第104話 勇者の父、力の差を見せつける
【キャラデザ公開】
Twitterにて、クロア&ウィエルのキャラデザを公開しました。
よければご覧下さい。そして感想も是非!
◆クロア◆
ネプチューンはクロアに、神域・天冥水領の中でも自在に動けるよう魔法をかけた。
そのおかげで幾分か楽に動けるし、呼吸もできる。
クロアはネプチューンに感謝すると、巨大イカに向き直った。
「ふむ……クラーケン、か? それにしては小さいが……」
「奴の倅だそうだ」
「なるほど」
過去にクロアが対峙したクラーケンは、ディプシーを覆い隠すほどの巨大さだった。
それを考えると、だいぶ小さい。
20年やそこらでは、これくらいの成長が限界なのだろう。
クラーケン・ジュニアは切られた手足を再生させる。
が、その間クロアは動かず、またクラーケン・ジュニアも動かなかった。
クロアは余裕から。
しかしクラーケン・ジュニアは、本能で動けなかった。
間違いなく、自分やネプチューンを超える化け物の存在に、本能が動きを固めた。
「あ? おいジュニア、何してやがる! さっさとあの女を嬲り殺せ! あの男もついでに血祭りにしろ!」
「────!」
育ての親に恩は感じているが、その命令だけは聞けなかった。
殺ろうとすれば、殺られる。
動くに動けないのだ。
「クロアにビビって動けないようだ。さすが、余を孕ますことのできる唯一の男……♡」
「それ、ウィエルに知られたらまた怒られますよ」
さっきまで大変な目に合いそうだったのに、ネプチューンは通常運転だ。
精神的ダメージはないらしい。
その時──切った触手が、クロア目掛けて迫ってきた。
「クロアに手を出すな、痴れ者がッ!」
ネプチューン、激昂。
直後、ネプチューンの放ったトライデントが全ての脚を貫いた。
「ありがとうございます、陛下」
「気にするでない。余のクロアを手篭めにしようとしたこいつらを罰したまでよ」
「誰があんたのものですか」
本当、ここにウィエルがいなくてよかった。
今のネプチューンは、『クロアに助けてもらっちゃった♡』という事実に、いろいろと混乱しているらしい。
こんなところをウィエルが見たら、ネプチューンと喧嘩になりかねない。
それを止めるのはクロアでも至難すぎた。
「っと、こうしている暇はないか……外はウィエルと王国軍が頑張ってくれています。俺らもやりましょう。時間が惜しい」
「そうであるな。しかしどうするのだ? 奴は物理攻撃しか効かない上に、動きも相当速いぞ」
「速い……ではまず、捕まえないといけませんね」
クロアはゴキッと関節を鳴らし──爆発的な推進力で、クラーケン・ジュニアへ迫った。
「────!?」
クラーケン・ジュニアも離脱。
追い付かれないよう、クラーケンジュニアは高速で神域の中を泳ぐ。
「逃がさん」
クロアは剛腕、豪脚を駆使してクラーケン・ジュニアを追う。
速い。人類ではありえないほど、速い。
いくらネプチューンが水中でも動きやすい魔法を掛けたとしても、速すぎる。
クロアが更に加速。
クラーケン・ジュニアも負けじと加速。
しかしクロアの方が速いのか、その距離も徐々に縮まっている。
(この速さ、もはや魚人族を超えているのでは……?)
ネプチューンや、スピードに自信のある魚人族は抜きにして。
平均的な魚人族のスピードを考えると、明らかに今のクロアの方が速い。
「おぼっ! おぼぼぼぼぼっ……!?」
クラーケン・ジュニアに必死に捕まっている頭領も、あまりの速さに振り落とされそうになっている。
しかし両者の動きは止まらない。
むしろクロアには余裕があるようにも見える。
「────!」
いい加減追われることにキレたのか、触腕を伸ばしクロアへ攻撃を仕掛ける。
が、クロアはそれすら手刀で簡単に切り落とした。
「奴より小さい分、切るのが楽だな。これなら、まだ武器を使う必要もなさそうだ」
「────!?」
再生した触腕を鷲掴みにすると、自分の方に引き寄せる。
それだけで、クラーケン・ジュニアの動きはぴたりと止まった。
必死に逃げようとするが、ビクともしない。
クラーケン・ジュニアの力より、クロアの馬鹿力が勝っている証拠だ。
クロアは綱引きの要領で、クラーケン・ジュニアを引きつける。
「さあ捕まえたぞ、ジュニア。……絶対逃がさん」
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