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辺境の村の英雄、四十二歳にして初めて村を出る  作者: 岡本剛也
第3章

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第179話 卵の紋章


 屋敷の広間にはベインがおり、何やら作業をしていたようだが、俺の姿を見るなり手を止めて頭を下げてきた。

 いつも大袈裟なんだけど、最近はこの対応に少し慣れてきてしまっている自分が少し怖い。


「グレアム様! わざわざお越しくださってありがとうございます! 今回はどのような用でいらっしゃったのでしょうか?」

「ベインに見てもらいたいものがあって、訪ねさせてもらった。ヨルの持っている卵についてなんだが、何か分かることはあるか?」

「おぉー。随分と大きな卵ですね。……なるほど。少し特殊な魔法がかけられています」

「魔法がかけられているのか? 魔力はいっさい感じないけどな」

「内部に紋章が描かれているため、卵が割れた瞬間に魔法が起動するようになっていると思います。ですので、割れるまでは魔力を感じることはありません」


 求めていた返答とは違ったが、どうやらこの卵の内部に紋章が描かれているらしい。

 ベインはどうやって気づいたのか分からないが、魔法に関しては俺よりも知識は深い。


 俺の場合は基本的に感覚で扱っている部分が大きいからな。

 長年の経験に加えて、種族進化したことでベインの魔法への知識は一気に深まった。

 そのベインが言っていることは基本的に信用していい。


「そんな魔法もあるのか。聞いたこともなかった」

「人間の世界では、奴隷紋として使われていることが多いようですね。何かの行動に応じて魔法が作動するようにさせるものです」

「なるほど。今回は卵が割れたら――という行動で魔法が作動する仕組みなっているのか」

「どちらかというと紋章が物理的に崩されたら――ですね。割れる卵だからこそできる紋章の使い方だと思います」


 かなり興味深いしもう少し詳しく聞きたいところだが、今すぐに割れそうな卵の前で雑談をしている余裕もないため、話を進めさせてもらおう。


「魔法も奥が深いんだな。それで、この魔法が作動するとどうなるんだ?」

「詳しくは実際に紋章を見てみないと分かりませんが、恐らく起爆するようになっていると思われます。この卵の親ごと殺すつもりだったと思いますよ」


 起爆……か。

 つまり、レッドワイバーンをドラゴンゾンビにした者は、元々ドラゴンゾンビを始末する予定だったということ。


 そのことを考えると、クリンガルクで疫病が流行ったのは意図的だったのではなく、偶然だったと考えた方がよさそうだ。

 何かしらの実験のためにドラゴンゾンビに変えただけであり、そのドラゴンゾンビがたまたま疫病をクリンガルクに流行らせた。


 元凶であるドラゴンゾンビが、俺達が討伐せずとも死んでいた可能性が非常に高いことからもそう考えるのが妥当だろう。

 犯人の形跡が残っていなかったことや、意図なんかもさっぱり分からなかったことからもしっくりくる。

 ……レッドワイバーンのゾンビ化しても子供を守るという行為を利用し、始末しようとしていたのは魔物とはいえ胸糞悪くはあるが。


「全ての合点がいった。ちなみに、もうそろそろ孵化しそうなんだが大丈夫そうか?」

「問題ありません。例え起爆しても爆発を抑え込めますし、紋章の解除もできますので。……グレアム様は助けたい等はありますか?」


 ドラゴンゾンビの気持ちを考えるなら、子供は守ってあげたい気もするけど、生まれてくるのはレッドワイバーンなんだよな。

 小さいうちはまだ大丈夫かもしれないが、親のレッドワイバーンが討伐対象になったように、生まれてきたレッドワイバーンを俺が討伐することになる可能性がある。


 そう考えると、卵の内に潰しておくのが正解なんだろうが……。

 気持ち的には子供を守ってあげたい気持ちが強くなってしまっている。


「生まれた場合は、ベインが面倒を見ることはできるか?」

「ええ。グレアム様の命令であれば、私が面倒を見ることは可能です。北の山なんかは誰もおりませんし、新たな長候補としてもアリですからね」

「なら、紋章を解除してあげてくれ。そして、生まれたレッドワイバーンはベインに任せたい」

「かしこまりました。ただし、制御が出来なかった場合は……始末してしまうかもしれません」

「ああ。それで構わない」


 ベインは俺に対して頭を下げた後、黒い卵に向かって手をかざして魔法を唱えた。

 何の魔法を唱えたか分からないが、数秒足らずで解除が終わったらしい。


「終わりました。後は生まれてくるのを待つだけですが……もう生まれそうですね」

「ああ。卵のヒビが大きくなっている」


 俺、ベイン、ヨル、アカの四人で見守っていると、卵はパキパキという音を立てて割れた。

 生まれてきたタイミング的に、ビオダスダールに寄っていたら起爆していたと考えると少しヒヤッとする。


 そんな卵から出てきたのは……小さな黒いドラゴン。

 卵が大きかったから既に体もそれなりに大きいが、よちよちと歩いていて非常に可愛らしい顔立ち。


「この魔物はレッドワイバーンなのか? 色が黒い気がするが」

「生まれてきたばかりなので、黒くてもおかしくはないと思いますが……確かにレッドワイバーンにしては黒い気がしますね」

「まぁ成長待ちってとこだな」


 歩いてきたドラゴンの子供は、俺の下までやってきて体を擦らせてきた。

 親と勘違いしているのか、その行為が非常に可愛らしい。


 思わず名前をつけたくなってしまうが、ドラゴンに名前をつけたらどうなるのか恐ろしいため、名前だけはつけないようにグッと堪える。

 それからドラゴンの子供の様子を一頻り見てから、後の世話をベイン達に任せ、俺はビオダスダールに戻ることにしたのだった。



ここまでお読み頂きありがとうございます。

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