表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

4/66

オッサンと戦姫

 たまの休みなので、ソファーでゴロゴロしてたが、ニ時間程で飽きてしまった。


「あぁーーーーーー、・・・・暇だな」


 あっ、あそこの天井部分、木目が人の顔みたい・・・・・・何やってんだ俺?


・・・・・・・働き過ぎた弊害かな? 暇だと落ちつかない。


「んーーー、んーーー」


 ソファーのクッションに顔を埋めて、思いっきり叫んでみた・・・・特に意味は無い。


「剣の手入れでもするか」そう呟くと、クッションを放り投げ、ソファから立ち上がった。


 武具関連は、一部屋まるごとを専用の部屋にしていて、俺のコレクションが納められている。


 少なくとも、四カ国を旅してきた。剣は国によって形や用途が違う。別に収集癖は無いのだが、魔物や状況に対応すべく、武具がどんどん増えていった。その結果、部屋一つを占領するまでになった。


「えーと、手入れ道具の入ったバッグは・・・・コレだな・・よいしょっと、後は・・・・昨日使ったコイツだな」


 立て掛けてあった大剣をヒョイと持ち上げ、手入れ道具が入ったバックを肩にかけ、テラスに向かった。


 椅子に腰掛け、丸テーブルにバッグを置いて、剣を両手で持って太陽の光りに照らして確認する。


 刃が欠けてないか? 錆は? 金属疲労で割れが発生してないかなど、入念におこなう。


「大丈夫そうだな。それにしても、コイツとの付き合いもだいぶ長いな」


 もっとも長く愛用しているこの大剣、鍛冶屋のドワーフのおっちゃんに、頼みこんで作ってもらった逸品だ。少量のミスリルと、アダマンタイトを含ませた特注品。この剣を作るのに、貯めてお金の大半を注ぎ込んだ。


 あの後、暫く食を切り詰めたっけなぁ〜。受けるクエストも、危険度の高い高報酬のものを受けたっけ。


 そう言えば? あの辺りからだったか、仕事の依頼が増えだしたのって?


 ・・・・もしかして、この剣を作ったが為に、俺は奴隷のように働いていたのか? いや結局、依頼を受けたの俺だしなぁ・・・・。 


 そもそも、来る仕事の殆どが貴族やお偉いさんばっかりってどうなの? 断れないものばかりだったよね。・・・・やっぱ引退しようかな。


 オッサンは自問自答しながらも、剣の手入れを続けていた。


 そんな時『ドンドンドンドン』とドアを叩く音がした。


 ・・・・まさか・・いやいやいやいや・・・・もしかして、そのまさか?



『ドンドンドンドン』


「ルド殿ー! ルド殿ー! 居りませぬかー!」


 この声は! ・・・・誰だ? 


 エバンさんじゃないよな? 女性の声だし。


「ハイハイ、居りますよー」


 玄関に小走りで向かい、扉を開けるとそこには・・・・銀色の鎧を見に纏った女性騎士が一人立っていた。更にその後ろでは、二十人程の女性騎士が馬車を囲み警護しているようだった。


「またこれか・・・・」


「貴殿がルド殿ですか?」


「えーと、そうですけど」


 今度は何だ? もしかして・・・・断った事を殿下が怒って

「断るとは何様だ!! 極刑に処す!!」とかだったりして・・・・まさかな。


「少々お待ち下さい」そう言うと、女性騎士は馬車に走っていった。馬車のドアの前で止まり、何か話している。どうやら、馬車の中の人と話しているみたいだ。


 ん? おっ、話が終わったか? 女性騎士が右手を挙げた。すると、他の女性騎士達がいっせいに動きだす。


 陣形を変えた? あっ、誰か出て来た。あれは・・・・エバンさん? ん? まだ出てくる。


あれ? あの女性は・・・・美人だな。あっ エバンさんが畏まってる。エバンさんより偉い人? 女性騎士の護衛に、エバンさんより偉いってまさか・・・・・殿下?


 そう、馬車から出て来たのは紛う事なき戦姫こと、

クシャーナ・ネイノーク・イスルカ殿下だった。


 あっ、こっち来た。正直、何を言われるのか・・・・ちょっと緊張して来たな。それにしても美人だなぁ。


「久方ぶりだな、ルド・ロー・アス殿」


「えっ? 久方ぶり?」


「もしやお忘れですか? 十年前、ヨウドの森で起きたモンスターパレードを鎮圧した際の祝勝パーティーでお会いしました」

 

「パーティーで? んーと、えーと」


「本当にお忘れで?」


 うっ、この顔で涙目、上目遣いは破壊力ありすぎ!


