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4-24 中途半端な僕はパーティーを追放されました

どの職業にも適性がある程度しかない中途半端な僕は、突然パーティーを追放されてしまう。必死に訴えるも、取り合おうとはしてくれなかった…

「さあ、早速で悪いが今日でお前は俺らのパーティーから出てってもらうわ」


 とある日、とある小さな街の建物にて。


 僕――ヴァルターはパーティーリーダーであるカルバンから唐突に告げられた。


「ち、ちょっと待ってくれよ!いきなり追放とかなんでだ!!自分にできることは精一杯やってきたはずだろ……」


「ああ、自分ではそう思ってるだろうよ?でもねぇ~……」


 僕は必至で訴えるも、興味がないのかカルバンは自身の獲物である大剣を磨き始める始末だ。


「だってお前、中途半端じゃん?」


「……」


「前衛で戦うのは俺とルービンで十分だし、魔法による支援役兼遠距離攻撃はエステル。敵の攻撃を引き付ける役目はアルヴィで事足りんのよ。でもお前はさぁ~……そのどれもが中途半端なんだよ、おわかり?」


 そう、さっきはなんでだよとは言ったが心当たりというか、自分がこのパーティーにいる必要がないのではないかというのは前から気付いていた。


 僕たちはみんな、冒険者をやっている。仕事内容は薬草を取ってきたりとかの簡単なものから危険なモンスターを討伐するというものまでさまざまだ。

 この世界には冒険者ギルドというものが存在していて,冒険者に属しているならば必ずこの組織に入らなければならない。”冒険者たちの安全管理”だとか、”勝手にモンスターを討伐されて生態系を壊されたら困る”とかそんなとこが理由らしい。もちろん、僕が住んでいる小さな街にも冒険者ギルドは存在する。その中で、僕たちのパーティーは最上位に位置し、他の街にも活躍のうわさが流れているとか。


 そして、冒険者になる際は適性検査のようなものが行われる。例えば、剣の扱いに長ける者や魔法適正が高い者。己の拳が一番力を発揮する者などに分けられる。だが僕は――


「確かに僕は、”どの適正にもある程度の適正しかない”よ……でもあんまりじゃないか!なんなんだよいきなり……」


 剣を極めようとしても、魔法を極めようとしても二人前。それが僕だった。


「大した働きもしてないのに報酬を分けるのもばかばかしくなってきた、ってほかの三人も言ってるし?まあ俺は前々からずっと思っていたけど。丁度いい機会かな~って!」


 どうやらこれ以上言っても無理みたいだ。仕方ない、どこかほかのパーティーに入れてもらえるかどうか話してみて――


「あ、他のパーティーに入れてもらおうとか思っても無駄だと思うぞ?だってこんな中途半端者引き取るやついねぇっしょ」


 それもダメみたいだ。どうしたものかと考えていると、さらに追撃を入れてくる。


「そ・れ・に!この小さい街は人手不足という職場も存在していない!ということはこの街にいる必要もないんじゃないかなン~ン?」


「そ……そこまでしなくたっていいだろ!?なあ、みんなも何か言ってくれよ!」


 ここで僕は、周りの冒険者達に助けを求めた。みんな助け合ったりしてきた、顔なじみだ。彼らなら何か助けてくれるかもしれない。僕はそう思った。


 だが。


「確かにカルバンのいう通り、ヴァルターが別にいなくたっていいかもな」


「――――え?」


「そうそう、カルバンのパーティーでこいつだけ大して働いてないもんな!」


「よく今までこんなお荷物を抱えてきたな……。カルバン正気か?」


「大体、何もせずにカルバン君の手柄分け前てもらおうっていうのがムカついてしょうがないわ!」


 僕に冒険者ということを教えてくれた戦士が。

 僕に剣術や武術を教えてくれたことのある青年が。

 自分の情けなさに泣いていた僕を慰めてくれた女の子が。


 みんながみんな、僕をこの街から排除しようとしていた。


「な、これで分かっただろ?みんなお前を必要としてないんだわ。お前の面はもう見たくもねえし、早く行ってくれ」


 ――なんで。


 ――なんでなんでどうしてどうして何故何故何故何故!!!!

