙間に見えるのは、間違うことなき夜空。どうやら、人為的に光らせているようである。何のために……祭りでもあるのだろうか。


 道行く人々の言葉は全く分からなかった。それにしても、彼らの言葉は皆一様に声高で、早口なので、まるで罵り合っているようにしか聞こえない。しかし、合間に笑いが挟まれているところをみると、本当はそうではないのだろう。歩く速度もおそろしく早い。


 気がつかぬうちに眠ってしまったのか、と思って顎を掴んで捻ってみた。痛みがその部分に走るが、周りの景色は変わらない。

(やってしまったか……)

俺はその時になってようやく、自分が魔道語で呟いていたことに気づいた。頑是無い子供ならともかく、この歳になって、口語と魔道語を取り違えてしまうとは……情けない話だ。

 

 では、ここに俺の伴侶となるべき女性がいるのかと見回してみるが、人出は多いが魔力を持っている者が少ない、否、皆無だ。

「やはり眉唾だったではないか」

と踵を返して戻ろうとしたとき、『彼女』は現れた。

 全く魔力のない集団の中で一人強力な魔力を放つ『彼女』は、俺にとっては存在そのものが最も強い光のようだった。


 当然のことながら、『彼女』の話す言葉は分からない。だが、その何とも楽しそうにまくし立てるその姿に胸が高鳴る。


 そして俺は、悪い術に操られるようにその光の中に一歩を踏み出した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