表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【Web版】どうも、勇者の父です。~この度は愚息がご迷惑を掛けて、申し訳ありません。〜  作者: 赤金武蔵
第五章 海の国

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

99/113

第103話 海神、弄ばれる

 先に動いたのはクラーケン・ジュニアだった。

 再生させた触腕と脚を自在に動かし、ネプチューンへ迫る。

 さっきよりも速く、鋭い攻撃だ。

 ネプチューンの召喚したこの領域は、水の生物にとってはバフの効果を持つ。

 クラーケン・ジュニアも海の生物だ。さっきより俊敏になっているし、パワーも跳ね上がっていた。



「フッ──!」



 しかしそれは、ネプチューンも一緒だ。

 触手をかわしつつ、トライデントを大きく後ろに引き、体を反って力を溜める。

 筋肉が隆起し、トライデントへ魔力と共に渦がまとわりつく。

 直後──



「《水歪(ディストーション)・穿ち渦》!!」



 ──射出。

 突き出されたトライデントから、暴れ狂う渦潮が放たれる。

 まるで引き絞られた弓矢の如く放たれた渦潮は、ギャングたちを粉々に砕いてクラーケン・ジュニアへ迫った。



「────!」



 クラーケン・ジュニアは脚を自在に動かし、射線から脱出。

 渦は神域を突き抜け、城の壁を穿って霧散した。



「無駄に素早いな」



 巨体に見合わない速さに、ネプチューンは苦虫を噛み潰したような顔になる。

 クロアが倒したクラーケンは、巨大すぎる故に攻撃は与えられた。その代わり耐久力が半端ではなかった。

 対してクラーケン・ジュニアは、小さい代わりに動きが俊敏すぎる。

 致命傷を与えるには、動きを止めなければならない。

 攻防の最中に何度か捕縛魔法を使っているが、それも全て不発に終わっている。


 となると、考えられる答えは一つ。



「やはり、親と同じで魔法は効かんか──!」



 クラーケンの厄介な特性。

 それは、反魔法。

 魔法を全て無力化するものだ。

 魔法攻撃は効かず、巨大すぎてまともな物理攻撃も効かない。

 故に、クラーケンは海の悪魔として恐れられているのだ。

 クラーケン・ジュニアが触腕を動かし、ネプチューンの両腕を絡めとる。

 思わぬ怪力だが、ネプチューンも負けてはいない。

 綱引きのように、両者の力が拮抗した。

 しかしそのせいで、トライデントを振るえなくなってしまった。



「チッ……!」



 着々と、ギャングたちは死に絶えていく。

 だがクラーケン・ジュニアに神域の罠は効いていない。



「《海神(ネプチューン)の刃撃(・ブレード)》!」



 ネプチューンの頭上から放たれた水の刃。

 だがそれも、クラーケン・ジュニアに当たると同時に散ってしまった。



(やはりダメか……!)



 ネプチューンは魔法に関しても、海の中では最強を自負している。

 が、このままではジリ貧だ。

 最悪、負ける。



(ッ! 馬鹿か、余は! 余は海の神である! こんな奴に負けるなど……ァッ……!?)



 不意を突かれ、ネプチューンの両脚と首にも触手が絡みつく。

 それだけじゃない。胴体にも絡みつき、強く締め上げてきた。



「ぐぁ……!」



 締め付けが強くなる。肉や骨が軋み、久しく感じていなかった痛みが体を駆け巡る。

 と、クラーケン・ジュニアの体にしがみついていた頭領が下品な笑みを浮かべた。

 どうやらクラーケン・ジュニアにしがみつくことで、神域の罠を無効化しているらしい。



「げひっ、げひひひひっ。いいぞジュニア、あの体だけエロいクソ女を辱めろ!」

「────」



 残った脚が、ゆっくりとネプチューンへ迫る。

 焦燥と同時に、恐怖が体を縛り付けた。



(なっ、まさかっ、そんな……!)



 クラーケン・ジュニアに性欲はない。ただ自分を育ててくれた親の指示に従うのみ。

 それはわかっていつつも、ネプチューンはこれから行われる惨劇を前に身が竦んでしまった。



(や、やだ……やだっ、やだよ……!)



 魔法は効かない。頼りのパワーも封じられた。

 このまま好き勝手やられてしまうなら、いっそのこと自分で命を……。



(ッ、ダメだ……そんなのはダメだ! 余は海の神にして、ディプシーの王! この程度では屈さぬ!)



 あぁ、でも……。



「やはりあの方に全てを授けたかった──クロア」






「ダイナミックお邪魔します!」






 次の瞬間、神域が爆ぜた(、、、、、、)



「ハッ──!」



 同時に、何かが一瞬にしてクラーケン・ジュニアの触腕と脚を斬り捨てた。



「お楽しみ中のところ失礼致します、女王陛下」

「……楽しんでなどおらん。……待っていたぞ、クロア」

続きが気になる方、【評価】と【ブクマ】と【いいね】をどうかお願いします!


下部の星マークで評価出来ますので!


☆☆☆☆☆→★★★★★


こうして頂くと泣いて喜びます!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] キタ━(゜∀゜)━!
[気になる点]  ネプチューン様とクラーケンジュニアの絡みが、もっと見たかった(やめれ!)。  と言うのはおいといて、烏賊の子作りは牡が牝の胎内に精莢(せいきょう)と言う精子のカプセルを挿入するだけ…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