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祝福されたテイマーは優しい夢をみる【2巻発売中】  作者: はにか えむ


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45.中間試験

 今日は学園の中間試験だ。入試の時と同様、座学と実技に分かれている。僕達は今日のために皆で勉強を頑張ってきた。魔力操作技術も、入学時より上達したと思う。

 

『試験~試験~頑張るの~エリスなら~きっと大丈夫~なの~』

 アオがシロの上で応援ソングを歌ってくれる。僕はアオを撫でてお礼を言った。

 今日の試験に落ちると補習がある。さらに補習後の試験に落ちると退学若しくは留年もありえるんだ。それだけは絶対に避けたい。

 僕らの中で一番座学が危ういのはメルヴィンだった。最近勉強にハマっているモモにまで負けることがある。

 流石にモモに負けたのがこたえたのか、最近は必死に勉強していた。きっと大丈夫だ。みんな補習組にはならなくてすむだろう。

 

 従魔を預かってもらって講堂に入ると、そこは静かな戦場のようだった。僕達は授業の時と同じように五人でいつもの席に座る。

 小声で挨拶するとみんな挨拶を返してくれた。みんな魔法陣を描けと言われるのが一番不安なんだろう。みんなで作った魔法陣覚えカードとにらめっこしていた。

 僕も開始直前までテスト範囲を見直す。この緊張感は何度経験しても慣れそうにない。

 先生が講堂に入ってきた時、僕の緊張はピークに達していた。

 いつも通り魔法で問題用紙と解答用紙が配られて、試験が始まった。今回は本当に授業で教わったことばかりが出てきたので、僕の緊張も和らいだ。

 解答用紙を埋めると見直しをしていく。うん、きっと大丈夫だ。分からなかった箇所は無い。僕は終了時間まで見直した。

 

 終了が告げられると、メルヴィンは机に突っ伏した。テディーがメルヴィンの問題用紙を拝借してそこに書かれた答えを確認してゆく。予め問題用紙と解答用紙二つに答えを書くよう言っておいたんだ。

 テディーがざっと採点すると、補習は確実に免れられる点数だった。寧ろ平均点は超えているかもしれない。

「良かった、マジでありがとうみんな、これで後期も学園にいられる」

 入学の時点で既に二浪しているメルヴィンは、結構崖っぷちなんだ。

 僕達も一緒に学園生活を送りたいので協力は惜しまない。

 

 僕達は精神的に疲れきったメルヴィンを引っ張って食堂に向かった。

 アオが疲れきった皆に体力回復の魔法をかけている。とても有難い。

「途中スライムの生態を書けって問題あったじゃない?歌うのが好きって書きそうになったわ」

 ナディアが笑って言う。みんなスライムでアオを連想したようだ。

『そんなスライム私だけなの!オンリーワンなの!』

 アオが自身の個性を主張しだした。宥めるようにアオの頭を撫でると満足そうにしていた。

 

 

 

 午後の試験は五項目ある。授業で習った実践的な魔法を実際に使ってみて、その合否を先生が判断するんだ。これは点数と言うより、個々の資質も判断に加えられて合否が決定する。点数にしてしまうと自己身体強化魔法の使い手が圧倒的に不利になってしまうからだ。

 

 一人一人テストの順番が決まっていたので、指定された列に並ぶ。僕とテディーは基本魔法の威力を測定する試験からだ。グレイスはフライングシューズでのコース走破。ナディアは魔力操作精度の測定試験、メルヴィンは入学試験と同じ得意魔法と皆バラバラだった。

 

「ねえエリス、入学試験と一緒だ、見に来ている先輩達がいるよ」

 テディーがこっそり僕に話しかける。見回してみると本当だ、何人かの上級生が見学している。

「あれってきっとクラス対抗戦の下見だよね。一年生にも使えそうな子が居ないか見に来てるんだと思うよ」

 だから上級生の試験は別日に設定されていたのか。そうと知ったら俄然やる気が出た。テディーとこっそり拳をぶつけ合う。ここで上級生の目に止まれば、対抗戦の時に良くしてもらえるだろう。個人指導も受けられるかもしれない。

 この学園の上級生は学生だからといって侮れない。ここで六年生まで残るということは、将来はある程度人の上に立つことが確定しているんだ。だからクラス対抗戦は上級生の下の者に対する指導力が試される。先生は上級生の采配に一切口を出さないんだ。

 僕はクラス対抗戦を想像したらちょっとワクワクしてきた。いい感じに緊張がほぐれたかもしれない。

 

 僕たちは順番に試験をクリアしていった。最後のフライングシューズのコース走破では過去最高スピードをたたき出すことが出来たと思う。ちょっと周りが騒がしくなったけど、ブラッククラスの子からしたらいつもの事で、試験が終わった子達から相変わらず速いなと笑われた。

 実は最近クラスの子達からフライングシューズの練習に付き合って欲しいと言われて、ナディアとメルヴィンも含めて皆で練習していたんだ。補助機能を減らしたシューズに買い換える子も多くいて、僕達のクラスはちょっとしたスピード狂の集まりみたいになっていた。やっぱり速く空を飛ぶのって気持ちがいいよね。

 フライングシューズのスピードを競う競技が今年あれば、僕達のクラスはだいぶ貢献できると思うんだけどな。

 

 来週からはいよいよクラス対抗戦の打ち合わせが始まる。

 とても楽しみだ。どんな先輩達がいるのかな。

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