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虹色魔導師は目立ちたくない  作者: プリン伯爵


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魔導大会でも目立ちたくない⑤

本日、快晴。

待ちに待った、いや、それほど待ってはいなかったが魔導大会が始まった。

開会式は滞りなく終わり、最初の競技を見るために僕らは観客席に移動する。


魔導大会は招待される人数が多い為、帝国で最も大きい訓練場を使う。

まあ魔導大会用に作られたと言ってもあながち間違いではない。

それほどまでに広く他の大会などでは使っても空席が目立つことだろう。


ちなみに今はほぼ満席だ。

各所にVIP席が設けられており、各国の主要人物がそこから観戦する。

各所に視線を向けると殆ど見たことのない顔ばかりだった。

なんなら自国の皇帝すらも今初めて顔を見たくらいだ。

友好国の王族など知ったものではない。


「人凄いねー!ワクワクするなー!」

ミアが横で楽しそうにしているが、今頃ジンは緊張で震えていそうだ。


実は最初の競技にジンが出る。

確かマジックフライトとかいう良くわからない競技だったな。

多分空飛んでなんかするのかな。


「その顔はわかってなさそうだね。教えてあげよう!マジックフライトってのは魔道具に魔力を流して空を飛ぶの。それで障害物を避けながら一番最初にゴールしたら勝ちっていうゲームね!」

ミアに教えてもらったが、なんと単純な競技なのだろう。

空を見上げると確かにゴールらしい足場が浮いていた。

地上から飛び上がり上から物でも落とされるからそれを避けてゴールするっていう単純なレースのようだ。



「あっ!ジンが出てきた!!負けるなよー!!」

訓練場の入口から入場してきたジンの顔は強張っていた。

負けてほしくはないがジンは恐らく負ける。


ジンの実力はかなり高い方ではあるが、魔力のコントロールがあまり上手くはない。

魔道具に魔力を流して飛ぶというのであれば、それなりの魔力操作技術が要求されるはず。


「さあ!最初の競技はマジックフライトです!!誰が一番最初にゴールへ到達するでしょうか!!」

実況の人の声が響き渡る。

なるほど、見ていなくても過程や結果が分かる仕組みになっているらしい。


「これより開始します!選手の方、準備はよろしいでしょうか!」

実況の声に合わせて地上にいる数十人の選手が手を挙げた。

あれが準備完了のサインのようだ。


一際大きな花火が上がると同時にジン達は空に浮かび上がった。

「選手一斉にスタートです!最初は上から落下してくる物を避けて下さい!当たれば魔道具の魔力が尽き墜落しますのでしっかり着地してくださいね!」

なんて恐ろしい競技なんだ。

もしも、ゴール付近で墜落を始めたら無事に着地できるか怪しいぞ。

死人が出ないか不安だ。


「観客の皆様ご安心を!念の為地上には教師陣が待機しています!着地に失敗しそうな選手はフォローしてくれますので選手の皆様は安心して落ちてください!!」

落ちる時点で気絶しそうな人が出てきそうだ。

少なくとも僕ならチビる。


「うまいうまい!ジン意外とやるじゃん!!」

ミアの応援に釣られジンを凝視すると、確かに上手く避けていた。

案外コントロール出来ているみたいだ。


「何人か当たってしまった選手もいますが、次の障害は、横風です!教師の方が横から強風を吹かせますので上手くコントロールしないと魔力が尽きて落ちますよ!」

強風か。

どの程度かにもよるが、それくらいならジンはクリア出来そうだ。


「ん?なんかふらついてない?」

しかしよく見るとジンは風に煽られふらついていた。

やっぱりコントロールが下手なようで必死の形相をしている。


「ジンはここで終わりかなぁ、多分今凄い量の魔力を消耗してるよ。」

ミアも同じ感想だったらしく、残念そうな顔をしていた。



結果は3回目の障害物で落ちた。

強風をなんとか凌いだまでは良かったものの、今度はボール大の火の玉が降ってくるのを避けないといけず、ジンは魔力を大量に消費してしまっていたのか避けきれずぶち当たりそのまま落ちていった。


着地はもちろん出来なかったが、教師の魔法により無事に怪我なく終われたようだ。


「あーあ、ジンだめじゃん。もっと魔力のコントロールを教えたほうがいいんじゃない?」

「うーん、でも結構いい成績だった思うけどな。だって1年であそこまで行けてたのジンを除いて3人くらいしかいなかったよ。」

同じクラスの人もいたが魔力操作は不慣れだったのか強風で落ちていたし、ジンにしては結構良かったんじゃないかと思う。



その後2回目3回目と同じ競技が続き、飽きが来始めてきたくらいで次の競技が始まった。



「次の競技はマジックバレー!ゴムボールを魔法で弾いて相手のコートに叩き入れれば勝利!!瞬発力と魔法の発動速度が試されます!!」

素早い動きができる人じゃないとあまり役立てなそうだ。

しかしこの競技もしっかり見ないといけない。


入場してきた選手に僕の友達が混ざっているからだ。

ロゼッタとシーラだ。

表情は自身に満ちているのか、緊張の色は見えない。


「あっ!ロゼッタさんとシーラさんだ!!頑張れー!!」

ミアも気づいたようで手を振って応援していた。

最近はクラブで慣れてきたのか様付けしなくなっている。

ミアのコミュニュケーション能力が高いからであって普通の男爵生まれだったら真似は出来ないだろう。

歓声は大きく、ロゼッタとシーラの人気が垣間見れた。

公爵家でかつ美少女姉妹だ。

人気がないわけがなかった。


ダブルスのようで相手も二人出てきた。

これは勝てるはずだ。

何より彼女らは姉妹だ。

動きを合わせるなんて息を吐く程度に簡単な事だろう。


最初にボールを弾いたのはロゼッタだった。

かなり力を込めたのか勢い良くボールは相手コートに飛んでいく。

しかし負けじと相手も打ち返した。

ボールの応酬は続く。

シーラが素早く移動し打ち返すと相手も同じように打ち返す。

これは体力勝負になるか?


お互い疲れてきたのか次第にボールの速度が落ちてきた。

なんとか相手はギリギリボールを打ち返してきたが、ロゼッタとシーラが同時に動いた。

ロゼッタが打ったフリをすると釣られてしまった相手は見当違いの場所に移動してしまう。

それを狙っていたのかシーラが逆方向にボールを打ち試合は終了した。


言葉を交わさなくても瞬時に今の作戦が思いつくのは流石姉妹と言える。


勝利した二人は観客席に向かって手を振りコートから出て行った。

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