表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
169/216

お茶会作戦

「と、言う訳で、ローズマリー様をレオ様のご兄妹に会わせるために、お茶会を行うことになりましたー!パチパチパチー!」

 私、拍手しましたー!

「よっ!」

 ルークも拍手しましたー!


 本日、お休みですが、図書室に来ています。毎日、解放しています。相変わらず、誰もいません。

「何故、お休みの日にわざわざ?」

 と、メグが聞きました。

 私たちの拍手に苛立ったようですが、何も言いませんでした。

「普通の日はダンスの練習をしていますからね。ゆっくり話せないでしょう」

 と、ルークが言いましたので、私は頷きますと、

「ちなみに、お茶会についてですが・・・」


『場所がね。困るんだよね』

 と、リバーが言いました。

 何故なら、ダンズレイ公爵様の新居は建築中なのです!だからと言って、王城にローズマリー様が行くわけにはいきません!こちらの動きを国王陛下に知られたくありませんからね!

「そこで、私、ぴーんと来たのです!王都にあるカーライル公爵家の別宅をお茶会の会場として使えばいいと!」

 お父様は自由に出入りしていいと言ってましたからね!

「王都の中心からやや外れたところにありますからね。目立たないと思いますよ」

 ルークが補足してくれます。

「それに、公爵家のお屋敷にしてはこじんまりとしているのです。ローズマリー様も気後れしなくていいと思ったのです!いい加減、レオ様のご兄妹にお会いするので、緊張するでしょうからね!」

「なるほど」

 メグは頷いて、「キャスにしては考えたじゃない」

「ありがとうございます」

「いえいえ。それほど褒めておりませんわ」

「ええ。分かっております。それから、お茶会と言えば、シュナイダー様です!」

「はあ?」

「シュナイダーはお茶を淹れることが得意なんですよ。極秘なので、自分たちでやろうと言うことになりました」

 と、ルークがまたまた補足します。

「リバーとシュナイダー様の卒業試験として、当日使う食器やお菓子、飾るお花選びなどをローズマリー様にお任せしようと言うことになりました!あ、お茶会が行われる部屋のテーブルや椅子の配置等も全てローズマリー様の担当になります!」

「まあ、大変ね。でも、上手く皆様をおもてなし出来たら、自信になるでしょうね」

「そうでしょう?自信がつけば、レオ様を諦めないかもしれませんからね!私、シーア様から聞いたことがあるのですが、王妃様は良くお茶会を開くそうで、王妃様も茶葉から、テーブルクロスまでご自分で選ぶそうなんです。ですから、ローズマリー様も王妃様と同じ様にしていただきたいと思った次第です!」

「あら。それもキャスの考えなの?」

「はい!レオ様は幼い頃、そんな王妃様のご様子を良く見ていたそうなんですよね。同じ様にお茶会の準備をするローズマリー様を見て、王妃様の姿を思い浮かべるのではないかなと。基本、殿方は母親が好きですからね!と言うわけで、『レオ様に惚れ直してもらおう作戦inお茶会』です!」

 作戦名発表しました!そのまんまです!


「カサンドラ様・・・」

 ルークが呆れた様子で、「ローズマリー様にダンズレイ公爵様たちを会わせることと、お茶会を成功させ、自信をつけさせることが目的なのでは?」

「も、目的はいくつあってもいいでしょう」

「うーん」

 メグは唸ると、「そこまで母親好きそうには見えないけど・・・」

「え、そうですか・・・?」

「つまり、そんなに単純な方には思えないわね」

「た、確かに・・・」

 レオ様は基本ご家族の話はしませんし、母親好きなんて聞いたことありませんでした!「じゃあ、『レオ様に惚れ直してもらおう作戦inお茶会』は諦めます」

「いや、諦めなくても、お茶会が普通に成功したら、普通に惚れ直すでしょう」

「あ、そうですね!じゃあ、作戦はそのまま続行です!」

 うん!と、私が大きく頷きますと、

「貴女、お願いだから、ローズマリーさんの邪魔しないでね」

 メグは非常に不安そうです。

「はい!何もしません!食べて、飲むだけです!そして、レオ様に『こんな何もしない女に比べて、ローズマリーは何て働き者なのだろう。私が選んだだけあるな』と、思ってもらうのです!『カサンドラ、怠け者になって、ローズマリー様を引き立てましょう作戦inお茶会』です!」

 またまたそのまんまです!


