優しい光 四話
女の名前は 小山内 千夏 といって俺と同じ中学二年生だった。
チビは恵美もうすぐ二歳。
千夏は忙しい母親の変わりに
保育園の迎えとその間の世話をしていた。
「その頭 学校で怒られないの?」
「怒られるよ。」
「だよね。どうしてそんな無理すんの?
うちの男子の中にもそんなのがいるけど
無駄な労力だなって私は思うんだけど…?」
バカにされたようでムカついた。
「いろいろ主張したいことが個々に違うからさ。」
「主張なんだ~~そっか~~」
千夏はゲラゲラ笑った。
恵美も
「そっか~~~ぁ」と無邪気に千夏のマネをした。
「これ…後で食べよっかな~って思ってたから」
そう言ってカバンから 小さな弁当を出した。
「うちママからなんも言われてなくて今日は
振替給食でお弁当いらなかったのに持たせちゃったんだよね。
よかったら食べる?力作だよ~」
「弁当ってあんたが作るの?親は?」
「うちさ~好きなんだよね~こういうの作るの
だから弁当とお守はうちの仕事なんだ。」
腹が底からなっている……。
「おねーたんのおべんとーおいちいよ。」
片言が可愛い恵美がそう言った。
「じゃ…遠慮なく~」俺はウキウキして小さな弁当を開けた。
「これ~~食べていいのか?」
色どりキレイな可愛い弁当
そう言えば弁当なんて何年ぶりかな・・・・・。
弁当はめちゃめちゃ美味しかった。
「おにーちゃん好き嫌いなくていいね~」
「めぐはピーマンがちらい」眉をしかめて言った。
「完食~~~」俺は手を合わせて祈るようにごちそうさまを言った。
「めっちゃうまかった~~
こんなキレイで うまいもん初めて食べた!!」
食べるものが俺をこんなに幸せで素直にするなんて知らなかった。




