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女尊男卑 ~女性ばかりが強いこの世界で、持たざる男が天を穿つ~  作者: イノセス
16章~天上篇~

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446話~おちおち寝てもいられねぇか…~

目を覚ますと、目の前は真っ暗だった。

でも、音は聞こえる。

戦場の真っ只中にでも居るような、凄惨(せいさん)な叫び声が。


「ぐぁああっ!」

「前に出過ぎないで!ミラージュシールドをしっかりと掲げて!」

「カシラに近付けるな!」

「いっけぇ!オイラのミニゴーレムゥ!」

「喰らいなさい!私のドリルを!」

「チェストォオ!」


全身の力を振り絞って体を上げると、潰れた芝生達が見えた。次いで、走り回る白銀騎士の集団。そして、その先には、半透明の巨大な像が動き回っていた。

千代子ちゃんだ。


『倒ス。殺ス。全て、ミナト、アグレス、侵略…』


『さぁ!いよいよ時間が無くなって参りました!現在の点数差は、日本が48%、ロシアが52%!ジワジワとグレーソル選手を追い立てていた日本選手団でしたが、先ほどのグレーソル選手の一撃で、大きく後退してしまいました。その隙に、グレーソル選手が日本のミドルラインを越えようとしている!残り1分で、タッチの可能性すら出て来てしまいました!』

『日本としては厳しい状況ですね。ロシアは3人の円柱役が残っています。なので、残り1分30秒で勝とうとするなら、7人の円柱役が必要。ですが、Sランクのグレーソル選手を抑える人員も必要ですから、現実的な数字ではない』


実況の言う通り、状況は最悪のようだ。

千代子ちゃんは日本領域に深く侵攻しており、それを日本の白騎士団が止めようと必死だった。

だが、相手はSランクのダブル異能力者。意識が混濁しているとはいえ、素早い動きの巨人を相手に、みんなは逃げ惑いながら反撃している状況だった。

余りにも厄介な相手を前に、みんなは必死に連携を取ろうと動き回っている。でも、円さんは肩を被弾していて、他のみんなも疲労の色が濃い。意識を手放す前に開けていたロゴのヘディング痕も、今は既に修復済みの様子。

こいつは、不味いな。


『黒騎士選手さえ居てくれた…おおっと!黒騎士選手が、上半身を起こしているぞ!』

「「【【うぇええ!?】】」」

「本当だ!黒騎士様が目覚められているじゃない!」


腕をプルプルさせながら見ていると、視線が一気に集まってくるのを感じる。

歓声が、弱った体に容赦なく降り注ぐ。


「ボス!」

「くーちゃんが起きたぞ!」

「カシラ!ホンマ心配しましたで!」

「ほら!私の言った通りでしたでしょ?黒騎士様は必ず、駆け付けて下さるのです!」


「「【【うぉおおおお!!】】」」

「「くっろきし!くっろきし!」」

【【ブラックナイッ!ブラックナイッ!】】

「勝てる!まだ勝てるぞ!」

【頑張れ!ブラックナイト!】

【シマシマナイト、頑張れぇ!】


ああ、これ程までに期待されているのか、俺は。

蔵人は苦い笑みを浮かべながら、下半身にも力を入れる。


「全く…おちおち寝てもいられねぇか…」


動いた途端、ミシリ、ミシリと全身から嫌な音が響く。身体中から、動くなと危険信号が鳴りっぱなしだった。

それでも、蔵人は無視する。その全てを。

全ては、待っているみんなの為に。

俺は…!


「いや、寝てろよ」


バシンッと軽く背中を叩かれて、蔵人は再び地面とキスをした。

おい、誰だよ。今、折角立ち上がれそうだったのに。


蔵人が下手人を探そうと、再び上半身を起き上がらせると、その肩を掴まれた。

振り返ると、そこにはフルフェイスの騎士がいた。


「亮介…」


蔵人達の幼馴染であり、ヒーラーの里見亮介が異能力を使っていた。彼の手が触れると、あれだけ悲鳴を上げていた体が軽くなり、痛みも薄れていく。強かに打ち付けた腹部も、半分凍死しかけた両腕も、鈍器で殴られる様に痛かった頭も。

うん?頭?

