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祝福されたテイマーは優しい夢をみる【2巻発売中】  作者: はにか えむ


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77.銀級

「さて、恒例の期末テストが近づいてきた。範囲は勿論一年で習ったこと全てだ。点数が悪ければ退学も有り得る大切なテストだ。心して受ける様に」

 ギャガン先生の言葉に教室は阿鼻叫喚だ。

「俺が来年もお前達を受け持つことは確定している。全員一緒に二年生まで上がってこい。いいな」

 それから僕達は勉強に明け暮れた。そしてその合間にひとつの計画を進行していた。先輩達へのサプライズである。

 僕らはその為に魔法の練習も頑張った。実家が花屋だというクラスメイトにお願いして卒業式に合わせて花を発注してもらったり、大忙しだった。

 

 そして迎えた期末テスト当日。僕達は緊張しながらテストを受けた。相変わらずメルヴィンが不安だったけど、一緒に勉強していたお陰でちゃんと進級できそうだ。

 

 テスト明けの秘密基地で、僕達はお疲れ様会をしていた。筆記テストの自己採点ではみんな問題なく平均は超えていそうだった。

 僕達はジュースを掲げて乾杯し合う。

「出会ってからもうすぐ一年になるのね、感慨深いわ」

 ナディアの言葉に、まだ一年なのかと思ってしまった。なんだかもう何年も共にいるような感じがして、笑ってしまう。

 みんなも同じ気持ちだったようで、僕達は笑いあった。

 

「そういえば冒険者活動の方も、そろそろ銀級になれるんじゃないか?」

 メルヴィンの言葉に僕らは冒険者カードを確認した。

本当だ、あと少しで銀級への昇給資格を満たすところだった。

「卒業式前に銀級になっておくか」

 メルヴィンの言葉にみんな賛成した。銀級になると受けられる依頼が増える。収入が増えるのは大歓迎だ。


 

 

 翌日、僕達は早速冒険者ギルドに集まった。今日の目標は銀級に昇格することだ。カードを見たところ、もう依頼達成数と素行の項目は満たしている。後は魔物の討伐数が少しだけ足りない。

 普通は魔物より植物の採取数が足りなくて銀級に上がれないことが多いらしいけど、僕らはテディーのおかげで植物や鉱石の売却の方が多いから、そうなってしまったのだろう。僕達は今日はたくさん討伐できる小さな魔物を狙うことにした。

 丁度ブラックマウスの群れの討伐依頼があったので、それを受ける。

 ブラックマウスは害獣だ。土中に巨大な巣をつくり、繁殖力が高くとにかく増える上に畑を荒らし、家屋を齧ったりもする。小さくてすばしっこいので倒すのも大変な魔物だった。

 面倒なのでなかなか受ける人も居なくていつも残っている依頼でもある。

 

 転移ポータルで依頼のあった村まで行くと、村に向かう道中にもブラックマウスがいた。大量に繁殖しているんだろう。僕らは村長にわかっている限りの巣の場所を教えてもらう。

 

「僕いい考えがあるんだ、上手くいったら一網打尽に出来るかも」

 テディーが言うので僕達はその考えに従うことにする。

 そして一つ目の巣に到着すると巣の入口の周りに魔法で土壁を作る、マウスが逃げないようにするためだ。シロに他にも繋がっている巣が無いか鼻で教えてもらったら、他の入口は塞いでしまう。そしたら準備完了だ。巣の中にマウスが嫌う匂いのする煙玉を投げ込む。すると一箇所だけ塞がなかった入口からマウスが大量に出てきた。僕らはフライングシューズで浮き上がってマウス達に雷を落としていった。

「うわ……」

 メルヴィンの言いたいことは分かる。大量すぎて気持ち悪い。

 生き残りが居ないことを確認しながら討伐証明のシッポを切り取ってゆく。グレイスはもはや喋らなくなってしまっていた。もふもふ好きのグレイスも、ブラックマウスは嫌らしい。後でモモをもふもふさせて回復させてあげないと。

 そうしてあと二つ巣を潰すと、大量のマウスの死骸が積み上がっていた。討伐証明のシッポだけを切り取って残りの死骸は全て燃やしてもらおうと村に持って帰る。村長さんは死骸を見て唖然としていた。

 あんまり沢山討伐したから報酬に色をつけてくれて、収入としては悪くなかった。

 でも正直もう二度とブラックマウスの討伐はしたくない。

 

 僕達はギルドに戻る。依頼達成の証明書を渡してマウスのシッポの数を数えてもらう。僕達は無事に銀級になることが出来た。この歳で銀級に上がれるのは珍しいことらしく、ギルドのお姉さんに褒められた。

 僕らは新しくなったギルドカードを首から下げると、昇級を喜んだ。

 

 お祝いにギルドに併設された食堂で、甘い物を頼む。夕飯を食べられなくなるのは困るのでこうなった。

「よっしゃ!銀級昇格おめでとう!」

 メルヴィンの音頭で全員乾杯する。周りの席の人達が微笑ましげに僕らを見ていた。

 隣の席のお兄さんなんて全く知らない人なのに従魔用のお肉を奢ってくれた。

 シロは大喜びでお兄さんに身体を擦り付けてお礼を言っていた。お兄さんは嬉しそうにシロを撫でている。マシンと名乗ったお兄さんは動物好きでテイマーに憧れて居るらしい。

 なんと珍しいソロの金級冒険者らしく、よくある依頼についても色々教えてくれた。

 

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