表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【Web版】どうも、勇者の父です。~この度は愚息がご迷惑を掛けて、申し訳ありません。〜  作者: 赤金武蔵
第三章 師弟相見える

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

58/113

第55話 勇者の父、狙われる

 三人をホテルの屋上から放り投げたクロアは、悠々と二人の所に戻ってきた。



「あら、早かったですね」

「ああ。海に投げ捨てただけだからな」

「だから早かったのですね」



 納得したように頷くウィエルだが、ミオンはドン引きしていた。

 地上六十五階の屋上から海まで、相当な高さになる。

 しかもクロアのことだ。ただ突き落とすだけじゃなく、少し上に向けて投げたに決まっている。

 ということは、約三百メートルの高さから生身で落とされたということで……。



(まあクロア様ですし)



 が、ミオンは考えるのをやめた。

 クロアは掛け湯をし、風呂に入る。

 といっても、クロアの身長が高すぎて半身浴のようになっているが。

 そんなクロアは、腕を組んで思案した。



「それにしても、おかしいな」

「あなたも思いました?」

「そりゃあな」



 クロアとウィエルが何かを話している。

 ミオンは何も疑問に思っていなかったが、二人は思うところがあるようだ。



「あの、何がおかしいんですか?」

「このホテル、陛下も泊まりに来る程の超高級ホテルだ。あんな輩、普通は通さない」

「あ、確かに」



 言われてやっと気付いた。

 今は落ち着いている混浴風呂を見渡すと、どこか気品溢れる人たちが揃っている。

 それなりの地位と金がある人だけがいるようだ。

 あの三人はどう考えても、このホテルに相応しくない。



「じゃあなんでここに……?」

「わからんが、何かあるのかもな」

「聞けばよかったじゃないですか。クロア様なら拷問とか得意そうですし」

「心外だ。ミオンちゃん、俺のことなんだと思ってるの」



 ミオンの言葉に顔が引き攣るクロア。

 だがウィエルが、シャンパンを飲み干して無垢な笑みを見せる。



「ミオンちゃん。旦那は拷問する前に力加減をミスって殺しちゃうから、どちらかというと苦手なのですよ」

「あー、なるほどー。確かに心外でしたね。ごめんなさい」

「そういう意味じゃないんだが」



 ここにクロアの味方は誰もいなかった。



「単純に、どんな小細工を弄しても、俺らをどうにかすることは出来ない。だから投げ捨てた。それだけだ」

「そうですねぇ。来る者拒まず、ですね」

「そういうことだ」



 静かに頷くクロアとにこやかに笑うウィエルを見て、ミオンは同情した。

 この二人に手を出そうと考えている、まだ見ぬ敵に対して──。



   ◆???◆



「へぇ、あれがバルバ様の言っていた勇者の父ね」



 港町アクレアナから離れた洞窟にて、岩の上に一人の魔族が座っていた。

 青い肌の女だ。鱗が局部を隠しているが、艶かしい雰囲気は隠せていない。

 ドクロに立てられたロウソクが燃え、風もないのに揺らいでいる。

 揺らいだ炎により、赤い瞳が妖しく光った。

 魔眼皇バルバの側近──アネラである。

 アネラの手には水晶が握られていて、クロアの姿をリピートして再生していた。



「バルバ様は勇者だけに気を配れと仰っていたけど、ドドレアルの奴をぶっ殺したのはこの男……なら、どう考えてもこの男を始末する方が先よねぇ」



 舌なめずりをし、アネラはクロアを見つめる。

 その頬はどこか赤らんでいるように見えた。



「それにしても、いい男。強い雄って凄く魅力的……それこそ、食べちゃいたいくらいに」



 歯を見せて笑うアネラ。

 しかし歯というより、牙と言った方が的確なほど、鋭くとがっている。



「おっと、いけないいけない。悪い癖が出ちゃったわ」



 誰も見ていないのに上品に手で口を隠し、ほほほほと笑う。

 アネラは気持ちを切り替え、再度水晶の中のクロアを見た。



「魔王様が勇者をぶっ殺しても、この男がいる限り世界征服は成し遂げられない。なら、この男を始末することがバルバ様のため……そして魔王様の為になるわよね」



 アネラは水晶を岩の窪みに入れ、ロウソクの火に眼を向ける。

 それだけでロウソクの火は消え、洞窟は暗闇に包まれた。

 だが赤い眼は、そんな暗闇の中でもわかるほど輝いている。



「まずは準備をしなきゃね。ふふ、ふふふふ……」



 アネラは笑いながら、ゆっくりと洞窟を歩いていった。

続きが気になる方、【評価】と【ブクマ】をどうかお願いします!


下部の星マークで評価出来ますので!


☆☆☆☆☆→★★★★★


こうして頂くと泣いて喜びます!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] あー新しい魔族さん、フラグ立っちゃいましたねw これ奥さんにボコられるコース?
[良い点] 感動してしまったよおおおおぉぉぉ。
[気になる点]  そーいえば、超高級ホテルの最上階なのになんで半端もんが入っていたのか…違和感に気付かなった。  節穴どころかバグだらけの、使い物にならないポンコツ読者で申し訳ない。 [一言]  アネ…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