 どうしていきなりそんなことを……!!!!


 つまりみんなは……


「――それじゃあ、今まで僕のことを騙していたのかよ!」


 ――だったら、最初から優しくしなければよかったんだ……!!


「そんなに僕のことが嫌いなら、この街から出てってやるよ!ああ、そうさ!こんなこと言うやつら全員大っ嫌いだ!!!!」



 僕は大粒の涙を流しながら、ギルドの建物を飛び出した。



 その時ちらっと見えたカルバンの顔は、少し俯いて見えるように感じた。



 

■■■



 僕が街を飛び出してから刻は過ぎ、太陽が傾いてそろそろ空の色が変わろうとしていたころ。


「……ぐすん。ああ、みんなにあんなこと言っちゃったなあ……」


 未だに僕は涙を流しながら、歩いていた。

 行先は、まだ決めていない。とりあえず道なりに歩いていけば、どこか別の街に着くのだろう。


「確かに、あんなこと突然言い出す奴らなんて僕は大っ嫌いだ。もう仲間でも何でもないんだ……」


 今まで仲良くやっていたのに、それを突然裏切られたんだ。そんな奴らなんて僕も大っ嫌いだ。

 涙を引っ込めようと、僕はそう考えた。だけど……


「――みんなに、お別れ言いたかったなぁ」


 かつては、みんなで一緒に冒険したパーティーの仲なのだ。他の冒険者たちだって、何度も助けたり助けられたりした関係なのだ。そう簡単に嫌いと言い切ることはできなかった。


「そうだ、いったん街に戻ってお別れのあいさつでもしてこなくちゃ……」


 今戻ってもまた非難の声が上がるだけかもしれない。でも、個人的にお別れの言葉をきちんと言っておきたいと思ったのだ。


 そう考え、僕は今まで来た道を戻り始める。行きに比べて随分ある気が早い。


 さて、お手紙には何を書こうかな?感謝の言葉をきちんと書くべきだろうけど、あんまり長々しても迷惑だろうし……


 頭の中でいろいろと考えながら、丘の頂上にたどり着く。ここまでくれば、あの街まではもうすぐだ。


 そうして、登り切った僕の目に映ったのは。



 先ほどまでいた街が、大きな炎に包まれる姿であった。


■■■


 街は、変わり果てていた。


 建物は皆燃えていて、今にも崩れそうだ。

 

 そして街の通りには。


「……みん、な?」


 変わり果てたみんながそこにいた。しかも、息をしている気配を全く感じない。手には武器を持っている者もいて、何かと戦ったようだ。


 ……みんな、死んでいるのか?さっきまで元気に笑っていたのに?


 それから街を走り回ってみたが、みんな死体となっていた。けれど、僕のパーティーメンバーは見つからなかった。


 もしかしたらと思い、僕はギルドの方に駆け出した。そこなら見つかるかも知れない。


「みんな!!」


 燃え盛る建物の中に僕は飛び込み、パーティーメンバーを見つけた。しかし、他の街のみんなと同じように無尽な姿に成り果てていた。


 やっぱり、みんな死んじゃったのか。

 諦めかけたその時。


「……なんで戻ってきたバカヤロウ」


「カリバン!!待ってて、今助けるから!!」


「もうじき死ぬよ俺は。それより話がある」


 僕の手を握るカリバンは、酷く弱々しい。


「……全身黒づくめで、十字のマントをつけたやつらだ。やっぱり、お前のことを狙っていたんだ…」


「そ、そんなやつらが!?しかもやっぱりって…!?」


「ゲホッ……そいつを話す時間はもうなさそうだな…だから、最後に伝えたい、ことがある……」


 もう話すのも辛いだろうに、必死にカリバンは口を動かす。


「さっきはあんなこと言って悪かった。そして、今までありがとう」


 その言葉を最後に、もう動かなくなった。

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