第180話 ギルド長への報告
ベインのところからビオダスダールへと戻ってきた俺は、まずギルド長に今回の件を報告することにした。
馬車で帰ってきているジーニアとアオイはもちろんまだ戻ってきていないようで、到着は明日と予想できる。
「……ん? グレアムさんか。もう戻ってきたのか?」
「ああ。ついさっき戻ってきた。ドラゴンゾンビの討伐、それからクリンガルクのギルド長とも良好な関係を築くことができたと思う」
「流石はグレアムさんだな。ドラゴンゾンビの方は特に心配していなかったが、クリンガルクのギルド長に関しては少し心配していたんだが……揉めずに済んだみたいで安心した」
「……いや、揉めずにってことではないな。武力で黙らせた上で、良好な関係を築いた――が正しい」
俺の言葉を聞いたギルド長は、かなり怪訝そうな表情へと変わった。
確かに字面だけで見ると、良好な関係を築いたというよりかは、無理やり良好に接するように脅したと思われてしまう。
あれ……? 良好な関係を築けた……よな?
「グレアムさん。それ、本当に良好な関係を築けているのか?」
「ああ、問題ない。……多分な」
自信がなくなってきたが、クリンガルクは救った訳だし、襲って来たのも向こうから。
それに最後は和解したし、良好な関係も築いていると自信を持とう。
「不安が残る言い方だが、まぁグレアムさんなら上手いことやってくれているか。それで……ドラゴンゾンビは本当に疫病の原因だったのか?」
「話によると、本当に疫病の原因だった可能性が高いみたいだ。ただ、色々と調べた感じだと、何者かが狙って疫病を流行らせたって感じではなかった」
「ほー、なるほど。自然的にドラゴンゾンビが生まれ、そのドラゴンゾンビが偶然疫病を流行らせたってことか」
「いや、何者かがドラゴンゾンビにしたが、疫病は偶然だったって感じだな。この辺りは詳しく調べてみないと分からないが、俺はドラゴンをゾンビ化させた何者かがいると確信している」
「ドラゴンをゾンビ化させた者がいるということか? もしかして王都を襲った魔王軍と関係があるのか?」
これは卵の内側に紋章が刻まれていたことからも確定した情報。
何度かベインにも接触をしてきたようだし、きっと魔王軍関連だとは思う。
ビオダスダール周辺でもきな臭い動きがある上、王都でも魔王軍が襲ってきた。
そしてクリンガルクでも何かしらの動きがあったとすると、魔王軍が方針を変えてきたのが分かる。
大軍で攻めるとなると、フーロ村を経由しないと動かせないはずだから……この辺りで一度、フーロ村の様子を見に行った方がいいかもしれない。
俺が直々に鍛えた姉妹――ナギとランがいるから心配ないとは思うけど、どんな感じなのかの話も聞きに行きたいしな。
「憶測の範疇ではあるが、俺は関係あると思っている。ギルド長の方でも調べてくれるとありがたい」
「ビオダスダール近辺は常時警戒しているが、今のところ目立った動きはないな。……が、引き続き情報を集めるつもりだ」
「よろしく頼む。あと、それから一つ報告しておくことがある」
「ん? まだ何かあったのか?」
「あったというか、先ほど起こったというか……。ドラゴンゾンビとなったレッドワイバーンの子供が先ほど生まれた」
「先ほど生まれた? すまないが言っている意味が分からない」
流石に説明不足過ぎたため、俺はギルド長にレッドワイバーンの卵を持ち帰ったこと。
その卵が孵化したことを簡潔にまとめて伝えた。
「グレアムさんなら何か考えがあって孵化させたと思うんだが、子供とはいえドラゴンがこの街の近くにいて大丈夫なのか?」
「信頼の置ける友人に預けてあるから大丈夫だ。もし暴れるようなら、被害が出る前に俺が討伐する」
「そういってくれるなら安心だが……情が湧いてしまって倒せないとかは止めてくれよ?」
「他の人に危害を加える魔物を野放しにする気はないから安心してくれ」
レッドワイバーンの子供については伝えない方が丸く収まるといえば収まるのだが、卵を持ち帰ったことをグレグは知っている訳で、グレグ経由でギルド長に伝わったら誤解や亀裂を生みかねないからな。
流石に報告することに決めた。
俺が言った“友人”についても気になっているだろうけど、ベインについて伝えるのはもう少し順を追ってからと決めている。
「分かった。約束をしてくれるのであれば、そのドラゴンの子供についてはグレアムさんに一任する。俺はグレアムさんを信頼しているからな」
「その信頼に答えられるよう、何も問題を起こさないようにする」
「ああ。よろしく頼む」
とりあえずギルド長への報告はこんなもの。
後は、グアンザがどこにいるのかだけ聞いておきたいな。
「あともう一つだけ聞かせてほしいんだが、グアンザって今どこにいるんだ? 情報をくれたお礼をしようと思ったんだが、クリンガルクにはいなかった」
「すまないが、グアンザがどこにいるかは俺も知らない。クリンガルクにいなかったのは、クリンガルクにいられないからだと思うぞ。グレアムさんも体感したと思うが、嫌われ具合いが凄まじいからな」
「なるほど。まぁ……戻ることはできないか」
「そういうことだな。様々な街を移動しながら善行をしていくという話だったし、期が来ればグアンザの方からビオダスダールに顔を見せると思うぞ」
「なら、情報のお礼はその時にさせてもらう」
「ああ、それでいいと思う。……勝手に押し付けられた形だったし、グレアムさんがお礼を言う必要ないと思うけどな」
それもそうだが、クリンガルクはグアンザの情報で救われた形ではあるからな。
本気でクリンガルクを心配していたようだし、お礼は伝えようと思う。
ということで、俺はギルド長との話を切り上げ、家に帰ることにした。
まだ帰って来られていないジーニアとアオイには申し訳ないが、先にゆっくりさせてもらうとしよう。
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