頭痛が治っている!?

つまりそれって…。


「うおっ!シールドが出せる!」


意識を失う前はアクリル板すら出せなかったのに、今は普通に水晶盾が出せるようになっている。

蔵人は嬉しくて、つい大声を出してしまった。

すると、兜を軽く叩かれてしまった。


「大声を出すな。機密事項だぞ」


亮介は口を尖らせながら、叩いた手をそのまま蔵人の頭に乗せて、異能力を行使する。すると、体の中に魔力が満ちてくるのを感じた。

嘘だろ亮介、お前…魔力を回復出来るのか。

いや、だから偽名まで使わされて、軍部に匿われているのか。

そりゃ、Sランクの先生と共に行動する訳だ。下手したら、そこらのSランクよりも貴重な存在だからな。


『残り時間、1分を切りました!』


実況が絶望的な事実を突き付けると同時に、亮介が蔵人の肩を軽く叩いた。

蔵人は勢いよく頭を上げて、亮介を仰ぎ見る。


「おっ、治療は終わりましたか?先生」

「完治はしていないから、絶対安静だぞ。馬鹿野郎」


蔵人が立ち上がると、腕組みをした亮介が立っていた。

でも、彼はすぐに腕を解いて、首を振った。


「って言っても、お前は行くんだろ?」

「よく分かってるじゃないか。流石は、蔵人塾の1期生だ」

「褒められた気がしないよ。全く…」


亮介は肩を落として残念がり、すぐに上げた。


「本当に、取り敢えずの応急処置だ。体は病院送り待ったナシだし、魔力だって1/3くらいしか回復していない」

「それで十分だ、戦友」


仮面の下で笑うと、亮介はフルフェイスを持ち上げて、素顔を少しだけ見せる。

心配そうな顔で、でも輝く瞳を真っ直ぐに向けてきた。


「勝てよ、俺達のヒーロー」

「ああ!」


蔵人は大きく頷き、踵を返す。

激戦を繰り広げる戦場に向かって、駆け出した。

その背中を、大観衆からの無数の声援が押す。


「「【【わぁあああああ!!】】」」

「「「くっろきし!くっろきし!」」」

【【【ブラックナイッ!ブラックナイッ!】】】


「済まねぇ、みんな!寝過ごした!」

「黒騎士ちゃん!」


蔵人が駆け寄ると、鶴海さんの顔が華やいだ。

でもすぐに表情を引き締めて、辛そうに口を開いた。


「大丈夫なの?黒騎士ちゃん。魔力は…」

「ミラブレイク1発分は残しています。そいつで、彼女達を解放して見せます」

「分かったわ。じゃあ、私達は足止めに専念するわね」


有難い。こちらがして欲しい事を、瞬時に理解してくれる。

流石は鶴海さんだ。


「桃ちゃん、早希ちゃん。巨体の注意を逸らして。他の人は、巨体を止めるわよ。チームを組んで!」

「「おおっ!」」


鶴海さんの指揮で、全員が一斉に動き出す。


「行っくよー!」


桃花さんが全速力で駆け出し、氷像の足元を回る。

氷像は早速、攻撃しようと拳を振り上げるが、その拳にサイコキネシスの腕が巻き付いた。


「こっちやで、巨人!よそ見しとると、うちが駆逐したるさかいな!」


素早い2人の連携に、氷像は狙いが定まらず立ち往生する。

そこに、海麗先輩が飛び上がった。


「チェストォオ!」


彼女の一撃が胴体に入り、氷像が吹き飛ばされる。

超重量の巨像だったが、海麗先輩の一撃で中立地帯まで転がり込む。

そして、立ち上がろうとしたのだが、右足だけがガクンッと沈んだ。

足首が、完全に泥沼にハマっていた。


「だいせーこー!」

「バッチリよ!クマちゃん!」


慶太と鶴海さんだ。

