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ダイエットとダンス

 私、ヒロインであるローズマリー・ヒューバート様のライバルとして相応しい令嬢となるために、まず、このパンパン、まるまるの顔とウエストをどうにかせねばと思い、ダイエットをすることにしましたが・・・。


「キャス!また食べてるじゃないか!」

 前世でダイエットは周りに宣言した方が目標を達成しやすいと聞いていたので、当然、家族にダイエット宣言しました。

 なので、うっかりおやつを食べ過ぎると、リバーからの雷が落ちます。

「で、でも、新作のかぼちゃプリンが・・・美味し過ぎて、ど、どうしても・・・もう1個・・・」

 と、私が言い訳がましく言いますと、リバーは目を吊り上げて、

「明日のおやつは抜き!」

「えっ!」

「それから、今月までに、3キロ痩せることが目標だったよね?達成出来てなかったら、これから、ずーっと、おやつ抜きにするから」

「ええっ!」

 おやつは私の生き甲斐なのに・・・。

「キャスが決めたんだろう。誰も痩せろなんて言ってないのに、自分が痩せると言ったんだろう?」

「そ、そうです・・・」

「キャスは好きなことは頑張るけど、嫌いなこと、苦手なことにはすぐ背を向けるよね。諦めることも早いし、自分に甘いんだよね。そんなんじゃ、学園に入ったら、苦労するよ。僕も自分のことで手一杯になるし、寮に入るんだから、ずっと、一緒にはいられないんだからね。もう何でも助けてやるわけにはいかないんだよ。せめて、自分でやろうと決めたことくらいやり遂げないとダメなんじゃない?・・・僕が言ってること間違ってる?」

「・・・間違ってません・・・すみません・・・」

 と、私は頭を下げました。

 リバーは溜め息をついて、

「・・・僕は皆が知らないところで、今までキャスには厳しくして来たのに。もっと、厳しくしろなんて・・・ストレスが溜まるよ。全く」

「?リバー、どうしたの?」

 と、私が顔を上げますと、リバーは外を指差して、

「池の掃除をして来なよ。あれも体を使うんだから」

「そうね!頑張って来る!」

 私はいそいそと庭へと向かいました。

 リバーはまた溜め息を付くと、

「庭中、池だらけにしたら、痩せるかもな・・・」

 ひぇー!


 

「ぎゃああああっ!」


 月末が来て・・・私、体重計に乗りました。ですが、目標のマイナス3キロには届きませんでした。

 私が体重計に乗ったまま、固まっていると・・・。

「キャス・・・」

 リバーが何とも言えない顔で私を見てました。

「リバー・・・ごめんなさい・・・」

「明日からまた頑張ろう」

 リバーは私の頭をなでなでして、「明日からおやつは僕と半分こにしよう。全部食べなければいいんだよ」

「リバー・・・」

 こんなダメな姉に何て優しいのでしょう。でも・・・「いいのよ。私が全部悪いんだから。目標体重になるまで、おやつはやめるわ」

 すると、母、マリアンナが現れて、

「おやつは食べなさい。二人ともちゃんとね」

「「え?」」

 私とリバーが意外な言葉に唖然としていると・・・。

「二人ともダンスの練習を始めましょう」

 母はにっこり笑いました。


「「ダンス?!」」

「貴族にダンスは必須でしょう。社交界デビューまで2年しかないわ!」

「いや、2年も・・・」

 と、リバーが言いかけると、母は鼻で笑って、

「二人とも、音楽的才能は皆無よ!リズム感があるのかも疑わしいわ!いいえ!あるはずがないわ!!」

 と、言い放ちました。

「「ー・・・!」」

 私だけでなく、リバーも衝撃を受けました!今までそんなことを考えてもみませんでした!

「あなたたちに早過ぎると言うことはないわ。恥をかきたくなければ、一生懸命やりなさい!」

「「はいっ!」」

 私たちが元気良く返事しますと、母は満足げに頷きました。


 そして、母は私の前に来て、

「はい。キャスはこれを持って、外に行ってね」

 母から渡されたのは水筒でした。

「?」

 何故、外に行くんですか?それから、ダンスに水筒って、必要ですか?と、私が思っていると、

「玄関に白い靴を置いてあるから、それを履いて、屋敷周りを走ってなさい」

「は、走る・・・」

 牛乳よりも苦手です!

「あなたの体力のなさは異常です!」

 母は私を指差して、「そんなんじゃ、1曲踊るのも無理!走って、走って、走りまくって、体力をつけなさい!」

「は、はい・・・」

「走ることが無理になっても、立ち止まったり、座ったりしないこと。歩いてなさい」

「そ、そんな・・・」

「あなたは体力がない以前に根性がないのよ。厳しい社交界を生き抜くには根性も必要です!さあ、行きなさい!水筒には水が入っているから、きちんと水分補給をすること!いいわね!」

「ふぁい・・・」

 と、私が震えながら、そう答えると、母はリバーそっくりに目を吊り上げて、

「返事ははいっ!」

「はいっ!!」

 私は慌てて、部屋から出て行きました。


 体力をつける為に、走らされる公爵令嬢なんて私くらいですね。トホホ。



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