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~三十の巻~  嘘

 屋敷に戻うた珠は、


『如何でござりました?』


と様子を尋ねてきた春野に対して、


『お世話になったお方は旅のお方で、偶々(たまたま)近くのお寺にご逗留なされてお出でで、運の良い事にまだご滞在されておられましたが、近々旅立たれるとの事でござりました。』


『この梅の実は、其の方が近隣を散策中に偶然発見された物を分けてくださりました。』


珠は自分の口から次から次へと湧き出てくる作り話に、内心驚いておった。


(私に斯様に恐ろしき一面が有ったなどと・・・。)


恐らく傍に控えておった、笹野と風矢も同じだろう。


然れど青馬様方の静かなお暮らしをお守りする為なら、其の為に必要な嘘なら、其れは正しい行いなのだと思えた。


(私は青馬様との大切な時間を失いたくない・・・。)


其の為なら、例え大切な乳母の春野を欺く事になったとしても、珠は嘘をつき通す覚悟だった。


珠の小さな体の中に、珠自身未だ其の正体が解らぬ小さな炎が灯った瞬間だった。


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