あの短時間で、氷像の足がスッポリハマる泥沼を作り上げていた。その泥沼も、氷像が放つ冷気によってどんどんと固まっていき、足を完全に固定させていた。


『殺、ス。全、員』


氷像は尚も、抗おうとする。左足を踏みしめて、右足を凍った泥沼から無理やり引っ張り出そうとした。

その足に、サイコキネシスの腕が巻き付く。


「倒れろや!ケモノの!」


氷像の脇を通り過ぎ、地面に降りて叫ぶ伏見さん。

でも、彼女の力だけでは氷像は止まらず、左足を振って振り切ろうとする。

そこに海麗先輩が駆け寄り、伏見さんのサイコキネシスの腕を掴んだ。


「行くよ、早紀ちゃん!」

「うっす、先輩。綱引きやで!」


海麗先輩が引っ張ると、氷像は力負けして左足を折った。両足を掬われて、前のめりに跪く氷像。そこに、3人の白騎士が駆け寄った。


「行きますよ、鈴華!」

「頼んだぜ、円!」


鈴華が磁力を放ち、円さんを氷像へと飛ばす。円さんは飛びながら、氷像に向けて刀を振るった。


「せやぁああっ!」


彼女の振るった刀は、途中で砂鉄に変化して、広く拡散した砂鉄の刃が、氷像の右腕に叩きつけられた。

途端に、真っ黒に染められる氷像の右腕。


「ワシも準備出来たぞ!」

「よっしゃ!貸せ、ハマー!」

「持ってけ、ドロボー!」


アニキは叫ぶと、鈍色の何かを大量に空中へと投げた。

鉄盾を変形させた、剣山シールドだ。それが、鈴華の磁力を帯びて、氷像の左腕へと突き刺さった。


「準備おっけーだ。行くぜ、Sランク!」


鈴華が腕を上げると、それに合わせて氷像の両腕も持ち上がる。

氷像の四肢が、拘束された瞬間だった。

よし。


「行くぞ!」


蔵人は駆け出し、用意していた巨星盾を構える。

そこに、誰かが並走する。

桃花さんだ。


「発射は任せて!」

「ああ、頼んだ!」


蔵人が頷くと、桃花さんは後ろに回り込んだ。

そして、掛け声を上げる。


「行っくよー!」

「ド派手にやってくれ!」


蔵人が背中に盾の翼を広げると、そこに向かって突風が吹いた。

風は、蔵人の体を巻き上げて、前へ前へと押し出す。目の前の氷像が、どんどん大きくなってきた。

蔵人は、盾を回転させる。

超高速回転させる!


「ミラァア!ブレイクゥウ!!!」


四肢を囚われた氷像の胴体に、蔵人の超巨大ドリルが刃を立てる。


ギィイイイイイインンンッ!!!


物凄い轟音をが鳴り立てて、ドリルが氷を削っていく。

着実に、確実に、氷像の胸部が削られていった。


「いけぇ!ボス!」

「カシラ!」

「くーちゃん!」

「黒騎士くん!」

「黒騎士さま!」

「勝ってくれ!ヒーロー!」


「おぉおおおおお!!」


みんなの思いを背に受けて、蔵人は前へ前へと進んでいく。

あの日、ビッグゲームでは削れなかったSランクの表層が、今は溶ける様に削れていた。

これが、異能力。

努力だけで、世界の壁を突破でき…。


『お母さぁあああん!!』


千代子ちゃんの声。

叫び声。

助けを求める、寒々しい声。

その声を聞いた途端、心の中まで凍りつきそうになった。


「ボス!」

「巨人の腕が!」

「足も!」


なっ!?

みんなの声で顔を上げると、氷像の四肢が細くなっていくのが見えた。

その代わりに、氷像の周囲に冷気が漂い、氷像の胴体部分が大きくなる。

折角削った胸部の傷が、直っていく。

魔力を胴体に集中させているって事か?

部分回復。

くそっ!


