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キャス、王子様と友達になる。その3

 翌日、朝食前に、レオンハルト殿下が自分の正体を母とリバーに話しました。

 元々『レオナード君』に疑いを持っていたリバーは少し驚いたくらいでしたが、母、マリアンナは私が血だらけになっていた時より驚いて、腰を抜かしてしまいました。お母様はちょっと大袈裟な人なのです。


 それから、朝食となり、

「カーライル。私は誰とも婚約しないことにしたぞ」

 と、レオ様が言いました。

 父、アンドレアスはさほど驚きもせず、

「そうですか」

「キャスが最後の5人目だが、前の4人はつまらん娘たちだった。キャスは面白いが、これが将来の妻となると・・・ちょっとな」

 レオ様は笑い出しました。

 むぅ。失礼です。


「いやあ、実に残念です。レオンハルト殿下がカサンドラを見初めてくだされば、こんなに素晴らしいことはなかったのですが」

 父は明らかに棒読みです。・・・どうしてですか?

 レオ様は眉をしかめて、

「思ってもないことを言うな。キャスが婚約者候補になることを最後まで反対していたことは知ってるんだぞ」

「いえ、それは、私もレオンハルト殿下とカサンドラでは合わないと思ってましたので。それに王族の一員になるにはカサンドラでは少々荷が重いと思いますので」

 ですよねー。私に甘い父もさすがに王子様の妻にはオススメ出来ませんよね。

 ところが、父は私を見て、にっこり笑うと、

「キャスは一生お嫁さんになんかならなくていいんだよー」

 ・・・そういうことですか。


「レオンハルト殿下。よろしいでしょうか」

 と、リバーが切り出します。

「ああ。いいぞ」

「失礼ながら、婚約者を決めないとはこれまでの慣例を破ることになりますが、よろしいのですか?」

「うむ。兄上とは将来こういう慣例は無くしていこうと話をしている」

「ですが、ジャスティン殿下は今までのように・・・」

「兄上はサラ嬢のことがそもそも好きだったのだ。しかし、サラ嬢の前となると素直になれず、そっけないくらいで、告白なんて出来ないものだから、今までの慣例に頼ったのだ。さっさと告白でも何でもすれば面倒な会議もせずに済んだものを。それで結局、私まで押し切られる形でこうやって、婚約者候補に会いに行く羽目になった」

「・・・」

 ジャスティン殿下・・・良いです!好きな人の前では素直になれないって!そっけないって!ツンデレですか?!萌えます!


「お前は何をにやにやしているのだ?」

「!」

 レオ様が私を見ていました。にやにやしているところを見られたようで、恥ずかしいですが、ここはもう少し、ジャスティン殿下の話を聞きたいです!

「レオしゃま。私も少しお聞きしたいのですが・・・」

「なんだ?」

「ジャ、ジャスティン殿下はサラ様と婚約が決まって、ち、ちゃんとお気持ちをお伝えしたのでしか?」

 レオ様は肩をすくめて、

「いや。そんなにすぐ素直になれれば、苦労はしない。私が見たところサラ嬢も兄上の婚約者となったことは満更でもない様子なのだが、サラ嬢は控えめだし、やや鈍いからな。兄上が最初から自分を好きだったとは思いもしないだろう」

 くーっ!更に萌えます!すれ違い、じれじれ展開にいっちゃいますか?!

 また途中経過を聞きたいものです。


「ところで」

 レオ様と私の間を遮るように父が言いました。「いつから、『レオ様』と『キャス』になったんです?」

 レオ様はニヤリとして、

「昨日の夜、ちょっとな」

 ・・・レオ様は本当に5歳ですか?

 父は椅子を倒しながら、立ち上がると、

「キャス!レオンハルト殿下とふたりきりになってはいけないよ!リバー!しっかり見張りなさい!」

 ・・・お父様は何の心配をしているのでしょう?

「はい!」

 ・・・リバーも張り切る必要はありませんよ?



 父はレオ様に私の半径1メートル内には近付くなと失礼なことを言い残すと、今日も五大公爵の一人として、王城へと行ってしまいました。

「カーライルは親馬鹿だな」

 ミルクたっぷり、砂糖たっぷりのコーヒーを飲みながら、レオ様は言います。いっちょ前のことを言いますが、まだまだ子供です。ふっ。

「レオ様、この後、どうしましょうか?」

「うむ。図書室を見せてもらおう。昨日、少し見ただけだか、とても充実していると思ったからな。昼食の後は、誰かさんが鼻血を出したせいで、行けなくなった庭を案内してもらおう」

 ・・・一言余計ですよ。くっ。


 それから、私たちは図書室に行きましたが、一冊の本をきっかけに、レオ様とリバーが大昔・・・カルゼナール王国が『魔法大国』よりも『血に汚れた魔女の国』と呼ばれていた頃に起こった戦争について、それぞれの観点から、議論を交わしています。

 ・・・私、二人の言っていることは理解出来ますが、全く口を挟めません。『ども噛み』持ちには厳しいです。ちょっとしたぼっちになってます。


 すると、レオ様がそんな私に気付いて、

「女には興味のない話だな。つまらないだろう。悪かったな。キャス。詫びの代わりに私が何か読んでやるぞ」

 ・・・ん?本くらい読めますよ?

 私が困惑していると、レオ様はにっこり笑って、


「何なら膝に乗せてやる」


 ぎゃあっ!何の羞恥プレイですか?!




 友達になる。と、言うより、レオ様からすると、キャスは妹になってますね。


 レオ様には妹がちゃんといます。後々、出て来る予定です。




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