438話~ビロリン!ビロリン!~
8月29日。夜。
オリンピック競技、U18ファランクス決勝戦前日。
日本選手ホテル。
『いやぁ。素晴らしい戦いでしたね、黒騎士選手と清麗選手のシングルマッチ』
『Cランク同士とは思えない白熱したバトルでしたわ』
蔵人達は明日の試合に向けてのミーティングを行う為、ホテルで1番大きな会議室に集まっていた。そこのモニターで、監督が来るまでニュース番組を見ている。
話題はキャスターの言葉通り、今日の昼に行われたエキシビションマッチについてだ。
女性キャスターや評論家達は、やれ黒騎士のこの動きが良かっただの、ここで攻めに転じたのが良かったのとべた褒め状態だ。
そんな中でも、ちょっと捻くれたコメンテーターが両肘を机に着いて口を尖らせる。
『確かに凄い試合でしたし、エキシビションマッチとはいえ立派な功績ざます。ですが、思っていたよりも苦戦したという印象が、私の中にはありますわ』
『と、言うと?』
『皆さんはお思いにならなくて?黒騎士はファランクスの準決勝で、中国のSランク選手を殆ど単騎で破っていますわ。Sランクを倒せる選手なんですもの、Cランクの清麗選手が相手なら楽勝だと思っていた人も多いと思いますわ』
うむ。そう考えてしまうのが魔力絶対主義の悪い所だ。
Sランクが強くて、それに比べたらCランクなんて遥かに弱い存在だと。
そうではないのだと、蔵人は言いたかった。このスタジオに乗り込んで、シンリーさんの凄さを伝えたかった。
だが、出来なかった。
その必要がなかった。
『まだランクで測っているんですか、山口さん』
『あら?それはどういう事かしら?竹田さん』
『あのですねぇ、今はランクもそうだけど、その人の技術力も重要視されつつある傾向にあるんですよ?現に、清麗選手は過去に、王華選手を倒したことがあります。中国国内の小さな大会で、運営が記録を"紛失しちゃった"んで確かじゃないですけど、清麗選手はそれ以外でも、AランクやBランクを倒しています。中国国内じゃ、ジャイアントキラーって呼ばれているんですよ?』
『あら?そうだったの?』
『そうですよ。だから、その清麗選手を倒した黒騎士選手はやはり偉大な事をしたと言えるんですよ』
蔵人が言わずとも、ちゃんと分かっている人が前に出てきてくれた。
その事が、蔵人は目頭が熱くなる程嬉しかった。ランクにばかりに重きを置いていた世界が、今は個人を見るようになってくれている。
こんな大勢が見るテレビ番組でも、その思いを語ってくれる。それだけで、世界が変わりつつあるのを実感した。
「良かったわね、蔵人ちゃん」
鶴海さんがそっと寄り添い、笑顔を向けてくれる。
ええ。本当に。
蔵人は小さく、何度も頷いた。
と、その時、大きな音が鳴った。
テレビからだ。
そこから『ビロリン!ビロリン!』と、鼓膜を震わせる音が響き渡り、テレビの上に赤い帯が出てきた。
緊急速報だ。
何が書いてあるのかを確かめる前に、白熱した議論をぶつけ合うスタジオから画面が切り替わり、背後が剥き出しの放送スタジオが映った。
その中央で、原稿を手に持つ女性キャスターが緊張した面持ちで軽く頭を下げた。
『番組の途中ですが、緊急速報をお伝えします。日本時間20時頃、アメリカ、ハワイ諸島付近の太平洋沖で巨大地震が発生しました』
地震。
そう言って、キャスターは顔を強ばらせているが、それが嘘であることは蔵人も若葉さんも知っていた。
こいつはアグレスだ。
大地震であると言わせるほどに、強力な超大型アグレス。ゲームでは、Sランクのパイロキネシスとメタモルフォーゼを使いこなす難敵で、相当難しい部類のレイドボスとして登場していたらしい。
