オッサンと晩餐会 中編
「おやっさん?!」はっ、しまった。思わず声に・・・・。
「あん? おっ、ルド! ルドじゃねぇか!」
くう、今最も会いたくない人が、晩餐会に出席してるなんて、ついてない。
「おい、ルド。元気してたか? あぁ?」
ヤ○ザの見た目で凄みながらくるな! 怖いだろ! あんたの顔面、とんでもない破壊力なんだからな!
「ルド、何だいこのおっさん? 知り合いか?」
マリーダはさすがだな。他は大丈夫かな? 横を見ると、リジーは怯えて耳がシュンとなっていた。
うむ、愛でたい。頭をナデナデしたい。
(注)オッサンはただの犬派です。変な性癖はありません。
フィオはと・・・・。紅き三つ星の、もう一人のメンバーのフィオを見ると・・・・白目を向いて立ったまま気を失っていた。
「おい! フィオ! しっかりしろ!」フィオの肩を掴んで揺さぶった。
「はっ! 何か見ては行けないモノ見てしまった気がするですぅ」
「いや、ある意味そうだと思うぞ」
「おいおい、何だ?」とおやっさんが覗き込んで来た。
そして、その顔を見て「ふぎゃ」と変な声を出して、フィオまた気絶した。
「おやっさん! こっち来るな! 見るな! おやっさんの顔は兵器と同じなんだ!」
「あぁん?・・成る程、気絶してしまう程イケメンだと」
「・・・・ちげぇよ。気絶する程怖いんだよ!! おやっさんの顔面は!!」
「な、な・ん・だ・と!」
何でショック受けたんだよ!
「はっはっはっ、将軍を見たらゴブリンやオークも逃げ出す
と言う噂、本当かもしれませねぇ」
俺は笑い声の方に振り向いた。ん? この人たしか。
「久しいな、ルド殿」
「レイザール公爵・・・・お久しぶりです。五年ぶりくらいですかね」
「もう、そんなになるかね」
「はい」
「ルド、レイザール公爵と知り合いだったのか?」
「前に依頼をな。マリーダこそ知ってるのか?」
「私も依頼をな」
五年程前、にレイザール公爵領の山に、一つ目の巨人サイクロプスが住みつき、その討伐を依頼された。その時からの知り合いだ。
「マリーダ殿も久しいな」
「はい、二年くらいでしょうか」
俺とマリーダが、レイザール公爵と談笑してると、突然。
「俺を仲間に入れろーーーーーーー!!」
おやっさんが拗ねた。思いっきり拗ねた。そして、子供の様に暴れだした。
「お前らだけ楽しく話してんじゃねぇーーー!!」
デカイ子供が駄々をこねる。正直、見てられない。
「将軍!!」「将軍!! いけません」
暴れるおやっさんを、軍服を着た兵達が押さえに入る。
「将軍、こんな所で止めて下さい!」
「将軍を抑えろ!」 「殴っても構わん、行け!」
大変だなこの人達も・・・・。
「ハァ〜、もう、おやっさん! ガキじゃねぇんだから!」
「ボルナーク将軍、落ち着きたまえ」
まったく、相変わらずだなこの人。
「何だ、早速始まっていたか」
声の方に振り向くと、そこには、大胆なドレスを身に纏った殿下がいた。
その姿は、思わず見とれてしまう美しさだった。
そう、何より胸だ! 胸が大胆な事に! オッサンとて目がいってしまう。
「ぐほっ」 突如、脇腹に痛みが走った。
「何すんだマリーダ」
マリーダによる、肘攻撃だった。
マリーダは「別に」と素っ気ない態度で、プイっと顔を背けた。
何だよ一体? オッサンはやっぱり鈍い。
「さて、それでは皆様、お席の方にご着席下さい」
エバンさん指示の元、みんな用意された自分の席に案内されて行く。
俺は、自分の席を見た。
・・・・・・何故だ? 何故殿下のすぐ近くに?
殿下は勿論、上座に座っている。俺の席、上座のすぐ横何だけど? レイザール公爵が、俺の向かいに側に座るのは分かる。何故俺がここに?
「どうかなさいましたかルド殿?」
リサーナが俺の様子を見て、声をかけてきた。
「リサーナ、何故この席なんだ?」(ボソ)
「あぁ、成る程。勿論それは、最も功績の大きいルド殿が、上座の近くに座るのは当然ではないですか」(小声)
「別に俺じゃ無くても」
「ルド殿、妾の近くでは嫌か?」
殿下・・・・聞こえてたの? うがっ、更に殿下の上目遣い攻撃が発動。ドレスアップで効果が十倍に・・。
くっ、仕方ない。オッサンは素直に着席した。
「それでは、一品目をお持ち致します」
エバンさんの進行によって、一品目の料理が運ばれてくる。
兎に角、料理を味わって落ち着こう!
