表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

47/66

通りすがりのオッサンは頼まれる。その1


「えっほ、えっほ、えっほ」


 オッサンは走っていた。風のような速さで。走り始めてから、かれこれ三時間は経過していた。しかし、特に休む事もなく走っていた。


 ふう。えーとあの山が見えるって事だから・・・・百キロは軽く走ったかな?


 目印のとんがり山を見ながら。今この辺りかなと、頭の中の地図で確認する。目指す公国まで、行程の十分の一にも達してない。


「もうちょいペースをあげるか」


 オッサンのフルマラソンは、以上の速さ。百メートルを世界記録よりも速く駆け抜けるほどだった。

 

「えっほ、えっほ、えっほ」


 それにしても、さすがに走ってだと大変だな。兎に角、日暮れまでに出来るだけ進もう!


「えっほ、えっほ、えっほ」


 *****


「ふう、今日はここで寝泊まりするか」


 山奥の大木の根本で、キャンプを始めるオッサン。森の中は真っ暗で、焚き火の明かりのみが、辺りを照らしいた。


「さて、メシの準備をするか」


 焚き火の火を使って、簡単な夕食作りを開始する。マジックバックから、ベーコンとソーセージを串に刺し。焚き火の近くに置き、じっくりと火を通す。後はパンと果物、酒はやめておくかな。いつも通りの旅。オッサンにとっては、慣れたものだ。


 しかし、それは突然起きた。問題が発生したのは、夕食を食べた後。デザートにリンゴを齧っていた時だった。


「もし、もし」


「ん? 今声がしたような・・・・気の所為か」


「もし! もし!」


「うおっ、またか。でも・・・・誰も居無いよな? ゴーストか? それとも幻術の類いとかか?」


「もし! もし! こちらでございます!」


「ん? 真上から声が・・・・うわっ! えっ、ピクシー?!」


 オッサンの頭上に、パタパタと飛ぶピクシー、妖精がいた。


「旅のお方! 助けて欲しいのです!」


「妖精・・・・」こっちに転生してからと言うもの、色んな凄いものを見たが、妖精は初めてだ。


「あの、どうかしましたか?」


「いえ、妖精を見たのは初めてなもので・・・・」


「そうですか・・。旅のお方、助けて欲しいのです」


「助け?」


「はい」


 妖精に助けを求められるとは・・・・何て言うか、ファンタジーって感じだな。


「それで君は俺にどうして欲しいんだ?」


「はい、それは・・・・」


「ん?! 何だ、何か来る!」


 オッサンは、妙な気配を感じとる。音も無く、森は静けさを保っている。しかし、何かが近づいて来ているのは確かだった。


 妙な気配だな。この気配が、妖精が助けを求める原因か?


「来ます。恐ろしい者が!」


 妖精は怯えて、オッサン後ろに隠れてしまう。


「コイツは・・・・ゴーストじゃねぇーか!」


 オッサンの目の前に現れたのは、数十体を超えるゴーストの群れだった。


「な、なんだこの数? おいおい!」


「旅のお方! どうにかして下さい!」


「どうにかって・・・・まあ、俺に出来る事は一つだけなんだが」


「出来るなら、ちゃっちゃとやって下さい!」


「そんじゃあ、ほいっと!」『パーーーーーン』


「「「「「「ほへぇーーー」」」」」」


 オッサンが手を叩くと、ゴーストが一斉に空に飛んでいく。

 ある者は叫び。またある者は喜び。またまたある者は恍惚の表情を浮かべながら。天へと昇っていった。


「な、何をなされたのです?!」


「えっ? 成仏させただけだが? まあ、強制的に・・・・」


 妖精は「信じられない」と目を点にして驚いていた。小さいから本当に点だが。さらに、俺の周囲を飛び回り、ジロジロと俺を見て来た。そして、確認が終わったのか。「この方ならきっと」と呟いた。


「あの! お名前を伺ってもよろしいですか?」


「あぁ、いいけど・・・・その前にいいか?」


「はい、何でしょうか?」

「君の名前は?」


「これは失礼しました。私はこの森に住む妖精、エリエルと申します」


「俺はルド、ルド・ロー・アスだ。冒険者をしている」


「ルド・ロー・アス様ですね」


「ルドでいいよ」


「では、ルド様! お願いでございます! 妖精の隠れ里、アーナンを! そして、大精霊様をお救い下さい!」


 ・・・急いでる時にコレかよ。でもまあ、仕方ないか。こんなチッコイ子が、助けを求めてる訳だし。・・・・よし、やったろうやないか!


「うん。いいよ」


「あ、ありがとうございます! さあ、こちらへ!」


「おう」


 男気のあるオッサンは、基本、困った人のお願いを断らない・・・・いや、断れないのである。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