そいつ自身が60m近くの巨龍に変身しており、並の攻撃では全くダメージを負わない。また強力なパイロキネシスを吐き出し、たった一撃でトーキョー湾を火の海に変えた。
奴の周囲に付随する雑魚アグレスの数も多く、ゲームの【日輪国家】は甚大な被害を出すこととなった。
だが、この世界は違う。
『この地震の防災支援として、日本からは陸軍と海軍の特別編成チームが派遣され、周辺海域での厳重警戒に当たっています』
林さんから教えてもらった情報を、望月家経由で関係者に発信しているので、既に軍隊が迎撃態勢を整えていた。
正確な出撃規模や活動状況などは分からないが、先ほどのニュースキャスターの発言からすると、アグレス出現ポイント周辺を既に押さえている風に聞こえる。
ゲームの時みたいに後手後手に回っておらず、しっかりと装備を整えた軍隊が初動から全速力で動いている。これはゲームとは違う大きな利点だ。
更に、
『また日本政府は先ほど、津波の恐れがある地域に防災派遣を実施する旨を発表し、同時に、津波が予測される地域に避難勧告を発令しました。発令されている地域は以下の通りです。茨城県大洗町、ひたちなか市、東海村、日立市、北茨城村。福島県いわき市…』
もしもの対策も、しっかりと練っているみたいだ。
取り逃した雑魚アグレスが、万が一日本沿岸部に現れたとしても、それを迎撃する体制も構築されつつある。きっと今頃、茨城や北陸の沿岸部には、軍隊の車両がズラリと並んでいることだろう。
「く、蔵人君。これって大丈夫なの?」
蔵人がテレビを見ながら腕組みをしていると、桃花さんが唇を震わせながら袖をツイツイと引っ張って来た。
「ああ、大丈夫だよ。ちゃんとみんなが動いてくれているみたいだからね」
「そうなの?でもさ、蔵人君が元々住んでいた家の近くなんでしょ?その…お友達とか、避難が間に合うのかなって」
ああ、そう言う事か。
蔵人は納得して、答えようとする。
でも、先に「平気じゃ、平気」とアニキが答えた。
「この勧告の1週間も前に、ワシらには話が来とったからの。近々災害が起こるリスクが高まっとるから、今の内に避難しといてくれと、役所から連絡が来とったらしいわ。ワシらの地域は避難指示に入っとらんが、親戚が泊りに来とるらしいから、大体の人間は既に避難済みじゃろ」
「ああ、そうなんだ。それなら安心だね」
つまり、このテレビで出されているのは最終勧告だ。正式に避難勧告が出されているから、まだ残っている人は急いで避難所に向かい、避難所にいる人は戻ったりしないでねという指示命令。
ゲームでも最凶最悪の被害を出したこのイベントを、何とか乗り切りたいという日本政府の意思を感じる。
「おお、なんだ。こちらでもニュースを観ていたか」
蔵人達がテレビに釘付けになっていると、進藤監督達コーチ陣が現れた。彼女はモニターを見て一瞬顔を暗くさせたが、直ぐに首を振って選手達の前に出た。
「心配な者もいると思うが、明日のロシアとの決勝戦は予定通り決行されることが決まった。皆、気持ちを切り替えて臨んで欲しい」
進藤監督の言葉に、いつもは直ぐに「「はいっ!」」と元気よく答える選手達は、今回はそうしなかった。
遠慮がちにこちらを振り向いて、みんながみんな心配そうな顔をしている。
うん。特区外からの選手である、我々男子選手を気遣って返事をしなかったんだな?優しい娘達だ。
蔵人は隣の慶太とアニキに目配せをして、ゆっくりと立ち上がる。
