通りすがりのオッサンは頼まれる その2
「それで、一体何が起きたんだ?」
取り敢えず、妖精のエリエルに事情を聞いた。エリエルは、オッサンの手の平の上にちょこんと座り。事情を語り始めた。
「はい。つい十日程前のことです。突然、ゴーストが大量に森に現れたんです」
「原因は?」
「分かりません。兎に角、私は助けを呼ぶ為に・・・・」
「飛んでたら、俺に出逢ったと」
「はい」
「ん? そもそも、誰に助けを乞うつもりだったんだ?」
「エルフです。ここから少し行った所に里があるんです」
「へぇー、こんな所にねぇー」
長く冒険者をしていれば、エルフの知り合いは多い。エルフの里にも行った事はある。ただ、何度か通ったこの山に、エルフの里があったなんて・・。隠れてたのかな? まあ、いいか。
それより・・・・「それでどうする?」
「どうするとは?」
「エルフの所に行くのかって事だ。一応、知らせた方はいいだろうが・・・・」
「ルド様、私も知らせた方がいいと思います。エルフの村には、知り合いもおります。危険が迫っている事を知らせたいです!」
「よし、なら早速行こう」
「はい!」
*****
ほへー、光っとるなー。
暗い森の中を、エリエルに案内されながら進む。普通なら、暗くて方向感覚が狂いそうになるが。オッサンはものともしない。それに・・・・エリエルがポワッと光っているので、懐中電灯の代わりになっていた。因みに、光りはつけたり消したり出来るとの事だ。
本当に懐中電灯だな。
「そう言えばルド様」
「ん? 何だエリエル」
「先程のあれは、どうやったのですか?」
「ん? さっきのって・・・・これか?」
手を叩くジェスチャーをすると「はい、それです!」とエリエルも真似する。
「前に、そういうのが専門の人に、教えてもらった事があってな。
これも見様見真似なんだが」
「へぇー、凄いですルド様」
「いや、凄いのは教えてくれた人だけどな。それに、あのゴーストは、まだ悪霊化してなかったから、それ程じゃ無かったし」
「へぇー、やっぱりルド様は凄いです」
「褒めても何も出ないぞ。クッキー食べるか?」
「はい!」
取り出したクッキーを、エリエルは両手に持って食べ始める。
それも、オッサンの頭の上で。
「エリエル、どっちだ?」
「えーと、このブナの木を右です」
「分かった」
・・・・・・つけられてる・・よな? ・・・・たいしたもんだ。気配の消し方も上手い。まるで、闇に溶け込んでいるようだ。
数分前からつけられていた。と言っても、恐らくとしか言えない。完璧に気配を立ったいるからだ。なら、何故オッサンは分かるのか。・・・・野生の勘? 或いは・・・・化け物だからなのか?
「そろそろです。・・・・着きました!」
「着いたって・・・・何も無いぞ? エリエル・・・・道に迷っ・・・・? 魔法か? 隠蔽の・・・・おわっ!」
森に仕掛けられた魔法を、暴こうとしたその時。突然、矢の雨がオッサンを襲った。
「エリエル、しっかり捕まってろよ! おっと、ほいっと、あらよっと」
オッサンは矢の雨を、簡単に躱す。エリエルは「ひゃあーーー」
と叫びながら、オッサンの頭にしがみついていた。全ての矢を躱し終えると、オッサンは暗い森に向かって「おい、危ねぇだろうが!」と叫んだら。暗い森の中に、オッサンの怒号が響き渡る。そんな中。エリエルは、オッサンの頭の上で目を回していた。
「動くな人間。抵抗するなら命は無いと思え!」
「おっ、出て来たな」
オッサンの前に、顔を隠してた者が現れる。矢をいつでも射れるように、オッサンに向けて構えていた。
間違い無い。エルフだ。
どうしてそう断言出来るかと言うと。エルフの特徴、とんがりお耳が見えたからだ。
「見事なスニーキング・・・・追跡術だったよ。俺でも半信半疑だった」
「・・・・それはどうも。後、喋っていいとは言って無いわよ人間。
答えなさい、何しに来たの?」
「あぁ、それはな「ユミア!」
「えっ? エリエル? 何でここに?」
エリエルはユミアの顔に突進して抱きついた。
「ユミア! この方は悪い人では無いのです!」
「えっ、一体どう言う事なの?」
それはこっちが聞きたいよ。俺はそもそも、ただの通りすがりだったんだぞ。それと、さっさと弓を降ろせよ。危ねぇだろうが。
はあー、間に合うだろうか?




