Many Shots, Many Kills (intro)
「だがその、あー、我々もだな。
このフント・デス・モナーツを、皆の帰るべき家とすべく、
できる限りのことは……」
「こんな帳簿は、帳簿とは言いません。
あとでじっくりお話を伺います」
「そうねえ、衛生面から言っても現状は問題アリね。
最低でもソファは全部入れ替えたほうがいいわ」
これは警察局の内事7課、通称〈装備課〉が試作した
最新式の黒板なればこそ、だ。
あの無意味な革命ごっこがなかったら、
レインラント帝国が先の大戦で
屈辱的な敗北を喫することもなかっただろう。
「ボクから言えるのは、
敵の正体がボクには分からないってこと」
「失礼ながら、
もし彼女の素性をご存知なかったってことなら、
この作戦は抜本的に考えなおしたほうがいいっすね」
「敵の迫撃砲、照準変更! 総員散開! 急げ! 死ぬぞ!」
「立て! 立って走れ、エーデシュ少尉!
我らが勝利と生命は前方にあるぞ!」
急に高台に出て、
視界が開けたその先に、
もう1匹の美しい狼がいた。
セベッソン大尉のことは正直、どうでもいい。
問題なのは、こちら側だ。
「どいつもこいつも、ふざけるな、だ!
許さんぞ。天が許そうとも、私は決して許さんからな!」
「嘘だよ!
姉さんは、あたしなんて好きじゃないんだ!」
「どうか頼む。今回ばかりは、真実のためではなく、正義のために」
問題はそれが、誰のどんな正義かということだ。
同性愛が違法? 不健全で不毛?
いいじゃないか。二人はこんなにも愛し合ってるんだから。
この純粋な愛の営みを前に、あらゆる言葉は無力だ。
そんな予感に涙しながら、僕は終わりの到来を覚悟した。
「そうか」
内事2課の僕らが帝国の安寧のために捧げてきた犠牲では、
生け贄として足りなかったとでも言いたいのか。
「あなたはそんな家族を、撃てるっすか?」
「あなたはそんな家族を、どうしたかったんです?」
「3発中2発命中。砲撃を継続せよ。いい腕だ、少尉」
「一撃で、仕留めましょう」