「皆さん。お気持ちありがとうございます。今のニュースを観て、気持ちが落ち込んだ人も居るでしょう。ご親族や友人、故郷を心配している方もいらっしゃると思います。ですが、だからこそ我々は前を向かねばならないのだと思います。気持ちが落ち込んでいるのは、きっとみんな一緒だから。私達が出来るのは、そんな人達の希望になる事です。我々が必死に戦う姿を魅せることで、この暗い雰囲気を吹き飛ばすのです」
不謹慎と言う人もいるかもしれない。だが、我々が出来る事は限られている。今は、この大会に全力で挑むのが最大の貢献となる。
大丈夫だ。向こうの事は、軍隊が何とかしてくれる。向こうにはきっと、ディさん並みのバケモノ達が集っている事だろう。向こうの荒事は彼ら彼女らに任せ、我々は我々にしか出来ない事を成すのだ。
「相手は強豪ロシア。勝つためには手段を択ばない、狡猾で容赦のない国です。きっと、インドや中国とは違う意味で厳しい戦いとなるでしょう。でも、だからこそ、我々は全力で勝ちにいかねばならない。勝って、世界に知らしめましょう。小国でも、異能力後進国と言われようと、世界一位になれると証明するんです」
「「「はいっ!」」」「うむっ」
選手だけでなく、コーチ陣も一緒になって頷いてくれる。
進藤監督が、厳しい顔つきになって腕組みを解く。
「気合も入ったところで、ロシアチームの分析をしていくぞ。望月、鶴海。前に出て来てくれ」
「「はい」」
若葉さん達が嬉々として、監督の横に着く。そして、解説をしていく。
若葉さんが写真や映像、選手の内情を解説して、鶴海さんが選手の動きや作戦について解説をする。そして、進藤監督が全体の注意点や、対戦相手の改善点を付け加える。
何と言うか、完成された解説番組であった。
気のせいか、2人に挟まれる進藤監督の表情がとても楽しそうだ。
…監督。この大会が終わった後に、2人を引き抜いたりしないで下さいよ?
〈◆〉
【ハッセ会長。本日の会食会場に到着致しました】
【うむ】
オリンピック委員会のハッセル会長は勿体ぶって頷き、私が開けた車のドアからトドのような肥え太った体で這い出てきた。
それだけで、ふぅ、ふぅと息が上がっているけれど、大丈夫だろうか?もうこれ以上、食べない方が体の為では?
私が心の中で心配していると、彼女も不安そうな表情を浮かべる。
そして、
【ちょっとヒューゲル。本当にここが会場なの?随分とこじんまりとしたホテルなんだけど?】
そう言って、目の前に聳え立つ一流ホテルを見上げた。
いや、私からしたら十分に立派なホテルだ。貴女が普段、1泊数百万の所に泊まり過ぎて、感覚が狂ってるだけだから。
【会長。日本は土地が限られていますので、欧州と比べるとコンパクトな物が好まれます】
でも、私は上手くフォローする。
それでも会長は【それでも、芸術的センスは持って欲しいよねぇ】とダメ出ししながら、ホテルの中へと入って行く。
全く、美術館で爆睡してた人がよく言う。
私達はホテルの最上階へと着くと、凛々しくも可愛らしいボーイが出迎えてくれて、席まで案内してくれる。いつもはふてぶてしい態度をとる会長も、彼にはデレデレだ。軽くお尻を触ったりしている。
泣き出すかと思ったけれど、青年は困った顔を浮かべるだけであった。
プロだ。接客のプロ。日本の男性は弱いと聞いていたけど…一体何者?
【どうぞ、こちらです】
そう言って通されたのは、色の良いオープンスペースではなく重厚な壁で仕切られた個室。そこで待っていたのは、3人の人物。
その先頭で挨拶してきたのは、欧州経済共同体のヌーベル副会長だ。その横にいらっしゃる目付きの鋭い人は…確か、ロシアの監督だったはず。
そして、最後の1人は随分と若く、まだ20歳にも届いていそうにないご令嬢であった。
ヌーベル様の秘書?それとも娘さん?
