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短編あれこれ

やっぱり私は聖女様……じゃなかった!

掲載日:2020/12/10

 呼び出しは、突然だった。


 見知らぬ世界に召喚され、私の周りは沢山(たくさん)の人達が取り囲むように平伏していた。 


 足元には魔法陣。

 願いが天に通じた、と彼らは涙を流しながら喜んだ。



 そして私を”聖女様”と呼んだ。



 え、え、聖女様? 私が?



「救済の聖女様を」と祈り、私が(あらわ)れたらしい。


 それから、お姫様みたいに手を引いて貰って。

 大切に(かしず)かれてお城に招かれ、歓待を受けた。


 並ぶお料理より、純白でヒラヒラの衣装に感激した。

 動くたび、幾重にも重なった布が軽やかに揺れる。

 憧れてたドレス!



 こんなの初めて!



 神聖な力を授かった感覚はまるでないけど……。



 私はすっかり嬉しくなってしまった。



 だけど。

「聖女のお仕事を」と促され、森奥の祭壇らしき場所に連れていかれたあたりから、雲行きが怪しくなった。


 私を祭壇に残すと、人々は(しお)が引くように、さっと遠のき離れて隠れた。



 何か変。

 すごく変。



 そう思った背後に、あからさまな気配を感じる。


 ――ドラゴン!!


 木々より高いドラゴンが、私を見下ろしていた。




 え……?


 そういうこと?



 この世界の聖女様は、ドラゴンに捧げられる生贄(イケニエ)だったんだ。


 能天気な私はそんなことにも気づかず、弾む乙女心のまま、チヤホヤされて浮かれ舞い上がっていた。


 こんな時、本当に聖女なら両手をかざして聖なる力でドラゴンを退(しりぞ)け……れる(はず)ない。


 所詮(しょせん)、私は偽物。

 都合の良い奇跡はない。


 広げた両手は(むな)しく、ただ静寂を招いただけ。



 ぽたり、ぽたり。


 眼前に開いた大きな口から、牙を(つた)って(ヨダレ)が落ちる。

 私を包む異臭は、ほのかに熱く。喉奥に揺れる炎がチラと(のぞ)く。


 情けないな。

 自分にガッカリだわ。


 私が聖女様だなんて、そんな美味(おい)しい話があるわけなかった。

 そうよね、だって、いろいろと無理がある。

 わかってたことじゃない。


 こんな私が、聖女様だなんて。




 夢でしかない。


 でも目の前はドラゴンは――本物だ。




 ため息の後、覚悟を決めた。



 そして、目を閉じる。


 (いさぎよ)く膝を折り……




 身体を沈み込ませて……





 ひといきに地を蹴った。



 跳躍(ちょうやく)は、軽くドラゴンの頭上を凌駕する。

 くるりと空中で回り、

 勢いのまま、かかと落としをドラゴンの頭頂部に見舞った。


 クシャリ


 (もろ)い音ともにドラゴンの頭蓋(ずがい)があっさり砕ける。


 着地と同時に竜体(ドラゴン)も崩れ落ちた。

 もう息してない。


 離れて見ていた人々が、一斉に息を呑んだのがわかった。


「ねぇ、あの聖女様、おねぇ……?」

「しっ」


 潜めた子どもの声を、高性能な耳が拾う。


 ちげーよ。元の世界じゃ勇者だわよ!

お読みいただきありがとうございます!

おかしいな? どうしてこうなったんだろう……。食べられて終わりじゃ救いがないな、と思っただけで……。

本文へテーマワードいくつか盛りが出来て良かったです。(^v^;)


「なろうラジオ大賞2」ほかにも参加しています。

【超真面目】『そのおにぎり、プレミアムにつき』https://book1.adouzi.eu.org/n3508gq/

【超真面目】『ボクは偽物だった』https://book1.adouzi.eu.org/n6432gq/

【真面目】『ドラゴン様の乳母?』https://book1.adouzi.eu.org/n3758gq/

【真面目?】『サラリーマンは勝利したい!』https://book1.adouzi.eu.org/n8340gq/


どれも1000文字と短いので、良かったらご一読ください。↓お星様の下にリンクあります。

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― 新着の感想 ―
素手(足)でドラゴンを一撃! 強いぞ、聖女っぽい勇者! 武器ではなく魔法でもなく、素手(足)なのが武闘家っぽいが。
[一言] そうだったのねー(´∀` ) なーんか途中からもしかして、心は乙女、ホントは男な人??とふと思いつつ読んだのです( *´艸`) どこで思ったんだっけ?? 最後、爽・快・感! さてさて、…
[良い点] 儚い聖女様かと思ったらまさかの、でした( *´艸`) ドラゴン倒せるなんてイケメン…!笑 読ませていただきありがとうございました(✿ᴗ͈ˬᴗ͈)⁾⁾
2024/04/22 14:56 退会済み
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