妖精との旅路 ヴィルム海底洞窟編 その3
休憩を終え、ランプ片手に洞窟を進む。光り石の鉱脈を抜けたので、辺りはまた真っ暗になっていた。
「さてと・・・・ここからがある意味本番なんだが・・・・」
オッサンはそう言うと、持っているランプの光りで、洞窟内を照らしながら呟く。
「ほえ、枝別れしてるのです? どっち行くのですか、ルド様?」
「・・・・えーと確かこっちだったと思う」
エリエルの質問に、オッサンは自信なさげに答えた。
「だだだだ、大丈夫なのです?」
「あぁーーうん。大丈夫だ」とオッサンは、三つに枝別れした洞窟の一番右を選んだ。
「本当にあってるです?」
「心配するな、エリエル。俺は何度も来てるからな」
「だったら大丈夫なのです。迷わないのです」
ヴィルム海底洞窟最下層、そこは・・・・いくつにも洞窟が枝分かれした、地下迷宮となっている。
「実はな、初めて来た時は、三日も彷徨ってな・・・・」
「だだだだだ、大丈夫なのです?!」
「あははは。平気平気。さっき言っただろう。大丈夫だって」
「でもなのです」と、不安そうにエリエルはポケットから顔を出す。しかしオッサンは「大丈夫大丈夫」と笑いながら答えるだけだった。
暗い洞窟を進んで行くと。また洞窟が枝分かれしていた。それをオッサンは左に進み、次は右、そのまた次は左と進む。正直、かなり適当に進んでいるように見えて、エリエルはとても心配だった。
「エリエルがしっかりしないと」何て、エリエルが思い始めた時、
オッサンが足を止めた。
「うし、着いた」
ピョコンと顔を出して、エリエルは何処に着いたんだ? 辺りを見渡した。するとそこは・・・・灯りに照らされて現れたの物は!
「ん? 洞窟なのです」
「そうだな洞窟だ」
「むー! ルド様! しっかりして下さいなのです!」と、エリエルは頬を膨らませて怒る。
「しっかりしてるよ。エリエル。変だと思わないか?」
「変なのです? んーーー、特に変ではないのです」
エリエルの言う通り、特に変わったようには見えない横穴。
海底洞窟の迷宮には、いくらてもありそうな場所だ。
「そうか? ここに入れば分かるぞ。ほら」
「ほえ?」
オッサンが数メートル進むと。左右横の洞窟に、また横穴が。
「うんん?」
「更に進むぞ?」
「はいなのです」
その横穴に、オッサンは更に足を進める。するとまた、同じ構造の洞窟が現れる。それを見て、エリエルが何か気づいた。
「この穴・・・・もしかして、洞窟の迷宮を貫いてるです?」
「よく分かったな、正解だ。最初来た時迷ってな。だから、手っ取り早く壁に穴を開けた」
「うおー! さすがルド様。・・・・でも、危ないのです」
洞窟に穴を開ける。それも海底洞窟に。崩れないのかとエリエルは心配そうに上を見た。
「大丈夫だ。この辺りの岩盤は、かなり頑丈だから。このくらいならビクともしない」
「本当に、本当なのです? 落ちてこないのです? ペシャンコになったり・・・・」
「大丈夫だ。実際、今まで崩れた事ないし」
オッサンは「大丈夫、大丈夫」とエリエルに言い聞かせ、真っ直ぐに貫いた穴を、ひたすら歩いて行く。
オッサンの言う通り、この辺りの岩盤は頑丈ではある。
しかし、崩れずにすんでいるのは、別な理由によるものだったりもする。
「おし、この先に出れば迷路へ終わりだ」
「やったのです! ・・・・ほへぇーー! 広い場所に出たのです」
「ん? ここは・・・・変だな?」
「どうしたのですルド様?」
「いや、なんだ。こんな場所・・・・前来た時は無かったんだが」
「ふえ?」
「それに何だ? ここはやけに魔力が濃い・・・・」
『ドガァーーーーーーーーーン!!!』
「ななななな、なんなのですーーー!!」
成る程、そう言う事か。
突然、地面が割れ、巨大な魔物が現れた。
「ダンジョン化してやがったか」
「ルド様ーー!!」
まったく、先を急いでるってのに。
赤い六つの目が、こちらをギャロっと睨みつける。かなり大きな魔物で、体高が10メートルはあろうかという大きさだ。その出立ちは禍々しく、四本の大きな角に、トゲトゲの尾。鋭い爪に、何でも食らいそうな口に、ノコギリ状の牙。
その姿にオッサンは・・・・「うーーん、見た事ない魔物だな。まあいいや。さっさと終わらせる」
『グゴォォォォォ!!!』
「ルドひゃまーーーー!!!」
オッサン対謎の魔物の闘いが始まろうとしていた。