【良くぞお越しくださいました、ハッセル会長。さぁ、お座りになって】
ヌーベル様が貼り付けた笑みを浮かべて、私達に着席を催促する。
態々、このような所を用意する時点で、今日の会合が綺麗な物でないと言っているようである。
そう思った私の勘は正しかったみたいで、見え透いた煽て文句を並び立てていたヌーベル副会長は、メインディッシュが終わると同時に【ところで】と露骨に話題を切り替えてきた。
【ハッセル会長はご存知の事と思いますが、今年の異能力戦で、日本のチームが勝ち残っているそうですわね】
【あ、そうそう。ファランクスU18の日本チームだよね?いやぁ、よくやるよねぇ。なんでも、Sランクを編成していないどころか、Dランクや男子選手を入れてるらしいじゃない。いやもう完全なダークホースで、オリンピック委員会としちゃ売り上げが凄くてね。エキシビションも良かったし、次はどうやって…】
【会長】
堪らず、私は会長膝に手を置いて制する。
すると、ヌーベル様は【大丈夫ですよ】と微笑みで受け取る。
【ここのセキュリティは万全です。どのような会話をされても、それが世に出る事はございません】
そうじゃない。私が会長を止めたのは、問題発言の方じゃないんだ。
私が止めたのは、会長が日本を褒め?初めてから、ヌーベル様の両隣が僅かに眉を顰めたからだ。
つまり、彼女達は日本を上げる為に話題を出したのではなく、下げる為に出した。
だから、私は慌てて止めたんだ。
そして、次のヌーベル様の発言で、私はそれは正解であったと確信した。
【ハッセル会長が仰った様に、日本は異様な編成で勝ち続けております。DランクがCランクを倒し、CランクがSランクを倒す。こんな異常事態が今、公の場で起こっているのです】
【ああ、あの中国と日本の試合だね?私も観たよ。すご…】
凄かったという前に、私は再び会長の足をタップした。
脊髄反射で答えるの、ホントに止めて。
【ええ、そうです、ハッセル会長。これは非常に不味い事です。低ランクを推進する動きが加速化すれば、世界経済は確実に破綻します。世界に低ランクが溢れ、エネルギー不足が深刻化するでしょう】
【うむ。それは不味いですねぇ】
本当に分かって頷いている?会長。
だって、Sランクを倒す程の力があるんだから、それって発電にも役立つよね?黒騎士選手の巨大ドリル。あれなんて直接発電機に繋げば、パイロキネシスよりも発電効率上がるんじゃない?
私は詳しくないけど、でもこの話が表面的な物だって事は分かる。
ヌーベル様はただ、魔力量を軽視する風潮を危険視しているんだ。
彼女の様な貴族家の人達は、代々高ランクとの婚姻にこだわり、それが一種のステータスになってきた。
彼女自身もAランクだから、余計に黒騎士選手の発言を嫌っているんだと思う。
中国戦を終えた後に言っていた、努力で魔力を超えるという思想が。
【ご理解頂けて嬉しいですわ、ハッセル会長】
会長が頷くと、ヌーベル様は少しだけ体を乗り出した。
そして、
【ハッセル会長。私達は今、ロシアチームを応援しております。ここに居るVP社社長は、ロシアチームが装備しているパワードスーツを手掛けていますの】
そう言われて、私は漸く思い出した。
そうだ。この若い女性の名前はカトリーナ・デュポン。アメリカDP社の社長で、今はロシアにも進出していると聞く。そして確か、ロシア製薬会社のヴァロファロムと提携して、ロシア支店名をVP社にしたらしい。
【私は先日、VP社への出資を決めました。明日の試合、ロシアが優勝した暁には、パワードスーツを手掛けたVP社にも大きな利益が生まれますから】
【それで?私にも出資のご相談なのですかな?】
会長の声が固くなった。
それに、ヌーベル様がゆっくりと首を振る。
【とんでもない。ハッセル会長には少し、お目こぼしを頂きたいと考えております】
【なにっ?!】