「姫様、仕方ありませんよ。当時はまだ八つでしたし」


「うー、しかしリサーナ。いや、そうか、そうだな。確かに小さかったからな」


 うっ、何か罪悪感が・・・・でも覚えてな・・・・ヨウドの森?


「あっ、確かおやっさ、いえボルナーク将軍の主催パーティー?・・・・もしかして、将軍の横にいた女の子?」


「思い出したか! そうだ、あの時王族として皆を労う為に参加したのだ! 思いだしてくれたか!」


 凄い嬉しそうな笑顔だな。それにしても・・・・なんと見事な。俺の目の前には、嬉しいのかぴょんぴょん跳ねる殿下の見事な胸が・・・・上下に揺れていた。


「姫様、はしたないですよ」


「姫殿下、良かったですな」


「うむ!!」


 あの殿下、そんなに胸を張らないで。殿下の胸が強調されて、凄い事になってるから! 心を無に、心を無にするんだ俺!


「あの、それでどういった御用で?」


「あぁ、エバンから話を聞いてな・・・・本当にすまない」


「あ、あの殿下? 頭をあげて下さい」


「しかし、あの様な者を・・・・あ奴は厳しく罰するから許して欲しい。本当にすまない」


「別に殿下の所為ではありません。それに、もう終わった事ですし」


「ルド殿がそう言うなら・・・・」


 ハァ、王族に頭下げられるって、生きた心地しないなぁ。

それに、前屈みになると胸が・・・・無心になれ! 無心になるのだ! 俺!


「では、これでこの話は終わりって事で・・・・」


「うむ、では次の話を」


 えっ、まだあるの?



「謝罪とお詫びの意味を込めて、今日の晩餐会に是非来てくれ!」


 結局こうなるか・・・・。


「是非、来てくれルド殿!」


 ハァ、こうなるんだ。


「殿下、ルド殿は既に晩餐会には不参加と・・・・」


 おっ、エバンさんよく言った!


「だが、ルド殿にお詫びをせねば、王家の恥となるではないか」


「確かにそうですが・・・・」


 おい、負けるなエバンさん!


「姫様、そんな無理を言っては、ルド殿がお困りになりますよ」


「私は別にルド殿を困らせるつもりは・・・・」


「上位の存在である姫様が、直接来てくれと言われては、言われた方は困りますよ」


「なっ、そうなのか? ルド殿! すまん。またしても失礼を」


「いえいえ、お気になさらず」


 ナイス! ナイスだ女性騎士の・・・・リサーナさん?

よし、これで晩餐会は回避できる。


「ところで、ルド殿は何故不参加なのです」


「へっ?」


 おいこら! 何で急にこっちに振るんだ。えーと、どうしよう。単に行きたくないじゃ駄目だよな。


「えーと、晩餐会に着ていく物も無いですし、いきなり呼ばれても・・・・マナーなど、どうすればいいのか分からないですし」


「何だそんな事か、服はこちらで用意しよう。それと、マナーは気にしないでくれ、参加者の多くは軍関係者だからな。ルド殿と同じ冒険者も、何名か参加するぞ」


「・・・・・・・・」


「ルド殿、姫様もこう仰ってますから参加されては」


「そうですね、殿下がここまで仰ってる訳ですし。ルド殿是非ご参加を」


 逃げ道が塞がれて行く。これ断るの無理だな。


「ルド殿・・・・」


 あう、殿下! その顔禁止!・・・・・・・・あぁぁぁもうー、出りゃいいんだろ! 出れば!!


「ハァ、分かりました。参加しますよ」


「おぉ、来てくれるかルド殿!! 姫殿下、良かったですね」


「うむ、ではルド殿、午後の六の鐘が鳴るまでに城に来てくれ」


「ルド殿、こちらを」


 リサーナさんが、クルっと巻かれた紙を手渡してきた。


「これは?」


「晩餐会の招待状です。本来ならこちらが先に来るのですが、ルド殿は急遽参加する事になったのでこちらを」


 いや、別に行きたい訳じゃないからね。断れるものなら断ってるよ。仕方ないなぁ、みたいな雰囲気ださないでもらえる?


「では、ルド殿。城で待ってるいるぞ」そう言って殿下は帰っていった。



 晩餐会に出る前に、どっと疲れた。

  


 ハァ、行きたくないなぁ。オッサンは心からそう思った。




誤字などがありましたらご報告ください。

少しでも面白いと思ったら☆を下さい。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