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祝福されたテイマーは優しい夢をみる【2巻発売中】  作者: はにか えむ


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104.テイマーパーク

 転移ポータルを使って指定のポータルに飛ぶと、すぐにそれはあった。

 テイマーパークと大きな看板が付けられた門に、警備員らしき人達とドナさんと職員さん達がいた。

「エリス君!待っていたわよ。パークを案内するわね」

 ドナさんが僕らに声をかける。

「パークの完成おめでとうございます。ドナさんが案内してくれるんですか?」

 ドナさんは責任者だと思うんだけど、自ら案内してくれて大丈夫なんだろうか。

「もちろん!このパークはエリス君が居なかったら完成していないもの。案内させてちょうだい」

 そう言うとドナさんはジュダ君とトレバー君にも挨拶をした。トレバー君の従魔の中に幻鳥が居るのを見て大はしゃぎだ。

 そしてジュダ君にも浄化能力を持ったスライムのテイムを勧めていた。今日は浄化能力を持ったスライムを沢山連れて来ているらしい。

 ジュダ君もテイムしたいと言っている。

 

 テイマーパークの敷地の中に入ると、その広大さに驚いた。どれだけの土地を買ったんだろう。まるで牧場みたいだ。

 入口近くにある案内板を見ると、三つのエリアに分かれているようだった。ひとつはアスレチックエリア。そして他は広場が二つだ。二つの広場の片方には水場が充実していた。それぞれのエリアに人間の休憩施設もある。

 そしてそれぞれの広場にリアルタイムのモニターが設置されていて、各所でそのモニターの様子が見られるようだ。従魔から少し離れても安心なようにかな。ちゃんと警備員も常駐しているから安全面にはかなり気を配って居るんだろう。


「どうかしら?エリス君が言っていたのを私なりに再現してみたつもりだけど、何か気になるところがあったらアドバイスしてちょうだいね」

 今の所は完璧だ。正直僕の想像よりもずっと凄い。ジュダ君とトレバー君も感動している。

 ドナさんの案内でアスレチック広場に行くと、大きさが様々なアスレチックが沢山設置されていた。通常サイズのウルフに丁度よさそうなサイズ感のものが多そうだ。一際大きなものもあって、シロがモモ達を乗せたまま尻尾を振って駆け出していく。皆の従魔も後を追っていった。

 

 みんなを広場に置いて人間用の休憩スペースに行くと、そこはまるでブックカフェのようになっていた。テイマー達の暇つぶしもちゃんと考えられているようだ。談笑できるスペースや横になれるスペースもあって快適だ。

 中央に設置された巨大モニターで広場を見ると、シロ達が一際大きなアスレチックで遊んでいた。こうして様子を見られるのはいいな。

「ここもちゃんと従魔を連れて入れるし、ご飯も買えるようになっているのよ。鳥従魔用の止まり木だってパーク各所に充実させてるわ」

 

 僕らは凄いとドナさんを褒め称える。これは絶対流行るだろう。年間パスポートもお得な額で、正直採算がとれるのか心配になった。

 恐る恐る聞いてみると、はっきり言ってこのパークで利益はほとんど見込めないのだという。それでもこのパークでほかの事業の宣伝が出来るから、全くのボランティア営業では無いようだ。ドナさんの商才は凄いな。

「エリス君、真っ先に気にするのがお金のことなんてしっかりしてるのね」

 ドナさんは可笑しそうに笑っていた。

 

 一旦ジュダ君のスライムのテイムをする事になって、ドナさんが連れてきたスライムのところに案内してくれる。あれから沼地を回って浄化能力を持ったスライムを捕獲して来たんだそうだ。

 そこには他のお客さんも居た。みんなに宣伝しているらしい。

 寛いでいる様子のスライム達から相性のいい子を探そうとすると、探すまでもなく寄ってきた。ここまで警戒されていないということは優しい捕まえ方をしたんだろうな。

 透き通った緑のスライムは、伸びてアピールしているようだった。

 ジュダ君が試しに任意テイムでテイムしてみると、成功した。

 嬉しそうにアリアという名前を付けている。

 

 ジュダくんがスライムの料金を支払った。値段を聞いて僕は驚愕した。ナディアが前に魔物の斡旋は高いと言っていたけど、これ程とは思わなかった。

 トレバー君曰く、これでもドナさんのところはかなり良心的な価格らしい。

「テイマーをやってて魔物斡旋の値段を知らないなんて凄いことだと思うぞ、本当に従魔に恵まれたんだな」

 トレバー君に感心したように言われてしまった。アオ達と出会わせてくれたおばあちゃんに感謝しないと。

 

 ドナさんが後は好きに見て回ってと言うので、ドナさんと別れてみんなの所に戻る。アリアのこともみんなに紹介しないと。

 アスレチックの所に戻ると、シロ達が駆けてきた。

『エリス、ここすっごく楽しいね!お友達もできたんだよ』

 シロが僕の周りをぐるぐる回りながら言う。楽しそうでなによりだ。

 ジュダ君がみんなにアリアを紹介すると、アオが先輩風をふかせて色々従魔の心得を教えていた。

 

 次は別のエリアに行ってみようとみんなで相談する。一日あるし、全部を堪能しなきゃ損だよね。

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