抜けている会長でも、彼女達が何を言わんとしているかが分かったみたいだ。
お目こぼし…つまりは、不正を見なかった事にしろと言っているのだ。
公正公明を謳うオリンピック委員会の、その会長に向かって。
流石の会長も、これには顔を赤らめる。
だが、会長が何か言う前に、ヌーベル様が【ああ】と声を上げる。
【勿論、タダでとは申しません。ロシアチームが勝利した暁には、VP社の売上の一部を寄付させて頂きます。今大会のコンサルティング料金と致しまして、ハッセル様個人に向けて】
【なにっ】
浮かせていたお尻を、どっしりと椅子に打ち付ける会長。
それを、目で笑うヌーベル様。
【ハッセル様にお願いしたいのは、ロシアチームが行う小さな間違いについて、目を瞑って頂く事です】
【小さいって…ものに寄るぞ?やり過ぎたら流石に、私も擁護出来ないからな?人数だとか、ランクの制限だとか、今はネットも普及しているからね。見てすぐ分かるルール違反は…】
【勿論ですわ。その為のVP社ですから。
それで、ハッセル様。お返事の方は…】
【ふむ。そうですなぁ…】
会長が迷い始めた、私は慌てて彼女の手を取る。
この話に乗らせてはダメだ。絶対に、破滅の未来しか待っていない。
そう思い、私はそのまま連れ出そうとした。でも途中で、私の腕が引っ張り返された。
そして、振り返ると…。
【座るんだ、ヒューゲル。商談中だぞ?】
唸るように言葉を吐く、会長の姿があった。
彼女の目はランランと怪しく輝いていて、完全に金の亡者となっていた。
【済みません、ヌーベル副会長。秘書が勝手な事をしました。私の血圧を気にして、デザートを食べさせまいとしたいみたいで】
【良い秘書さんをお持ちですわね、ハッセル様】
そう言ってほほ笑むヌーベル様の目も怖い。絶対に逃がさないぞと、私に狙いを付けている。
これは、下手に通報とか出来ないな。したら最後、私が主犯に仕立て上げられちゃうかも。
私は肩を落として、3人の行く末を見守るしかなかった。
【ヌーベル副会長。繰り返すようで申し訳ないが、本当に大丈夫なのだろうね?相手は中国に勝った日本だ。そんな相手に、ちょっとの小細工程度で勝てるのかい?無理に勝とうとして、重大なルール違反をされると困るよ?日本はただでさえ、規定に厳しい国なんだから】
【その点は大丈夫ですわ。この国は今、それどころではございません。太平洋で起きた”巨大地震”に対応するために、Sランクの半数を投入しているらしいですから】
日本の現役Sランクは8人。その内の4人も割かれているのなら、国内の警備はかなり手薄になる。日本は島国だけれど、ロシアや中国に囲まれた国だから、国防にも人員を大量に割かないといけない。その状態で半分のSランクを取られているのはかなり痛いだろう。
国防の為、国の中心で行われているオリンピックには殆ど目が行かなくなっている。
それが余計に、今回の悪事に繋がると言う事か。
【そうか。その点はクリア、か】
【はい。それに、ハッセル会長。日本が台頭してくるのは、貴女様にとっても喜ばしくない事だと思います。中国、インドについで、もしも日本が列強入りでもしようものなら、列強の半分がアジアンに埋まってしまう。まるで黄色人種が、白人種と対等のように映るのでは?】
【うむ。それはイカンな】
会長は軽快に頷き、ヌーベル様に手を差し伸べた。
【ご協力しましょう、ヌーベル副会長。私は全力で見逃します。ですが、本当にやり過ぎないでくださいね】
【勿論ですわ】
ヌーベル様は余裕の笑みを浮かべる。
【私達は全く、手を汚しませんので】
超大型アグレスに、オリンピックの陰謀…。
決勝戦前に、何だかきな臭くなってきましたね。
「国とはそう言うものだ。敵の敵は味方。どうにかして、己の利己に反する者を排除したいのだろう」
オリンピックの意義を、勉強しなおさないとだめですよ。上の人達は。




