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祝福されたテイマーは優しい夢をみる【2巻発売中】  作者: はにか えむ


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56.格闘トーナメントと取り合い合戦

 格闘トーナメントが始まると、観客は先程より盛り上がっていた。無理もない、このトーナメントが開催されるのは実に十年ぶりなのだという。レッドクラスの張り切りようもわかる。

 トーナメントは人数が多すぎるので、最初に全員で混戦して場外になったもの十人が落とされる。それから抽選でトーナメントの組み合わせが決まるんだ。

 ここでブラックは四人脱落してしまった。恐ろしいのはレッドは作戦などたてずに個々の力量で十人脱落させてしまった事である。

 レッドクラスの子は強すぎる。メルヴィンも中盤まで勝ち残っている。今のところレッドクラスには誰一人として脱落者がいないのに、ブラックで残っているのは四年生の先輩だけだ。イエローは二人、ホワイトも二人勝ち残っているが、実力差とトーナメント表を見るかぎり次で負けそうだ。

 案の定、四人は負けて、上位五名はブラックが一人とレッドが四人になった。上位五名は十ポイント、十位までは五ポイントなので、このトーナメントで四十五ポイントも獲得した事になる。ポイントは確定したが、まだ試合は続けられる。

 次はメルヴィンの番だ。相手はレッドの五年生、体格が違うから少し心配だ。

 メルヴィンは先輩に殴り掛かる。身体強化魔法を使っているからその速さと強さは桁違いだ。先輩は危なげなく拳を受け止めると、反撃に出る。手に汗握る試合だった。結局メルヴィンは負けてしまったけれど、一年でここまで行ければ快挙だろう。

 結局ブラックの先輩も負けてしまってトーナメントは幕を閉じた。

「くじ運も良くなかったね」

 隣でテディーがそう言う。レッド同士で当たってくれれば、もう少し他のクラスもポイントが取れただろう。

 ただ、レッドが四十五ポイント獲得しても順位は四位のままなのである。三位のホワイトとは三ポイント差まで追い上げたけど、最下位なのはそのままだ。今のところやはりイエローがトップだ。

 ブラックは十七ポイント差でイエローに負けてる。残り二つの競技は一位が三十ポイント、二位が二十ポイント、三位が十ポイント貰える。まだ逆転は十分にできる、どのクラスもだ。

 

 

 

 僕たちは次の取り合い合戦の準備をする。ブラックの帽子をかぶり、僕達は作戦を確認し合う。まず狙うのはイエローだ。彼らを勝たせる訳には行かない。とにかく帽子を取られないようにだけ注意しながら彼らを追い込もう。

 会場にアナウンスが流れると、みんな僕達に手を振って応援してくれた。僕らはシューズに魔力を流して宙に浮く。開始の合図がされると同時にイエローを囲むように追い込んでいった。

 僕らがイエローの帽子を粗方取り終わった頃。レッドはホワイトにほとんど取られていた。次はホワイトとブラックの取り合いだ。ホワイトは連携があまり取れていなかったので、簡単に帽子を奪うことが出来た。時間切れが来る前にブラック以外の帽子を取り尽くしてしまった。ブラックはまだ結構人数が残っている。練習の成果が出し切れたと思う。

 テディーが僕の側までやってきた。小声でやったね!と呟いていた。僕達は笑い合う。

 ブラックの陣営に戻って帽子の集計をすると、僕らの圧倒的一位だった。皆で歓声を上げて喜び合う。二位はホワイト、三位はイエローだ。レッドが勝ってくれればよかったんだけど、そう上手くはいかないか。これで総合点でイエローを上回ることが出来た。

 今の点数は僕らが百九十六ポイント。イエローが百九十三ポイントだ。これでレッドとホワイトの一位は無くなったから、ブラックとイエローの一位争いになる。後は先輩達にかかっている。

 

 

 

 待機場に戻ると、陣取りに出る先輩達に揉みくちゃにされた。優勝が目に見えるところまで来たんだ。歴代でブラックが優勝したことはあまり無いらしい。大体優勝するのはイエローかホワイトだったのに去年も今年も優勝目前まで来ている。去年は負けてしまったが、今年は勝てるかもしれない。先輩達は後は任せろと言って陣取りの準備を始めた。

 会場には大きなキューブが設置されようとしていた。観客席を見ると、みんな楽しそうにしていた。今総合成績一位のブラックは、初戦は三位のホワイトと戦うことになるらしい。去年の雪辱を果たせるのか、ドキドキする。

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