「「・・・」」

 メグとルークは呆れたのか、何も言いませんでしたが、それを良しとして、

「それでメグにお願いがあるのです」

「何かしら?」

「知っている女性が私だけだとローズマリー様も心許ないと思いまして、最近、ローズマリー様を恋愛小説好きに引きずり込んだメグにも来てもらいます!」

 たまに二人で恋愛小説談議をしちゃってますからね!レオ様は胡散臭げに見てたりします!殿方には恋愛小説にはまるレディの気持ちが分からないようです!


「?!」

 メグがギョッとして、「そ、そんな面倒なお茶会なんて、私、嫌よ」

「シーア様に会えますよ?普段あまり会えないでしょう?」

「そ、そうだけど・・・」

「おまけに困難を乗り越えて、一緒になるダンズレイ公爵様とサラ姉様に会えますよ?美しいお二人を見てみたくないですか?」

「そ、それは・・・み、見たくないと言うと、嘘になるけど・・・」

 メグは揺れているようです!もう一押しです!

「更にカーライル公爵家の別宅には肖像画がたくさん飾ってるんですよ。私の祖父は父よりハンサムで、そんな祖父の肖像画ももちろんあります」

「まあ、カーライル公爵様よりハンサム?き、興味深いわね・・・」

「更に、更に!私の両親の花婿花嫁姿の絵も・・・」

 メグはがたーん!と、立ち上がりますと、

「け、花婿花嫁姿ですって?!」

「とーっても美しくて、とーっても麗しいですよー」

「私、行きます!」

 やったー!


「シュナイダー様がお茶を淹れ、給仕はリバーとルークがやります。メグは何もしなくていいですからね。サラ様やシーア様と交流しつつ、ローズマリー様の緊張を解していただけたらいいですからね。メグはあくまでお客様ですから」

 と、私が言いますと、メグがルークを見て、

「ルークが給仕ですって?大丈夫なの?」

「だ、大丈夫ですよ。自分一人だけでやるわけじゃないですし」

「リバーがいるから大丈夫ですよ。リバーの給仕する姿、素敵でしょうね。お姉ちゃん、楽しみです」

 私がにこにこしながら言いますと、メグはジロッと私を見て、

「脳内花畑は黙ってなさい」

「・・・」

 ・・・私、けして、脳内花畑ではありませんが、メグが怖いので、黙ります。はい。

 すると、

「ルーク。給仕の特訓をしておきましょうか?」

 と、メグがにっこり笑って言いました。


「ひっ」

 ルークが震え上がって、「じ、自分、用を思い出しましたので!」

 と、言いますと、逃げようとしましたが、

「待ちなさい!レオンハルト殿下やそのご兄妹の方々の前で恥をかいてもいいの?!貴方のせいで、お茶会がぶち壊しになっても知らないわよ?!」

 と、メグが言い放ちます。

「うっ」

 ルークは足を止めました。

「ちゃんと勉強しましょうね。ルーク」

「・・・はい」

 ルークは力無く頷きました。

「よろしい」

 メグも頷きますと、「まずはマナーに関する本を探して来て下さいね」

「・・・はい・・・」

 ルークは素直に本を探しに行きました。


「メグって、ただの特訓好きじゃないですか?」

 と、私がルークを見送りながら言いますと、

「確かに・・・私、目覚めたかもしれないわね」

 と、メグはにやりと笑いましたが、ハッとすると、「ルーク!その棚じゃないわよ!」

「えっ?!どうして分かるんですか?!メグさんは恋愛小説の棚しか見てないんじゃないですか?!」

 ルークの声が返って来ます。

「そんなわけないでしょう!私を何だと思ってるの!」

 と、メグは言い返しました。


 ルークはダンスの特訓に加えて、給仕の特訓までやることになりました。

 またやつれてしまうのではないでしょうか・・・。

 ですが、レオ様のためだと思って、頑張って下さいね!ルーク!



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