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辺境の村の英雄、四十二歳にして初めて村を出る  作者: 岡本剛也
第3章

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第239話 上に立つ者


 旧廃道から戻ってきた俺は、すぐに冒険者ギルドへと向かった。

 ギルド長へのアポはすぐに取ることができ、ギルド長室で話をさせてもらうことになった。


「グレアムさん、今回はどうしたんだ?」

「まずは、グリーの件で動いてくれて本当にありがとう。今回もギルド長には助けられた」

「礼には及ばない。グレアムさんにはそれ以上に世話になっているからな」


 本題に入る前に、改めてグリーを捜索してくれたお礼を伝えた。

 迅速に対応してくれて、本当に助かったからな。


「ギルド長から冒険者への依頼も出してくれたんだろ?」

「出したが、低ランク冒険者への依頼だからな。事件性が高いと判断したら高ランク冒険者にも依頼を出す予定だったが、結局低ランク冒険者にしか依頼を出していないし、費用的にもほとんどかかっていない」


 この辺りの判断も、長年冒険者ギルドで長を務めてきたからこそできることだと思う。

 まずは人海戦術を使い、原因を突き止め、危険性が高いと判断したら高ランク冒険者に依頼する。


 俺の場合は、全部自分一人で解決しようと思ってしまうからな。

 その辺りが、上に立つ者の思考なんだと思う。


「費用を抑えられていたなら良かったが、ギルド長の手腕のおかげだ」

「褒めすぎだ。それで、今回はなんの用でやってきたんだ? 礼を伝えに来ただけってわけではないんだろ?」


 本題を聞かれたため、俺は一度頭の中で言葉を整えてから返答した。

 説明は中々難しかったが、大まかな事柄については話してあったため、理解はしてくれるはず。


「――というわけだ。揉めかけているのもそうだが、それ以上にウィシュル王国が危ない」

「ちょっと待ってくれ。一度整理させてもらう」


 俺の話を遮らずに聞いてくれていたものの、理解に戸惑っているようでフリーズしたギルド長。

 それからしばらく思考してから、ようやく動き出した。


「えー……つまり、グレアムさんは魔物の大群を率いていて、隣国のウィシュル王国とその魔物の軍が揉めそうになっている、ということで合っているか?」

「大まかに言うなら合ってはいる。ただ、人間と対立しようとしている魔物たちではなく、逆に統治して平和にしようとしているということは分かってほしい」

「ビオダスダールは明らかに魔物による被害が減っているから、嘘ではないことは分かるが……それでも、“魔物の大群を率いている”か」


 さすがに想定外だったようで、椅子に座ったまま頭を抱えているギルド長。

 色々と面倒ごとを持ち込んでしまって申し訳ないな。


「やっぱりまずいか?」

「まずいかまずくないかで言うならまずいな。てっきりレッドワイバーンの子供の面倒を見ているだけかと思っていた」

「俺も小規模のつもりでいたんだけどな。いつの間にか規模が大きくなっていた」


 これに関してはベインが優秀すぎたという点に尽きる。

 あっという間に主がいなくなった場所を治めていったからな。


「とりあえずは今のまま待機させておいてほしい。ウィシュル王国には俺から連絡する。もしかしたら、グレアムさんにも出張ってもらうかもしれないが大丈夫か?」

「もちろんだ。この件に関しては積極的に動くつもりでいる」

「それは助かる。それじゃひとまず俺に任せてくれ――あ、ちょっと待ってくれ。俺とグレアムさんが支配下に置いている魔物は、会うことは可能なのか?」

「ああ、もちろん。ギルド長が会いたいならすぐにでも紹介する」

「今すぐにではないが、近日中に紹介してほしい。とりあえず追って連絡させてもらう」

「分かった。連絡を待っている」


 そう返事をし、俺はギルド長室を後にした。

 本当は俺のこれからの動きについても尋ねたかったが、大人しくしておいた方がいいと判断。


 モヤモヤとはしているが、ギルド長の連絡があるまでは待機しておこう。

 というわけで、俺は一度家に戻ることに決めた。


 家に入ると、既にジーニアとアオイの姿はなく、予定通りお出かけに行った様子。

 すぐに報告をしたかったところだが、帰ってきてからでいいだろう。


 問題は山積みなのに、手持ち無沙汰になっているこの気持ち悪さ。

 じっと考えていても仕方がないし、当初の予定通りルーカスの件で動くとしようか。


「ルーカス、今大丈夫か?」


 中庭でグリーたちに指導をしてくれているルーカスに声をかけた。

 指導といっても、単純な剣の腕前ならどっこいどっこいなのだが、対魔物相手の話は新鮮なようで、既にアオイよりも慕われている。


「もちろん大丈夫です。僕に何か用事でしょうか?」

「いや、そろそろ冒険者として活動したいだろうと思ってな。まずはパーティメンバー集めを一緒にしようと思っている」

「えっ? グレアムさんも一緒に動いてくださるのですか?」

「慣れていない街でのメンバー探しは大変だろうからな。ついでに色々と街を案内したいし、一緒にギルドへ行こう」


 俺がそう伝えると、ルーカスの表情はぱあっと明るくなった。

 日に日に表情の明るさが戻ってきているし、いい傾向だと思う。


「えー、ずるい! グレアム様、私も一緒に行きたい!」

「俺も行きたい。なんなら、俺が一緒のパーティに……」

「グリーたちにはまだ早い。先にデビューするとしたら、トレイシーたちだろうな」

「私たちの方が先輩なのに!」

「先輩とか後輩とか関係なく、年齢的な問題だ」


 グリーとリアを説得してから、俺はルーカスと一緒に家を出ることにした。

 ギルド長の邪魔だけはしないように、冒険者ギルドに再び向かうとしよう。



ここまでお読みいただき、誠にありがとうございます。

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