Ordinary Men(Intro)
「助けてくれ、殺される!」
「1日8時間の睡眠は平時の兵士にとっての義務」
「捜査権を移してもらいたいんだが、
この書類にサインをしてもらえないか?」
セベッソン大尉との付き合いもだいぶ長くなってきたので、
彼の言う「ほぼほぼ疑いなく」は、
せいぜい「俺の直感はそう言ってるんだよ」
程度であることも分かってる。
「マーショヴァー卿は報告を心待ちにしておいでです。
費用よりも時間を優先して、
貴殿の任務をお果たしください」
「でも本質的な謎は解けていない」
「ボスの前では少尉もただのヘタレですよね」
「明日の13時から5日間」
「あーあ……もう信じらんない。
ねえ、少尉って童貞でしょ?」
「一曲お相手願えますかな、マドモワゼル?」
「こちら、栄光あるヴージェ共和国陸軍、最大最悪のクソ野郎よ」
「丁寧なご挨拶をどうも。
私はヴージェ共和国陸軍、最大最悪のクソ野郎です」
いけない、思考と口調が乱れてきた。
僕は機械。
ただの精密機械だ。
「どうせ飛び降りるなら、目を開けたまま落ちたほうがマシだ。
絶景を楽しめ、少尉」
「そんなことは分かってる」
「いいえ、分かっていない」
すっかり日が暮れた帝都の歓楽街には、
たくさんの帝国市民と、たくさんの共和国市民が、
一夜の夢を求めてフラフラと歩いている。
まるであんな戦争なんて、なかったかのように。
だからせめて最後くらい、架空の勝負を楽しむとしよう。