「まだだぁああ!!」


蔵人は叫び、更にドリルを回転させる。

強く、強く押し付ける。

それでも、氷は砕け無い。削ったクレバスは盛り上がり、完全に元通りになってしまった。


ダメか。

まだ、ダメなのか。

あの時も、1人の力では対処出来なかった。伏見さんの力を借りて、漸く貫通できた。

でも、今回は誰もいない。みんなは既に、四肢を押さえるので限界だ。

誰も、頼れない。

なのに、進めない。


やはり、ダメなのか。

努力で世界の天井を突破するなんて、出来やしなかったのだ。

世界の天井は、こんなにも分厚く、そして硬かった…。


『おおっと!黒騎士様の掘削音が消えていく?』

『ドリルで掘削するのを諦めましたね。これは敵わないと、ミラブレイクを引いてしまったようすです』

『Sランクの分厚い壁は、黒騎士選手でも歯が立たなかったか』

『そもそも、Sランクに対抗出来るだけで十分に偉業だったんですよ。私達が彼に、彼らに過剰な期待を押し付けてしまった。十分凄い事ですよ。オリンピックで、銀メダ』


ガギィイインッ!!


『なっ、なんの音でしょう?』

『く、黒騎士選手です!彼が、再びミラブレイクを氷の巨人に当てた音です!彼は、まだ諦めていなかったんだ!』


諦めていない?いいや、そうじゃねぇ。

蔵人は小さく首を振り、前を向く。

最初から、諦めてなんかいないんだよ!


蔵人は兜の中で笑みを浮かべ、右拳を後ろへ大きく引く。引き絞る。

すると、それに連動してドリルも後退し、刃が空を切る。

そして、引き絞った拳を解き放つ。前へと、思いっきり繰り出す。

すると、ドリルも同じように突撃する。

激突する。

氷像の胸部に。

激突したドリルが、氷像の表面を小さく砕き、ヒビを入れる。

また、蔵人は拳を引き絞り、超高速で発射する。

無限の連打を。


「砕けろっ!!」

ガキィインッ!ガキィインッ!ガキィインッ!ガキィインッ!ガキィインッ!ガキィインッ!


『連打!連打!ドリルの連打が、氷の巨人にぶち当たる!何度も、何度も!』

『これはまるでパイルバン…いえ、コンクリートすら貫く、ブレイカーの動きです!』


ああ、そうだ。

回転による遠心力に加えて、打撃による衝撃で、このぶ厚い氷を削る。

努力だけでは届かなくとも、技術と工夫を織り交ぜて、何度も何度もぶち当たる。

それが、この世界の限界を壊す、唯一の方法だ!


『激しい黒騎士選手の連打に、氷の巨人の体に無数のヒビが入っていく!それが、どんどん広がり、深くなっていきます!おおっと!ここで巨人が動いた。後ろに、後退した!氷の巨人が、ドリルに押されている!一歩、また一歩と、Sランクの巨人がCランクのドリルに押し負けているぅうう!』

『胴体の防御に魔力を回したせいで、足の踏ん張りが効かなくなったのでしょう。足を押さえていた日本選手達も』

『止まらない!ドリルに押され、巨人がロシアに突き返される!そして…ここで止まったぁ!』

『巨人の背中がロシア円柱に当たりましたね。これで、巨人は逃げられなくなりました。前は黒騎士選手のドリル、後ろは不朽(ふきゅう)の円柱。ここが最終決戦の戦場です!』

『残り15秒!決められるか!?黒騎士選手!』


決める。

ここで。この場所で。

俺のドリルは、


限界(てんじょう)を突破するドリルだぁあ!」


蔵人は魔力を集中する。

全てを、ドリルの先へ。

乱反射していたドリルの穂先が、黒く濁り始める。

Sランクの、黒金剛ドリル。それを、今…。

叩きつける!