まずは、前菜が運ばれてきた。彩り豊かで美味しそうだ。
・・・・・・美味い。
次々と運ばれてくる料理。さすがは王宮晩餐会、凄い豪華だ。
食事は進んで行き、後はデザートだけとなった。
取り敢えず、今の所コレといった失敗は無い。食事の合間に交わす言葉も、大したものでもない。あくまで食事を楽しむ為の晩餐会だったようだ。
「さて、後はデザートだな。ルド殿、如何でしたか宮廷料理人の腕前は?」
「とても素晴らしく、とても美味かったです。殿下」
「むう」
名前で呼ばなかったからか、殿下はちょっと拗ねて、少し頬を膨らませた。
いやいや、こんな所で名前で呼ぼうものなら、どんな誤解を招くか。殿下には悪いですが、触らぬ神に祟りなしだ。
「所で、ルド殿の今後の予定は?」
レイザール公爵が、唐突に聞いてくる。
今後の予定?
「レイザール公爵、今後の予定とは?」
「いや何、今度はどんな偉業を成すのかと思ってな」
偉業って、別に今までもたいした事したないよ!
「その話には、妾も興味があるぞ!」
「んあぁ? ルドは何かすんのか?」
「何か凄い依頼でも受けてるのか?」
みんな、ワクワクしながらこちらに視線を向けてくる。
うーむ、どう答えるべきか? そもそも、別に依頼はないしなぁ〜。いっその事、引退の話をしてまうか。
「そうですね。取り敢えず、今年いっぱいで冒険者は辞めようかと」
「「「「「「「へっ?」」」」」」」
「「「「「「「何だってぇぇぇぇぇーーー」」」」」」」
思った以上の反応だな。
「ル、ル、ルド殿! 本気か? 本気なのか?」
「はい殿下」
「おい、ルド! 本気で辞めんのかあぁ?」
「あー、辞める。本気だぞ、おやっさん」
「ルド殿、さすがに早すぎるのでは?」
「いえいえ、年齢で言えば遅いくらいですよ。なっ、マリーダ」
「ん? あ、あぁ。確かに冒険者の引退時期は大体三十前半だな。だけど、四十でもやってる奴はいる訳だし」
「そうですぅ。ルドさんの引退は早すぎですぅ」
「そうだぜ、まだ早いってルドさん!」
うーむ、確かに四十でやって奴もいるけど、その人達って精々Dランクの依頼だろ? 俺の依頼・・・・AとかS何だけど? さすがにキツイよ。
「さすがにキツくなって来たので・・・・それに、後輩も育って来た事ですし、身を引く時期かと・・・・」
「「「「「「・・・・・・・・」」」」」」
部屋が静まり返った。みんな口を閉し、重い沈黙が流れる。
「ルド殿がそう決めたのなら、仕方ない。妾としては残念だが・・・・」
「宜しいのですか、殿下? ルド殿ほどの御人が引退となると、色々と問題がでるのでは? ルド殿でなければ解決できない依頼もありましょう」
レイザール公爵は反対派かな? 俺以外にもSランクはいる訳だし、そっちで何とかして欲しい。
「確かにそうだが、ルド殿に頼りすぎの現状は問題であろう。ルド殿がいなくなったら、何も出来ないではな。
それに、ルド殿の言う通り王国は今、史上最も多くのSランクが在籍しているのだ。大丈夫であろう。妾としては残念であるがな」
「殿下・・・・」
「俺も殿下に賛成だな。ルドとは二十年来の仲だが、コイツは働き過ぎだ。そろそろ、ゆっくりしてもいいだろ」
「将軍まで・・」
おやっさん・・・・たまにはいい事言うな。ほんとたまに
だけど・・・・。
「ハァ、分かりました。みなさんがそう言うのであれば私はもう何もいいません」
殿下に将軍が反対しないとなると、さすがに分が悪いレイザール公爵が引いた。いや、そもそも、引退するかどうかって俺が決める事なのにな。
「それでルドは辞めてどうすんだ?」
俺の左横に座るマリーダが聞いてきた。
辞めた後? そんなの決まってる!
「田舎に帰るよ。農業しながらのんびり暮らすさ」
『ガシャン』と何か割れる音がした。音のした方を見ると、殿下が、デザートと一緒に運ばれてきた紅茶の入ったティーカップを落としていた。
「なっ、な、お、王都を離れるのか?」
カタカタと震える殿下が聞いてくる。? 何で震えてるんだろうか? 王都を離れる?
田舎に帰る訳だからそりゃな?
「えぇ、まあ、そうなりますね」
「反対だ!」
「へっ?」
「ルド殿の引退は反対だ! 妾は反対する!」
「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇーーーーー!!」
えっ、何で? さっきまで引退する事に賛成してだじゃん! 何でぇぇぇぇ?
忘れてはならない。オッサンは鈍いのだ。
「あの殿下・・・・」
「ダメだ。反対は反対だ!!」
殿下はプイッと顔を背け、頬を膨らませていた。
かわいい。いや、そうじゃなくて! ちょっと殿下! 殿下が反対するなんて言っちゃダメだよ! 権力ある人が言ったら、シャレにならんよ! ちょっと、おい、リサーナ!
リサーナの方を見ると、口を手で押さえて笑いを堪えていた。何してんねん。(チラ)エバンさんはエバンさんで、頭を抱えているし・・。
あう、コレはどうすればいいのか!!
頭を抱えて、叫びそうになったその時だった。扉が急に開いたのだ。
「「「「「「!!!」」」」」」
「楽しんでる所すまんのぉ〜クシャーナ。失礼するぞ」
「父上! どうされたのですか」
父上? えっ、殿下の父上? えっ、って事は、国王陛下あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーー!!!!
突如、とんでもない人が乱入してきた。
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