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フライパン・ガール 〜崖シェフ擦ると煽られる〜

《登場人物》




 林堂 凜


 主人公。 小6、男。 任天堂Switch 大乱闘スマッシュブラザーズが学校一うまい。






 香咲 ナディア=マフディー


 小6、女。パキスタンと日本人のハーフ。主人公と同じ学校。主人公が好き。






 梁 梨花リャン・リーファ 


 小6、女。台湾人と日本人のハーフ。主人公の幼馴染で、相棒。小学校は別。主人公が好き。






 ジン


 クラスメイト。男。クラスのリーダーで、優しい。




 


 佐竹


 クラスメイト。女。クラスのボス。




 


 鈴香 


 ナディアの姉。高校生。






 香咲 ヨシヒコ=マフディー


 ナディアの父。パキスタン人。




 お館様


 ナディアの祖母。ヨシヒコの母。




 オスマン


 ナディアの叔父。

モニカさんの唸り声、フライパンがコンクリートでやかましい音をたてた。


「殺すな!」


「リーファ!?」


裸足で飛び出した僕の視界に飛び込んできたのは、地面で押さえつけられるモニカさん、尻餅を付いてるリーファ。

モニカさんの口を塞いでいるのは、革手袋をはめた社員のユンファさん。


「リーファ、何!?」


息を切らした、リーファが逆に僕に訊ねる。


「凛、何もされなかった?」


「いや、何言ってんの、スマブラしてただけだぞ!」


「……5先の相手と? なに考えてんの、凛?」


「……え?」


顔を真っ赤にしてモガモガ暴れるモニカさんに氷の様な視線を向け、リーファは言った。


「コイツはオリガ。ナーの実家の通訳だよ」





「え、モニカさん小学生だったの!?」


結束バンドで後ろ手に縛られたモニカさんが、そっぽを向いた。


あぐらをかいたモニカさんの前に、僕とリーファ、すこし離れた場所でユンファさんが退屈そうに壁に寄りかかっている。


あの後モニカさんを彼女の部屋に引きずり込み、

悪いけど、僕達も勝手に上がり込んだ。


まだ、僕は展開についていけない。

ナディアの実家と揉めたときに話した通訳、モニカさんで……しかも僕と同じ小学生?


モニカさんが、ボソリと呟いた。


「くっそ、まだチューしかしてないのに。もう2時間あれば…」


「変な事言わないで下さい!……イダイ、つねんな!」


二の腕をつねり上げてくるリーファの手を、割と本気でハタいた。


「シタじゃん、昨日」


「頭でしょ? 避ける暇も……ぐわっ、爪で細かくつねんな、マジで痛いわ!」


僕は肩をはたいてから、リーファから距離をとった。


「……アンタさ、マジで、私の骨折るつもりだったでしょ?」


「アタリマエ。肩じゃなくて頭狙えばよかった」


「いうじゃん、テメー」


「やめろ、リーファ」


身を乗り出しかけたリーファを止める。


その時。


「リー!林堂!」


チャイムも鳴らさずに、いきなりナディアが入って来た。


息を切らせて駆け寄ってくると、モニカさんを瞬きもせず見つめた。


「マジか……ホンマにオリガじゃ」


「ナディア、オヒサね」


モニカさんがちょっと気まずそうに言った。


「なんで縛られちょる!? ハサミはどこじゃ」


「ナー、電話で言ったろ?そいつ私の肩折りに来たんだよ?」


「リーが悪いわ」


ナディアは包丁を見つけ、手に取りながら続けた。


「目付き悪い大人連れた奴が来たら、ウチでもそうする。まともにやって勝てるわけ無いしの。居留守つこうて、夜中来られる位なら今殺る。リーならどうするんじゃ?」


リーファが言葉に詰まる。


ユンファさんが、軽く笑った。


結束帯を切りながらナディアが続ける。


「オリガは用心深いんじゃ。このマンション、監視カメラだらけにしちょるぞ。んで、定時連絡が途切れたら、お巡りさんに通報する様、仲間にたのんどるはずじゃ……オリガ、誰も何もせんから止めんさい」


「ナディアの訛ナツカシイネ……OK」


スマホを操作して、モニカさんが笑った。




「うちが実家に閉じ込められた話、覚えちょるか?オリガは、うちの話し相手として実家で雇われてたんじゃ」


ユンファさんが帰って僕ら4人だけ。時刻は夕方4時を指してる。


「それでか。日本語とスマブラ出来る小学生がパキスタンにいるって都合良すぎだもんな」


どちらかといえば冷たい目で僕らを見てるモニカさんを眺めた。さっきまでの陽気さがカケラもない。

当たり前か。


「ウチら、実家から脱出出来たんもオリガが手助けてしてくれたんじゃ」


「……じゃ、ナディアのママがあの時言ってた協力者ってモニカさんの事?」


「違う。オリガはウチらを見逃してくれたんじゃ、見返りぬきでの……こっからがややこしい。ウチ、オリガとは仲が悪いフリしちょった。協力してくれるんバレんようにの」


「つまり、ナーの実家には、今もそう思わせとかないと、コイツの立場がマズくなるのか」


リーファが、明後日の方向を向いてインスタントラーメンを啜る、モニカさんを見ながら冷たく吐き捨てる。


「メッチャそうしたいんだけど……分かってる、ナーにとっては恩人。で、どうする?」


口から麺を垂らしたままピタリと動きを止めるモニカさん。


「あ、そうだ」


ぼくは立ち上がり、倒さないように、流しの上に置いてた、食べかけのラーメンを手に取った。


「途中だった」


モニカさんの真似をして、ずぞぞぞと啜る。

ちょっと伸びてるけど気にしない。


みんな呆れたように見てたけど、モニカさんがクスクス笑いだした。


「やっぱ、このSonny オモロイ」


「Sonny って言うな。林堂だ」


「知ってるよ、リンリン」


「リンリン言うな……イテッ、リーファ蹴るな!こぼれるだろ」


座ったまま僕を蹴ったリーファが、ちょっとキレながら言った。


「凛が悪い。そもそも、ちゃんと相談してくれてたら、こんな事にならなかった」


「相談も何も、引っ越してきた奴が5先の相手なんて思わんわ」


ナディアが優しく笑った。


「まあまあ。オリガ、ウチ会えて嬉しい。礼もろくにいっちょらんからの」


「ナー。ソイツ、凛にチューしたって」


微笑んだまま、拳をめきりと鳴らすナディア。


「短い付き合いじゃったのう。遺言あるならいうときんさい」


モニカさ……オリガがドン引きする。


「いや、マテマテ、シゴトシゴト!ビジネスね!」


リーファも立ち上がり、首を回しながら言った。


「2時間あればって言ってたから、なにするつもりだったか……」


「直接体に聞こうかのう。興味深いビジネスとやらを」


「ナディア、ジョークよ! 包丁しまう! く、来るなっ、リンリン、助けろ!」


ふーん、どうやらナディアには弱いらしい。

ちょうどいい。


「そもそも、なんのつもりで僕のマンションに引っ越してきたの?」













毎日23時頃、週7更新を目標にしてますが、火曜と木曜は、25時になる事が多いです。

祭日、日曜は、早めに投稿する事もあります。


宜しくお願いします!


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