「ガトリング式!ミラァアア!ブレイカァアアアア!!!」


パリンッ


そんな涼しく、キレイな音を立てて、

氷像の胸部が真っ二つに割れた。


それと同時に、氷像を構築していた全ての氷が粉々に砕け散り、ダイヤモンドダストとなって空気中に霧散していった。

キラキラと、太陽の光を反射するその空間は、まるで天の川の中を泳いでいるような錯覚を覚える。

その中に、千代子ちゃんと湊音君が漂っている。少し離れた2人は、天の川に分断されるように漂っていた。

蔵人はその2人の手を掴み、共にロシア円柱の上へと降り立った。


ファァアアアアンッ。


『試合、しゅうりょぉおおおおお!!!』

「「【わぁあああああああ!!】」」


『試合時間20分。日本領域48%、ロシア領域52%で迎えた最終局面。最後の最後に黒騎士選手がタッチ?を決めて?』

『体に接触したので、タッチで問題ありません』

『はい!タッチです!フィフスタッチを決めました!それにより、日本に450点が加算され、最終結果は日本が50.5%、ロシアが49.5%。日本の逆転勝利!大・どんでん返しの優勝です!!』


「「「【【わぁあああああああ!!!!】】」」」


「やったぜ!黒騎士!優勝だ!金メダルだ!」

「本当に日本が優勝できるなんて、夢の様だわ!」

「もう日本は、異能力後進国なんかじゃないんだよ!」

「「「くっろきし!くっろきし!」」」


【素敵すぎるわ!ブラックナイト!】

【Sランクを倒しちまった!Cランクが、Sランクを!】

【私達低ランクの誇りだわ!ブラックナイト!】

【【ブラックナイッ!ブラックナイッ!】】


「ボス!」

「カシラ!」


湊音君達がベイルアウトとなって運ばれて、蔵人が円柱から降りると、日本選手のみんなも駆け寄って来てくれた。

みんながみんな、ドロドロでボロボロの格好となっていたけれど、その笑顔だけは輝いていた。

そんな中、特に良い笑顔の鈴華が前に出てきて、蔵人の肩をグワシッと掴んで来た。


「んじゃあ、先ずはアレをやりますかね」

「おっ、アレやな?うちもやるで。めいいっぱい高く上げたるさかい」


盛り上がる2人。その後ろに並ぶ人達も小躍りしている。

そんな選手達の中から、比較的綺麗なフルフェイスが割って入って来た。

亮介だ。


「バカ、バカ、バカ!何を言ってるんだ、君達は。平気な振りをしてるけど、そいつは満身創痍で重症患者だぞ?胴上げなんてしたら、また血を吐いて倒れちゃうかもしれないだろ?絶対にダメ。ドクターストップだ」

「んじゃ、てめぇが代わりになれ」

「へっ?」


という事で、亮介が代わりに担ぎ上げられる事になった。


「なんで俺なんだ!俺は今回、何もしてないぞ!」

「嘘つけ!お前がボスを治療してんの、あたしらみんな見てたかんな」

「君のお陰で、蔵人君が戦えるようになったんだ!ありがとう!」

「りょーちゃん、さすが!」

「そのお礼に、めいいっぱい高く上げたるさかいな!」

「要らない!そんなお礼はいらな」


「「「せーの!ばんざーい!」」」

「「「【【【バンザーイ!バンザーイ!】】】」」」


観客席からも、多くの万歳コールが届く。

会場全体が、我々と同じ言葉を叫び、心を一つにする。

ただ1人。


「もういい!下ろせ!下ろしてくれ!頼むぅう!!」


亮介を除いて。

まさか、亮介君の異能力が魔力を回復させるものだったとは…。

それは、Sランクよりも重宝されますよね。


「癒し手の異名は伊達ではなかったな」


イノセスメモ:

日本 VS ロシア。

日本領域:50.5%、ロシア領域49.5%。

試合時間20分00秒。領域差で日本の勝利。オリンピックU18ファランクス優勝決定。


オリンピック成績。

優勝:日本

準優勝:ロシア?

3位:アメリカ?

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― 新着の感想 ―
ウハハハハハ!!!笑いが止まらねぇ!!この男、土壇場でSランクの盾を構築しやがった!!すげぇなぁ…努力、工夫、技巧で、ここまでやるなんて…まさしく、黒騎士ですなぁ…
これは語り継がれる勝利 おめでとう!
蔵人君が幼少時からお友達と魔力を通わせてたので思い至らなかったけど、魔力譲渡(トランスファー系)や 魔力の回復を励起する類の能力(覚醒由来?)はやべー希少さだったのか… 里見さん一家も複雑な立場かな?…
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