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【Web版】どうも、勇者の父です。~この度は愚息がご迷惑を掛けて、申し訳ありません。〜  作者: 赤金武蔵
第五章 海の国

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第101話 海神、薙ぎ払う

   ◆ネプチューンside◆



「はてさて……貴様ら、覚悟はできているな?」



 ウィエルとの通信を切ったネプチューンは、眼前に広がる魚人の群れを睨めつける。

 全員武装している。その上どこから仕入れたのか、爆弾や大砲も準備していた。

 ウィエルの察したとおり、今は王城の警備は薄い。

 指示を出したのはネプチューン自身だ。

 が、ネプチューンの強さは並ではない。正直、警備なんていなくても自分の身は自分で守れる。

 それよりも、出し抜かれたみたいで少しだけ虫の居所が悪かった。



(こやつらの目的は余の命と、ディプシーの壊滅か。まったく、安く見られたものだ)



 正直、クロアとウィエルがいなかったら危なかったと思う。

 けど今そんなことを考えている暇はない。

 目の前にある結果が全て。

 ならば海神として、ディプシーの女王として、脅威を跳ね除けるのみ。

 玉座に座るネプチューンを、ギャングたちは敵意丸出しの目で睨む。



「辛酸を嘗めた先祖の恨み……!」

「貴様を殺し、ディプシーの全てを手に入れる!」

「親父は貴様を恨んで死んでいったんだ……!」



 海のギャングたちは、ネプチューンの威圧を受けながらも闘志を衰えさせない。

 それどころか、燃え盛る炎のような熱を持っていた。



「余は、余の考えとディプシーの平和を思って追放した。追放された者は、追放されるだけの罪を犯したのだ」

「黙れ!」

「故郷たる海を追われた先祖たちの恨み、ここで晴らす!」



 完全にとばっちりである。

 が、恨みというのはそういうものだ。

 自分の思うように拡大解釈し、自分が信じているものしか信じられなくなる。

 ネプチューンは哀れみの目をギャングたちへ向けた。



「……これも、余の甘さが招いた結果ということか。同胞を殺すのは忍びないと思い、あえて追放という形を取ったが──やはり処刑しておくべきだった」



 ネプチューンから覇気が迸る。

 殺意と敵意を漲らせていたギャングたちは、一瞬で戦意を折られたじろいだ。

 それほど、圧倒的な覇気。

 それほど、絶望的な戦力差。

 ネプチューンは手を上空へかざすと、膨大な覇気と魔力を凝縮させ。



「来い、トライデント」



 ──神器を召喚した。


 神器トライデント。

 三叉戟と呼ばれる三又の鎗は、瑠璃色の光を放ち顕現する。

 ネプチューンが所持する、正真正銘の神の一振り。

 クロアが恐れた海神の魔力が、ディプシーを覆うほど放たれる。



「余の全てをもって貴様らを処罰する」



 ネプチューンがトライデントを構え、玉座から立ち上がる。

 直後、砲弾がネプチューンに向けて放たれた。



「邪魔だ」



 トライデントを一閃。

 弾き返された砲弾は、ギャングたちの中心へ着弾。爆発を引き起こした。

 それを皮切りに、ギャングたちが一斉にネプチューンへと襲いかかる。



「小賢しい」



 乱雑にトライデントを振るう。

 それだけで、前衛にいた十数人は粉々に砕け散った。



「ヒッ……!」

「ば、化け物め……!」



 ギャングたちの目が恐怖に染まる。

 ネプチューンからしたら、化け物と恐れられることには慣れている。今更気にすることもない。

 ネプチューンの剛腕を受けられず、次々にやられて行く。



「お、お頭、どうしましょう……!」

「あ、慌てるな! もう少しで奴がここに着く。そうなれば……!」



 と、ネプチューンの耳に不穏な言葉が飛び込んできた。

 なんのことかはわからないが、あまり時間を掛けている暇はなさそうだ。



「チッ……それにしてもチマチマしおって……!」



 いくらネプチューンが巨大でとんでもないパワーを持っていようと、ギャングたちのパワーとスピードも並ではない。

 この日のために用意してきたのだろう。予想以上に手強い。



(仕方ない。あまり能力は使いたくなかったが……む?)



 そこで気付いた。

 奴ら以外にもう一つ、異様に巨大な気配を感じる。

 クロアのものではない。ウィエルの魔力でもない。

 もっと別で、もっと異質な何か。



「お頭ァ、来ましたぜ!」

「来たか! さあ海の悪魔よ、海の神を引きずり下ろせェ!」



 海のギャングの頭領が叫ぶ。

 同時に、奴らの背後から巨大な何かが現れた。






「行け、クラーケン・ジュニア──!!」

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[気になる点]  海のギャング側の出した切り札のクラーケンジュニア、ネプチューン様を拘束してからのリョナ展開!?
[一言] ジュニアかい!親御さんは…?
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