表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
30/127

別れ

ブックマーク有難うございます。

これがあるだけで励みになります!

これからも宜しくお願いします!!

無言の会話を続けて。


「樹、荷物は大丈夫か?」


頷く樹。


「それじゃ……朝のそうだな、この世界の時計で言う、4時に樹の部屋に行くよ。おやすみ」


樹の部屋を出て、俺は自分の部屋に戻る。


荷物を確認していると、俺はスタッフがない事に気付いた。


っと……そういえばあの時波で流されて、そのまま俺素手で戦ってたもんな。


遅いけど、取りに行くか。


―――――――――――


しばらく歩いて後、魔法訓練所に着く。


中は幸いにもまだ明るく、探すには楽な環境だ。


……あそこに寝てる山本がいなければ、もっと楽だったんだけどな。


っと、あったあった。ごめんな、色々有りすぎて置いていってたよ。


――――――――――――


スタッフを取って、また同じ道を戻って行く。


そして、俺の部屋の近くまで帰って来た時。


……部屋のドアの前に、雫がいた。


なんか落ち着きがないように見える。


うん、俺に何か用があるんだろうか?


近付くが全く気付く様子がない。


そのまま、肩を叩く。


「っ!」


うおっ、凄いスピードで振り向いたな。


「な、なんだ佑介か……ってなんで!」


はは、忙しいな、全く。


「ちょっと出ててな。なんかあったか?」


「い、いやその……」


ん、外では話せない事だったりするのか。


「取りあえず、部屋はいっていいぞ」


俺はドアを開いて、そう言う。


「う、うん!」


俺達は部屋へ入り、靴を脱ぎ、座る。


……これ、デジャヴってやつか?


「んで、どうした?」


「え?あの、別に何もないけど……佑介ってもうすぐ離れちゃうし、今のうちにお話したいなー、みたいな」


そわそわしながらそう言う雫。


特に用があるってわけではなかったが、俺のために話に来てくれるというのは、嬉しかった。


良い友達を持ったよ、本当に。


「そっか、ありがとな。確かに雫と話せる事は……もう、しばらく無いもんな」


だからこそ、しばらく会えないのは寂しい。


「へ?」


あ、言ってなかったか。


「すまん。明日の朝、出発する予定なんだ」


「……え?は、早くない?」


まあ、確かに早い。通達来て二日だしね。


「まあ、色々あってな……早い方が思い止まるって事も無いし良いんじゃないか」


「……うん、そ……そっか。しょうがないよね」


雫の、声に元気が無くなる。


俺がいなくなるってだけでこんな落ち込んでくれるってのは、嬉しいけども。


「まあ今生の別れってわけでもないんだ。また帰ってくるしな」


「そう、だけど」


俯いて、そう呟く雫。


「俺は雫と居ると、楽しい。出来るなら仲間として、一緒に戦いたかったな」


元気を出せるよう、出来るだけ明るく口に出す。


「そうだなー、戦うだけでなく、この世界を見て回りたいよな」


戦うだけなんて、そんなの勿体ない。


観光と言うとおかしいが、この世界にも楽しい所とか、綺麗な景色とか一杯あるだろう。


「っ、うん」


少し元気が戻ったか、声が大きくなる雫。


「何があるんだろうな、この世界には。意外と遊べたり、楽しい場所が有ったりするんじゃないか?」


流石に映画館とか、遊園地とか、カラオケとかは無いだろうが。


「はは、どうなんだろうね」


笑ってそう言う雫。


お、元気出てきたか、よかった。


「そうだなー、俺は、一歩早くこの世界を見てくる。それでもし、そんな場所があったら……帰って来た時、一緒に行こう」


その時は、いつになるか分からないが……楽しみだ。


「う、うん!楽しみにしてる!」


俺と同じ気持ちなのか、満面の笑みを見せる雫。


やっぱり、雫は笑顔が似合うな。


「はは、俺も楽しみだよ。さて、それじゃ明日も早いし寝るか」


明日起きるの、地球で言うと六時ぐらいだからな。



「っと。うん。頑張ってね。……待ってる、から」


立ち上がり、俺に背を向けてから、呟くように言う雫。



「へ、最後なんて言ったんだ?」


「……ふふ、何でもないよーだ!それじゃーね、バイバイ!」


こっちを向いて、笑顔でそう言った雫は、あっという間に俺の部屋から出て行った。


「さて、いよいよか」


……明日だ。明日、ついに出ていく時が来る。


不安もあるが、なんとかやっていける、そんな気がする。


樹と一緒に、この世界を。


……俺は、強くならなければ。


決意を胸に、俺は横になった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